悩める人医療と介護の出費を抑えるための様々な制度とは?



例えば …… どうするとお得に?



こんな疑問・悩みを解決します!
- 高額療養費制度
- 医療費控除
- 傷病手当
- 介護保険
- 高額介護サービス費支給制度
- 高額介護合算療養費制度
- 障害年金
- 介護休業給付
はじめに
これまで病気知らずでやってきたという人も、何度か入院の経験がある人も、気にしているのが60歳以降の医療費。
凡その目安を押さえておき、高額療養費など医療費制度の仕組みを知っておけば、いざという時も安心です。
介護は、実際に経験してみないと分からないことが多いものです。
定年前後には、高齢の親の介護が必要になるケースも少なくありません。
いずれは自分たちにも訪れる高齢期への備えも兼ねて、今のうちに介護に掛かるお金の目安や介護保険の利用法などを確認しておきましょう。



高齢者が医療や介護と向き合っていく中、嵩む出費を抑えるために様々な制度を知っておくことが負担減に繋がります。意外と知られていない制度にも注目!
高額療養費制度



多額の医療費の支払いが発生する場合、自己負担限度額の超過分が支給されます。
被保険者本人や扶養家族が同じ医療機関の中で1か月内(1日~末日)に治療を受けたり入院費が発生し、一定額を超えた場合、自己負担の限度額を超えた金額が「高額療養費」として払い戻されます。
70歳未満で一般の場合、1日~月末までの1か月で、3割負担で支払う医療費が8万100円を超えたら、超えた分を3割(30%)ではなく1%で計算した金額が自己負担の上限額になります。
- 8万100円+(医療費総額-26万7,000円)×1%
- 医療費総額 … 健康保険適用前の医療費(10割分)
例えば、月に15万円の支払いだったら、自己負担上限額は8万2,430円です。
窓口でいったん15万円を支払った場合は、翌月以降に申請すれば、上限額の8万2,430円を超えた分が後日、還付されます。
この「高額療養費制度」のおかげで、大半の人は最終的に負担する医療費は月に8万~9万円程度。
高所得者でも26万円弱で収まります。



但し、医療費は暦の月単位で精算するため、月を跨いで入院する場合には、各月の上限額が8万~9万円程度で、合計の負担は月内で退院するより多くなります。
一方、自己負担の上限額を超える月が1年で4回以上あれば、4か月目からは月の上限額が半分近くまで低くなります。
窓口で支払った後、申請で還付される方法の他、入院前や通院前に加入する健康保険に申し出て、「限度額適用認定証」を発行してもらえば、窓口での支払いが自己負担上限額で済む方法もあります。



居住している自治体の国保組合や会社の各種健康保険組合に申請書を提出すると、1週間程度で交付されます。医療機関で支払いを行う際、一緒に提出することで費用が自己負担の限度額までに抑えられます。
70歳以上の人は自己負担額が更に低く、入院時には自動的に自己負担限度額までの支払いになり、手続きなしで済みます。
70歳未満の人は、1つの病院で自己負担額が2万1,000円を超えた分の費用、70歳以上の人は金額に関係なく自己負担額を世帯で合算できます。
合算できるのは同じ健康保険に入っている家族のみになります。
複数の病院を受診した場合は病院ごとに計算し、同じ病院で受診した場合でも、入院と通院、医科と歯科は別計算となります。
入院時の差額ベッド代や食事代など保険外の治療費は対象になりません。
集計の結果、自己負担額が限度額を超えた分の金額が返還されます。



世帯ごとの合算や、複数の病院での合算が自己負担限度額を超える場合には、払い戻しの申請が必要なので、忘れずに手続きを。
申請期間は診察を受けた月の翌月1日から2年以内で、期日を過ぎると権利が失われるため、該当する場合は早めに申請しましょう。
医療費控除
1か月ごとの負担は高額療養費で抑えられても、通院代や薬代など、細々と掛かる医療費で、年間ではかなりの出費になるというケースもあります。



