将来、寝たきりや呆けてしまったら…
延命治療を拒否して、自然に死を迎えたい…
こんな疑問・悩みを解決します!
- 体の自由が利かなくなった場合に備える為の契約
- 判断能力が低下した場合に備える為の契約
- 延命治療を拒否して、自然に死を迎える為の文書
備えあれば憂いなし
世の中には、70歳になっても80歳になっても、元気に暮らしている人がいます。
しかし、大抵の人はある程度の年齢になると、将来、体の自由が利かなくなったらどうしよう、認知症になったらどうしようという不安が出てきます。
そういう状況になっても、子供を当てにしない老後を送れるのだろうか、という悩みを抱えている人も少なくないでしょう。
もし、貴方が将来、次のような状態になったらどうなるか想像してみて下さい。
- 足腰や目が不自由になったり、寝たきりになる
- 認知症などで判断能力が低下し、家族の顔も分からなくなる
- 事故や病気により脳死状態になる
将来の事故や病気を未然に防ぐことは難しいと言えますが、いざそのような状況になった時に自分を守る為の対策を事前に立てておくことは可能です。
それが、寝たきり・呆け・脳死状態に備える「財産管理等委任契約書」「任意後見契約書」「尊厳死宣言書」です。
- 財産管理等委任契約書 … 身体が不自由になった時に、財産管理や医療関係の手続きを信頼できる第三者に任せる為の書類
- 任意後見契約書 … 判断能力が低下した時に、財産管理や医療関係の手続きを信頼できる第三者に任せる為の書類
- 尊厳死宣言書 … 終末期を迎えた時に、延命治療を拒否するという意思を医療関係者に伝える為の書類
当記事では、老後を安心して暮らす為の準備、「財産管理等委任契約」「任意後見制度」「尊厳死宣言書」について解説します。
財産管理等委任契約
脳梗塞で倒れ、体が不自由になっても判断能力に衰えはないという人がいます。
このような人は、体は不自由でも判断能力がありますから、任意後見制度を利用することができません。
しかし、車椅子で移動しなければならなかったり、後遺症で字が書けなくなったりと、生活をする上で不都合が生じることもあります。
特に、銀行でまとまったお金を下ろす必要が出てきたとき、本人が行くか、後見人を付けなければ、引き出しができないケースがあります。
また、病院に長期入院したような場合も、年金の受け取りや公共料金の支払い、入院費の支払いなどができなくなってしまいます。
財産管理等委任契約を結んでおくと、このようなケースに対応することができます。
財産管理等委任契約とは
財産管理等委任契約とは、自分の財産の管理を他の人に委ね、その事務処理に関する代理権を与える契約です。
任意代理契約とも呼ばれ、民法上の委任契約の規定に基づきます。
財産管理等委任契約は、任意の契約です。財産の管理を頼む人を「委任者」、委任を受けて管理をする人を「受任者」と言い、この両者が書面で契約を結びます。
契約を結んだ時から財産管理を行うのが一般的ですが、例えば、元気な時に契約を交わしておき、体が不自由になり、自分で財産の管理ができなくなった時に開始させるようにすることもできます。
財産管理等委任契約は、長期の入院で財産管理ができない時などに、その間に限って契約することもできます。
任意後見契約と財産管理等委任契約との違いは、任意後見契約は判断能力が不十分になった場合に利用できるものですが、財産管理等委任契約は本人の判断能力が十分で、身体が不自由になった場合に利用できる点です。
契約では何を委任するのか?