そんな年は、確定申告の医療費控除で税金の還付を受けられないか、調べてみましょう。大きな病気や治療のために多くの医療費が生じた場合は「医療費控除」で経済的負担を軽減できます。
1つの世帯が1年間(1月1日~12月31日)に合計10万円超の医療費を自己負担した場合、確定申告を行うことで10万円を超えた分の金額が所得から控除されます。
医療費は、診察料や処方箋による医薬品はもちろん、ドラッグストアで販売されている医薬品や通院のために支払った交通費も対象となります。
- 通院・入院などで医療機関に支払った治療費
- 入院中の食事負担金
- 医師の処方により薬局で購入した医薬品代、松葉杖など
- 病気やケガの治療のために薬局などで購入した医薬品代
- 通院・入院時の交通費
- 寝たきりの人の紙おむつ代(医師の証明書が必要)
- 介護サービスを利用した場合の自己負担の一部(条件あり) など



離れて住んでいても、仕送り中の子供や親がいれば、それらの人の分も合計できます。医療費の基準は、原則として「治療を目的」としたものに限られ、健康増進や予防が目的の場合には対象外となります。
人間ドックや健康診断も予防と同様の扱いですが、検査で重大な疾患が見つかって治療を継続した場合は、人間ドックの費用も医療費控除の対象となります。
医療費控除では最大で200万円の申告を行うことができます。
申告の際は医療費控除の明細書を作成する必要があるため、領収書などは捨てずに保管しておきましょう。
健康保険組合から送られてくる「医療費のお知らせ」も添付書類として使用することができます。
1年間の総所得額が200万円に満たない人は、医療費が総所得額の5%を超えていれば「5%を超えた分の金額」で控除を受けることができます。
自己負担限度額は、
- (実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補填される金額)-10万円
で計算しますが、所得が200万円未満の人は10万円の部分を「総所得の5%」に置き換えて算出します。



医療費控除の計算は、上記のように保険から補填された分は差し引かなくてはなりません。高額療養費から還付された金額も差し引きます。
こうして求めた控除額を、申告する人の所得から差し引くことができるので、それに応じて所得税が少なくなります。
年金や給与から納めた所得税の一部は、確定申告をすることで還付されます。
住民税も確定申告することで、正しく計算し直されるので、忘れずに申告しておきたいもの。



尚、医療費控除は、医療費控除額に、申告する人の所得税率を掛けた金額が還付金の目安になるので、世帯の中でも、収入の高い(=税率も高い)人が申告すると有利です。
医療費立て替え払いの払い戻し
急なケガや病気で医療機関を受診し、保険証を提示できない状況になると医療費をいったん窓口で全額支払う必要があります。
この費用は後日、申請を行うことで自己負担を超えた差額を払い戻してもらうことができます。
申請から払い戻しまでに要する期間は、凡そ2~3か月ほど。
医療費とは名目は異なりますが、重症又は重病の人が医師の指示を受け、タクシーなどで入院、転院の移動を行なった場合も申請すれば移送費の支給が受けられます。



医療機関で治療費を全額負担した場合、一部の治療を除き金額の大半が払い戻されます。尚、臓器移植や美容整形など、診察の内容によっては払い戻しの対象外となるものもあります。
医療費、移送費共に申請の期限があり、医療機関で費用を支払った日、移送を行なった日の翌日から2年を過ぎると受け付けられません。
また、海外へ旅行した際に訪問した国の医療機関を受診して全額自己負担した場合も、帰国後の申請で医療費の支給が受けられる可能性があります。
申請を行う場合はパスポート、医師のサインが明記された診療内容の証明書、領収書を提出する必要があります。
- 会社員などで「〇〇健康保険組合」「協会けんぽ」の人 … 自分の健康保険組合又は協会けんぽの都道府県支部
- 自営業などで「国民健康保険」の人 … 住所地の市区町村役場の国民健康保険担当窓口
- 後期高齢者医療制度の人 … 住所地の市区町村役場の後期高齢者医療担当窓口



心身障害者、ひとり親家庭、乳幼児、義務教育就学児など、医療費助成の対象者の場合は該当の医療証の提示が必要となります。
基準収入額適用申請
確定申告により、前年度の課税所得が145万円以上となった人は、医療保険の自己負担割合が3割に設定され、145万円未満の人は2割、75歳以上の人であれば1割となります。
課税所得により自己負担割合が3割となった人でも、70歳以上で「収入額が一定未満」という条件を満たしていれば、基準収入額適用申請を行うことで2割に変更される可能性があります。
収入額とは、会社員の給料であれば源泉徴収や社会保険料を差し引く前の金額、自営業であれば必要経費や公的年金控除などを差し引く前の金額となります。
退職金や障害年金、遺族年金、傷病手当、失業給付などは含まれません。



収入額とは所得金額を指すものではありません。必要経費や各種控除、損益通算を行なって所得がない、もしくはマイナスの状態であっても「収入額はプラス」として計上される場合があります。
収入額383万円未満の70歳以上の単身者、又は同じ世帯に70歳以上の人がいて収入合計520万円未満なら、3割から2割への変更が可能。
75歳以上なら後期高齢者医療保険の金額が3割から1割に変更されます。



自分の収入額を確認し、自己負担割合の軽減に該当する場合は、居住地域の役所(又は健康保険組合)に問い合わせ、手続きを行いましょう。
基準収入額適用申請の判定は「前年度の収入」によって行われます。
いったん申請しても翌年の8月末で期限切れとなるため、負担割合の軽減を維持するには「毎年8月の手続き」が必須となります。
収入額の確認で書類がない場合は提出不要です。
- 公的年金等の源泉徴収票
- 確定申告書の写し
- 公的年金や給与収入額の確認ができる所得(課税)証明書 など
尚、前年の収入額が基準収入額を上回っている場合は申請の対象外となります。
旧被扶養者の減免制度
近年、日本では、高齢者雇用安定法の改正もあり、70代・80代でも現役当時と変わらず仕事を続ける人が増えています。
定年後も会社に在籍する場合、社会保険の加入年齢の上限が75歳で健保組合の加入資格が失われるため、保険は自動的に後期高齢者医療制度に変更されます。
尚、65~74歳であっても一定の障害があると認定を受けた人も加入の対象となり、医療給付が受けられます。
後期高齢者医療制度に移行すると、それまで職場で社会保険に加入していた人の扶養者(64~75歳)は、国民健康保険への加入が義務付けられます。
加入の際は被用者保険の資格喪失証明書と本人確認資料を持参し、居住している地区の役所での手続きが必要になります。
国民健康保険に移行後、通常の保険料では経済的な負担も大きくなりますが、「旧被扶養者の減免制度」を適用すれば加入から2年間、均等割額が半分に軽減、所得割額も当分の間、免除されます。
この場合、旧被扶養者が新たに負担する割合を記載した高齢受給者証が自動的に送られてきます。
国民健康保険の料金は、世帯全体の所得金額によって均等割額が軽減されます。
後期高齢者医療制度に移行した人も含め、被保険者の人数と給与所得者・公的年金の受給者の数に応じて基準額が定められます。
減額は7割・5割・2割の三段階となっています。



国民健康保険では加入者の様々な状況に応じて「減免措置」を設けています。倒産・解雇など非自発的な失職には減額、災害や病気・ケガでの収入減には減額、もしくは免除されることもあります。
既に7~5割の減免を受けている人は軽減割合の高い方が優先されるため、旧被扶養者の減免制度を受けることができません。
均等割額が2割減であれば旧被扶養者の減免制度と併せて5割の減免が受けられます。



国民健康保険への移行で保険料が発生。減免の仕組みを知れば経済的な不安も無用です。自分が加入している保険を理解しておきましょう。
傷病手当
被保険者である会社員が病気やケガによる療養で長期休職すると欠勤扱いとなり、給料が減額されるケースがあります。
健康保険には、その減額分を補う傷病手当の制度があり、次の4つの要件全てに該当すれば支給対象となります。
- 業務外の病気やケガであること
- 働けない状態であること
- 4日以上続けて会社を休んでいる
- 休んだ日の給料が支払われていない



療養中でも会社から傷病手当を上回る給料を受け取っている人は対象外になり、給料の一部が支給されている場合は、傷病手当から給料分の金額が差し引かれます。
傷病手当の計算は、支給が開始前の12か月間の平均賃金を30日で割った金額(標準報酬日額)の3分の2を1日分とし、休んだ日から4日目以降の日数分が支給されます。
支給の最長期間は1年6か月で、休養中に退職した場合でも次の要件を満たせば支給が継続されます。
- 退職日まで継続して1年以上の被保険者期間がある
- 退職前から傷病手当が支給されている
- 退職後も引き続き働けない状態が続いている
- 退職日に出勤していない
同一の病気やケガで障害厚生年金、又は障害手当金などが支給される場合は、傷病手当の支給期間が残っていても受け取りができなくなることがあります。