財産管理等委任契約の内容には、財産管理と療養看護の二つがあります。
財産管理とは簡単に言うと、本人の財産を、本人の利益になるように最適な方法で管理することです。
例えば、次のようなことです。
- 銀行からお金を引き出したり、振り込みをする
- 家賃や光熱費などの支払いをする
- 賃貸しているアパートの家賃を受け取る
- 生命保険の契約を結んだり、保険金を請求する
- 高齢者を狙った詐欺から守ってもらう為の相談
また、役所で戸籍謄本や住民票を取得したり、税金の申告なども代わりにやってもらえます。
もう一つの療養看護は、医療や介護など本人の心身を保護する為に必要な事務処理全般を指します。
例えば、
- 病院や介護施設に入所する為の手続き
- 要介護認定の申請、介護サービスの契約や変更・解除、費用の支払い
など、様々な介護・医療関係の手続きが代理できます。
財産管理等委任契約は任意の契約ですから、依頼する内容は自由です。実際には、体の自由が利かなくなった時の「財産管理」や「生活上の事務手続き」が中心になるでしょう。
委任者の状況に応じて、委任する事項や範囲を選択することも重要です。
財産全部にわたることなく、一定額以内の日常資金の管理に絞るとか、入院中の一定期間に限定することも選択肢の一つです。
受任者は誰にすれば良い?
誰に受任者になってもらうかですが、財産の管理を頼むのですから、何よりも信頼のおける人であることが第一条件です。
身近で本人を見守っている子供や甥・姪などの親族に委任することが多いようですが、弁護士や司法書士、行政書士、社会福祉士などの専門家に頼むのも一つの方法です。
財産管理等委任契約には、任意後見制度のように受任者の行為を公的に監督する人がいません。
このため、きちんと財産管理を行っているかチェックすることが難しいという欠点があります。
従って、受任者の人格や能力などの信用度に全てが懸かってきます。
契約後、受任者の生活環境が急に変わり信用できなくなることも考えられます。
自分の大切な財産が自分の為に使われず、流用や横領されてしまう恐れもあるのです。
それまでの人間関係を通じて相手が本当に信頼できる人なのか、自分のことを理解し尊重してくれる相手なのかどうかを見極める必要があります。
また、依頼された事務処理を問題なく遂行できる能力と時間があることも必要です。
受任者は1人ではなく、必要なら2人以上でも構いません。子供が数人いて、誰か1人を選ぶことができない場合は、全員と契約することも可能です。
任意後見契約と一緒に公正証書で作成
財産管理等委任契約を結ぶ時は、任意後見契約も一緒に結んでおくと良いでしょう。
これは、別々の契約書にすることも、1通の契約書にすることもできます。
このように、財産管理等委任契約に引き続いて任意後見契約を結ぶことを、契約移行型の任意後見契約と呼びます。
2つの契約を一緒に結んでおくことのメリットは、将来、判断能力が低下した時にスムーズに任意後見へと移行できることです。
財産管理等委任契約の受任者に、任意後見人にもなってもらっておくと良いでしょう。
また、財産管理等委任契約自体は、公正証書にしなければいけないという決まりはありません。
しかし、遺言書など他の書類と同様に、公正証書で作った方が後日トラブルがあった時に解決しやすくなります。
尚、財産管理等委任契約や任意後見契約で委任したい内容は、「代理権目録」に記載します。
成年後見制度
老後の生活を考える上で避けては通れないのが、認知症の問題です。
認知症になると、直前に起きたことも忘れてしまう、時間や場所の感覚がなくなる、筋道を立てた思考ができなくなるなどの症状が起き、判断能力が著しく低下します。
認知症は、歳を取れば、誰にでも起こり得る病気です。
認知症になると、財産の管理や様々な契約などを自分ですることが難しくなります。
また、詐欺や悪徳商法の被害に遭う恐れもあります。
このような問題が起こる前に検討しておきたいのが「成年後見制度」です。