支給の最長期間である1年6か月について、2022年1月より療養と出勤が繰り返される場合は、傷病手当を受けない職場復帰の期間は除き、療養期間のみを通算するよう法改正が行われました。
介護保険
介護保険の被保険者が65歳を過ぎ、要介護又は要支援の認定を受けると介護サービスの利用が可能になります。



介護保険は、市区町村の運営で、40歳になると自動的に加入することになります。40歳から64歳までは、健康保険の保険料と一緒に介護保険料が徴収され、65歳以上は原則、年金からの天引きとなります。
介護サービスを受けるには、自治体の窓口で介護認定の申請が必要です。
介護認定調査員による訪問で被介護者の身体、生活の状況などについて「法令で定められた調査」が行われ、約1か月の総合的な判断の後に介護認定がなされます。
要介護、要支援の度合いにより介護サービスの利用限度額、利用可能な施設が決まります。
介護サービスの利用内容は次の通り。
- 自宅で訪問介護、訪問入浴などを利用する
- デイサービスなどの施設に通うもの
- ショートステイなどの短期間施設に宿泊するもの
- 入所した有料老人ホーム、特別養護老人ホームで受けるもの



在宅で介護を行う場合、ポータブルトイレや入浴補助用具など福祉用具の購入(上限10万円)、手すりの設置や段差の解消といった住宅改修(上限20万円)に対しても介護保険が支給されます。
40~64歳の被保険者も老化による特定疾病で要介護、要支援が必要になった場合は介護(予防)サービスを受けることができます。
末期がんや糖尿病性神経障害、脳血管疾患などは特定疾病に含まれます。



被介護者が「要支援1・2」「要介護1~5」と判定されると、1か月の支給限度額の範囲内であれば、1~3割の自己負担(所得に応じる)で介護(予防)サービスの利用が可能です。
自己負担の割合は被保険者に「介護保険負担割合証」が送付された時点で決定されます。
遺族年金や障害年金については所得の部類には入りません。
尚、1か月の利用の中で限度額を超えている分については「全額自己負担」となります。
- 1割 … 多くの高齢者が該当
- 2割 … 一定以上の所得がある人
- 3割 … その中でも特に所得が高い人
40~64歳の間に介護保険を利用する場合は、所得の金額に関係なく全て1割負担になります。



要介護の状態で多額の費用が必要な場合は「介護保険制度」を利用してサービスを受けましょう。介護保険サービスの利用を希望し、要介護認定を受ければ自動的に支給が開始されます。
高額介護(介護予防)サービス費
長い期間の介護では家族、本人共に心身の負担が多くなります。
特に年金生活で経済的に余裕のない場合は、金銭面での不安が大きくなります。
そんな不安を少しでも解消するために、費用負担を軽減する制度があります。
介護保険のサービスを利用し、1か月の利用料が収入に応じた限度額を超えた時は、高額介護(介護予防)サービス費の払い戻しを申請しましょう。
この制度では、高額介護を利用した中で限度額を超えた金額の払い戻しが受けられます。
自己負担の割合が高く、支払金額が多い高所得世帯などは、ぜひ利用しておきたいところです。



高額介護サービス費支給制度は同じ月に支払った利用者負担の合計額が負担の上限額を超えた時に、市区町村へ申請すれば、超えた分が払い戻される制度です。医療費の高額療養費制度と似た仕組みの制度です。
該当者には居住している自治体から申請案内が届き、2年以内の手続きが求められます。
期限を過ぎると払い戻しが受けられなくなるので注意しましょう。
同じ世帯の中に介護サービス利用者がいれば、それぞれの自己負担額を合算することが可能です。