成年後見制度は、認知症等の理由で判断能力の不十分な人が不利益を被らないように保護する為の制度で、「法定後見制度」「任意後見制度」の2つがあります。
任意後見制度とは
法定後見制度は、本人が認知症等になってから、家庭裁判所が成年後見人等を選任する制度です。
一方、任意後見制度は、将来自分の判断能力が不十分になった時に備えて、支援してくれる人と支援してもらう内容を事前に契約しておく制度です。
任意後見制度の特徴は、判断能力のある人が自分の意思で結ぶ契約ですから、自分の選んだ人に任意後見人になってもらえます。
また、希望する支援の内容も伝えておくことができます。
財産管理等委任契約の受任者も同じ人にお願いしておくと、移行がスムーズにできるでしょう。
つまり、判断能力が低下した場合でも、自分の意思で決めた人生を送れるように作られた制度なのです。
また、任意後見契約は、判断能力が低下した時点で家庭裁判所に申し立てをし、任意後見監督人が選任された時から効力が発生します。
裁判所が契約通りの支援をしているかどうかをチェックする仕組みになっているのです。
任意後見契約の種類
任意後見には、次の3タイプがあります。
先ず、認知症だけに備えるもの。
認知症になって、自分にとって適切な判断ができなくなってしまった時の為だけに後見人が付くもので、「将来型」と言います。
2つ目が、認知症と動けなくなった時に備えておくもの。
認知症への準備だけでなく、判断能力がある状態でも入院したり、介護が必要になったり、寝たきりになった時に後見人が動けるようにしておく「移行型」です。
そして3つ目が、すぐに後見活動を始めるもの。
任意後見契約ができるだけの判断能力はあるものの、契約後、すぐに判断能力が低下したという診断を受けて後見活動を始めてもらう「即効型」というものです。
契約締結能力の判断が難しいため、余りお勧めはできません。
- 将来型 … 認知症だけに備える(△)
- 移行型 … 認知症と動けない時に備える(◯)
- 即効型 … すぐに始める(✕)
この中で最も一般的で、お勧めなのは「移行型」です。どちらの事態(寝たきり・認知症)にも対応できます。
いずれにしても、元気なうちに自分のことを、誰にどう託すのかを準備しておくものです。
任意後見契約書
任意後見契約は、本人と任意後見人になる人とが結びますが、契約書は公証役場で作成する公正証書で作らなければなりません。
これは、本人の権利を守る為と、将来に争いが起こりにくくする為です。
公正証書は公証役場で公証人に作成してもらいます。
本人と任意後見受任者の2人が公証役場に出向きます。
委任状を書いて、代理人に行ってもらうこともできます。
但し、公正証書遺言とは違い、証人は必要ありません。
任意後見契約書は、財産管理等委任契約書と同時に作るのが理想的です。
そうすれば、判断能力に問題がないうちは委任契約書で対応できるし、その後で判断能力に問題が出てきた時は、速やかに任意後見契約に移行できるからです。
もしどちらか一つだけだと、本人を十分保護できない可能性があります。
このように、任意後見契約と財産管理等委任契約を一緒に結ぶ方法を「移行型」と言います。
尚、この場合は将来、任意後見契約の効力が発生した時点で、財産管理等委任契約は効力を失います。
任意後見人に頼めること
任意後見人に頼める支援は、大きく分けて、
- 財産の管理に関すること
- 介護・療養看護、生活面の手配に関すること
に分けられます。
具体的には、次のような支援を依頼できます。
①財産の管理に関すること
- 預貯金や年金の管理
- 税金や公共料金の支払い
- ローンやクレジットの返済
- 所有財産の管理・保管・処分
- 遺産の分割など
②介護・療養看護、生活面の手配に関すること
- 介護保険を含む福祉サービスの受給手続きや変更
- 介護施設入所の手配や手続き
- 介護費用の支払い
- 医療関連の手続き
- 生活費用の入金・支払い
- 介護保険のケアマネジャーとケアプランを作成するなど
注意したいのは、任意後見人は実際に、介護そのものを行うわけではないということです。
あくまでも本人が最適な治療や介護を受ける為のサポート体制を整えるだけで、実際に食事や排泄の介助をするのは契約を結んだヘルパーなどの第三者になります。
また、任意後見人は、本人の病気の治療について、一般的な投薬・検査などの医療行為に対しては本人に代わって同意できますが、重大な手術を行うかどうかに対する同意権はないとされています。
延命治療の指定(後述)についても同様です。
誰に任意後見人を頼むか
任意後見契約の受任者は、委任者(本人)が自由に選ぶことができます。
任意後見人になるのに資格は要りません。
財産の管理や介護の手配を頼むことになる人ですから、信頼できる人であることが一番です。
一般的には、子供、甥や姪などの親族に頼むことが多いようですが、弁護士や司法書士、行政書士、社会福祉士などの専門家に頼むこともできます。
また、法人や複数の人を選ぶことも可能です。
但し、未成年者や破産者、本人に訴訟を起こした人やその配偶者・子供などは、任意後見人になることができません。
任意後見人選びのチェックポイントは、次の通りです。
- 仕事の忙しさはどうか
- 転勤などがないか
- 住んでいるところは遠くないか
- 年齢は「10歳以上」離れているか
引き受けてくれることになったら、どのような支援をしてほしいかを、よく話し合いましょう。報酬についても、話し合っておきます。
スタートの手続きは?
本人の判断能力が低下したら、任意後見受任者や配偶者、四親等内の親族などが家庭裁判所に「任意後見監督人」の選任を申し立てます。
これは、「判断能力が不十分になったとき」ですから、完全に喪失した状態でなくても構いません。
ある程度の判断能力がある場合は、本人も申し立てできます。
家庭裁判所では、本人の状況や任意後見人の適格性などを調査の上、支援が必要と判断されれば、任意後見監督人が選任されます。
その時、本人の同意を求めることになっています。あくまでも、本人の意思を尊重するという制度だからです。
家庭裁判所が任意後見受任者を後見人として適切でないと判断した時は、任意後見監督人を選任しません。
家庭裁判所が新たな後見人を選任することになります。
任意後見契約がスタートするのは、判断能力が低下した時からです。
それまでは、預金通帳や年金などの管理は自分で行います。
任意後見契約を結んだからといって、すぐに預金通帳を後見人に渡すわけではありません。
- 後見人を決める
- 契約内容を決める
- 任意後見契約の締結
- 公正証書の作成
- 公証人から法務局へ登記依頼
- 本人の判断能力の低下
- 任意後見監督人選任の申し立て
- 任意後見監督人の選任
- 任意後見開始
尊厳死宣言書
尊厳死とは
癌が全身に転移しているなど治る見込みがなく、死期が確実に近付いている場合の医療のことを、「終末医療」又は「末期医療」と言っています。
誰でも病気をすれば病院で治療を受けますが、それは治癒する見込みがあるからです。
しかし、治癒する見込みが全くなくなった患者に対しても、いわゆる「延命治療」をするのが病院です。
患者の家族としても、医師のすることですから、延命治療を止めてくれとは、なかなか言い出せません。
延命治療の為に、集中治療室の中で、人工呼吸装置、人工栄養装置、水分補給装置、持続導尿、人工透析装置などに接続された上に、脳波、心電図、血圧、脈拍、呼吸などの持続的モニターの器具に繋がれることを、俗にスパゲッティ症候群と呼んでいます。
このような状態で生き長らえされているだけの延命治療を拒否し、寿命が来たら息を引き取れるような死に方をしたいというのが、「尊厳死」です。
ちなみに尊厳死という概念は、元々アメリカで発展したものであり、尊厳死宣言書のことを英語で、リビング・ウィルと言います。
病気や事故などで回復の見込みのない末期状態になった患者に対して、生命維持治療を差し控える、又は中止して、人間としての尊厳を保たせつつ、死を迎えさせること