住民税非課税世帯の人に向けては、介護保険の自己負担分そのものを軽減させるための利用者負担軽減制度があります。制度を利用できるのは、次の要件を満たしている人に限られます。
- 年間の収入が150万円以下(世帯人数が1人増えるごとに50万円加算)
- 預貯金額が350万円以下(世帯人数が1人増えるごとに100万円加算)
- 日常生活に活用するお金以外の資産がない
- 親族などに扶養されていない
- 介護保険料を滞納していない
申請が承認され、負担軽減確認証が交付されると特別養護老人ホーム、デイサービス、訪問介護などのサービスの利用時に自己負担額(1割)の4分の1が軽減されます。
老齢福祉年金の受給者は軽減率が2分の1になります。



いずれのサービスも高齢化著しい日本で老後資金や老老介護、5080問題といった課題に対処すべく、早い段階から準備を進めておくことが望まれます。
高額医療・高額介護合算療養費制度
世帯の中で介護サービスの利用者がいる場合、医療費と介護サービス費の支払いが発生し、両方の支払いで自己負担の合計額が高額になる場合は、高額介護合算療養費制度を使える可能性があります。
この制度は、1年分(8月1日~翌年7月31日)の医療費と介護費を合算し、限度額を超えた分を払い戻してもらえるもので、医療保険に関する費用は高額医療合算介護サービス費、介護保険に関する費用は高額介護合算療養費という名目で支給されます。



月々の医療費が少なくても年間の合計額で換算されるのが高額療養費制度との大きな違いです。高齢者のいる世帯では医療費と介護費の出費が重なって家計を圧迫することになるので、ぜひ知っておきたい制度です。
介護保険者(市区町村)に申請書を提出すると「自己負担額の証明書」が交付されるので、加入する医療保険者に証明書を添付して申請を行います。
対象者が受給前に亡くなった場合、相続人代表者(法定相続人又は指定相続人)が書類を揃えて申請を行います。
医療保険者の支給金額計算が完了すると、介護保険者に算出された金額が入ることが連絡され、医療保険、介護保険の両者から支給を受けます。
尚、医療費、介護費のどちらかが0円、限度額の超過分が500円未満の場合は払い戻しの対象から除外されます。
70歳未満の人が受けた療養で、月単位や病院単位、療養科単位での一部負担金が2万1,000円未満の場合も対象外となります。
利用には制限があり、合算できるのは国民健康保険、健康保険、後期高齢者医療保険のうち、同じ医療保険に入っている家族の自己負担額のみになります。
例えば、夫の社会保険に妻が扶養家族として加入していれば合算が可能ですが、夫が後期高齢者医療保険、妻が国民健康保険という場合だと合算ができません。
しかし、計算期間の間に別の保険に加入している家族が被扶養者になっている期間があれば、その間の自己負担金額は合算させることができます。



支給対象者には自治体から事前にお知らせが届きます。介護保険者である市区町村の役場に支給兼自己負担額証明書交付申請書を提出し、10月以降に自己負担額が確定されるため、支給の時期は12月~翌年の1月頃になります。
介護休業給付
家族が歩行や排泄、食事が一人で行えず、常時介護を必要とする状態になって会社を休業する場合、雇用保険から介護給付金を受け取ることができます。
給付の条件は下記の2項目で、満たしていると同一の対象家族の介護に対し、93日を限度に3回の介護給付金を受け取ることができます。
- 2週間以上にわたり、常時介護を必要とする状態であること
- 休業期間を事業主に申告済み



65歳以上の労働者について、2016年までは雇用保険の適用が限定的でしたが、現在は高年齢被保険者として適用され、介護給付金についても支給を受けることができるようになりました。
支給額は、1回の対象期間につき、原則として「休業開始時賃金の日額×支給日数×67%」。
給付金額の上限は毎年8月1日に見直しが行われています。
尚、介護休業中に1か月当たりの賃金として通常の80%以上が支払われている場合は給付の対象外となります。
介護休業の申請は通常、勤務先の事業主がハローワークに必要書類を提出して行いますが、事業主が行わない場合は被保険者自ら申請することも可能です。
申請が承認されると1週間程で指定の口座に入金されます。
申請期間が過ぎた場合は2年の時効期間内に再申請しましょう。



介護休業は自身が家族の介護に専念するというより、ケアマネージャーや地域の支援センターと連携を築く期間と捉え、要介護者の生活クオリティを高めることでスムーズな職場復帰に繋がります。
障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)
病気やケガで生活・仕事が著しく制限された公的年金加入者は、現役世代も含め、初診日の時点で加入していた年金の種類に応じて障害年金を受給することができます。
眼や手足、聴覚などの外部障害、呼吸器や心疾患、がん、糖尿病などの内部障害、統合失調症やうつ病、てんかんなどの精神障害が支給の対象になります。
- 外部障害 … 目の障害、聴覚の障害、肢体などの障害 …
- 精神障害 … 統合失調症、うつ病、認知障害、てんかん、知的障害、発達障害 …
- 内部障害 … 呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、肝疾患、血液・造血器疾患、糖尿病、がん …
障害の基準は日本年金機構によって定められています。
具体例を挙げると、障害などで長期にわたる安静(寝たきりなど)が必要で、他人の介助なしでは日常生活が送れない場合は障害等級1級、障害や身体機能の影響(抗がん剤での衰弱など)で日常生活に著しい制限を受ける場合は障害等級2級、大腸がんで人工肛門を設置するなど傷病が治らず労働に著しい制限を受ける場合は障害等級3級になります。
給付される金額は加入している年金によって異なります。
- 国民年金加入者の支給金額 -
- 障害等級1級 … 1,059,125円+子の加算額 / 2026年度
- 障害等級2級 … 847,300円+子の加算額 / 2026年度
- 子の加算額 -
- 2人まで … 1人につき243,800円
- 3人目以降 … 1人につき81,300円
- 厚生年金加入者の支給額 -
- 障害等級1級 … 報酬に応じた年金額×1.25
- 障害等級2級 … 報酬比例の年金額を障害基礎年金に上乗せ
- 障害等級3級 … 報酬比例の年金額



厚生年金の場合は、障害等級1~2級であれば配偶者が65歳になるまで「加給年金(24万3,800円/2026年)」も加算されます。
- 市区町村役場
- 年金事務所
- 年金相談センター



障害年金は、原則として働いていても支給されます。しかし、日常生活に影響がない状態で働いていると受給できない可能性もあるため、自身が該当するか気になる場合は年金事務所などに問い合わせてみましょう。
まとめ
高齢者にとって日々の生活の中で大きな比重を占めてくる医療費。
健康面で問題が生じた際、医療機関の受診、薬の購入などで多額の出費が必要とされます。



自治体や保険者では、様々な状況に応じた制度を用意し、対象者が経済的な不安を負わないようサポートします。
- 医療費控除 … 医療費で10万円超の自己負担が発生すると確定申告で所得控除されます
- 高額療養費制度 … 治療や入院の費用は高額になると一部を払い戻してもらえます
- 医療費立て替え払いの払い戻し … 全額自己負担した医療費は自治体などへの申請で7~9割が払い戻されます
- 傷病手当 … 病気療養での欠勤で減給すると健康保険の傷病手当が最長1年6か月支給されます
- 基準収入額適用申請 … 70歳以上の医療費は収入額により自己負担割合が軽減します
- 介護保険 … 介護保険制度を利用すれば、介護サービスの自己負担が最大9割まで下がります
- 旧被扶養者の減免制度 … 後期高齢者医療制度への移行で65~74歳の旧被扶養者は保険料が減免されます
- 高額介護サービス費 … 介護サービス費は限度額を超え高額になると払い戻しの対象になります
- 高額介護合算療養費制度 … 医療費と介護費を合算し高額になった場合、限度額の超過金額が戻ります
- 障害年金 … 精神疾患や内部障害も障害認定を受ければ年金の受給対象になります
- 介護休業給付 … 病気や事故など家族の介護で仕事を休業する場合、介護休業の申請で給付金が支給されます
10万円を超えた医療費に対する所得控除はよく知られていますが、手術や介護、障害の発生といった事象においても介護保険、高額介護サービス費、高額療養費などの制度で保険金給付や減免が受けられます。
また、介護休業給付のように仕事を制限して介護を行う人のための制度もあり、家族が要介護になった場合でも、安心してケアの準備を行うことができます。
これらの制度を利用する際、所得額で給付金額が大きく変わってきます。
75歳になると健康保険から後期高齢者医療制度へ切り替わるなど保険の仕組みも変更されるため、自身の収入や加入している保険などは常に把握できる状態にしておきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