尊厳死宣言書とは
もし、貴方が事故や病気で回復の見込みがない脳死状態になったら、「どんな手立てを講じても良いから、1秒でも長く生かしてほしい」と思うでしょうか。
それとも、苦痛を緩和する以外は医学的な措置を施さず、自然な死を迎えたいと願うでしょうか。
答えはもちろん、人それぞれでしょう。
厚生労働省の調査では、自分が余命6か月以内の末期で回復の見込みがない場合に、「延命治療は望まない」「どちらかと言うと望まない」と考える人が7割に上ったそうです。
しかし、本人にそのような希望があっても、何の準備もしていなければ、実際にそのような状態になった時に希望を叶えるのは難しいと言わざるを得ません。
本人はもう意思表示できないし、家族は本人の意思を知っていても、本当に延命措置を停止して良いのか迷う筈です。
たとえ家族が本人の意思を医療機関に伝えても、医師が法的責任を問われることを恐れて消極的になる可能性もあります。
尊厳死を望むなら最低限、その意思を客観的な形で残す必要があります。
尊厳死宣言書は、こうした医師の訴訟トラブルや家族への負担を避け、本人が人間らしく安らかに、自然な死を遂げる為のものです。
本人が自らの考えで尊厳死を望み、延命治療を差し控え、中止してもらいたいという考えを書類で残すもの
尊厳死宣言書の具体的な内容
尊厳死宣言書は、書き方が法律で決まっているわけではないので、どのように作成しても構いません。
自分で作成する場合は、「終末期を迎えた時は延命措置を行わないでほしい」という希望を書いた文書を作り、家族などに渡しておくと良いでしょう。
一方、本人が間違いなく書いた書類であることを公的に認めさせるには、遺言書や任意後見契約書と同様に、公正証書で作成する選択肢もあります。
この場合、「家族の了解書」「家族それぞれの印鑑証明書」「戸籍謄本」を添付する必要があります。
尊厳死宣言書には、必ず次の事項を盛り込みます。
- 延命治療を拒否して尊厳死を希望すること
- 本人の苦痛を和らげる処置は最大限の実施を希望すること
- 尊厳死宣言書作成について予め家族の同意を得ていること
- 医師や家族に対して犯罪捜査や訴追の対象にしないでほしいと希望すること
- 尊厳死宣言書は本人が健全な精神状態にある時に作成したもので、本人が撤回しない限り、有効であること
尊厳死宣言書の使い方
尊厳死宣言書は、延命措置を始める前に医療機関に提示することが大切です。
もし脳死状態になり、延命治療が始まった後で提示すると、実現が難しくなるかもしれません。
まだ何もしていない状態と違い、既にスタートした措置をわざわざ停止して死に至らしめることになるので、医師が責任を問われることを恐れて消極的になる可能性があるからです。
そのような状況を避ける為にも、元気なうちに家族と延命措置について話し合い、万一の時でも冷静に対処して、医療機関に宣言書を渡してもらえるようにしておきましょう。
また、本人の意識がはっきりしている状態で入院する場合は、入院時に本人が医師や看護師に宣言書を渡して、尊厳死を希望する旨を伝えると良いでしょう。
尊厳死の宣言書を作った後、やはり延命措置を受けたいと考えた場合は、いつでも尊厳死の宣言を撤回することができます。
まとめ
快適な安心できる老後を過ごす為には「貯蓄」はもちろん必要ですが、それだけでは十分とは言えません。
いくらお金があっても、認知症になったり寝たきりになったら、自分で銀行へ行って預金を下ろすこともできなくなります。
お風呂に入ったり、服を着替えたりすることもできなくなるかもしれません。
「子供が何とかしてくれる」という人は少なくありませんが、果たして子供が親の希望をどこまで叶えてくれるでしょうか。
かつては子供が老親の面倒を見るのは当然だという考えもあり、親の財産管理も子供任せという家庭が少なくありませんでした。
しかし、今の時代、子供世帯の多くは、マイホームや教育の為の多額のローンを抱え、リストラの不安に怯えています。
子供が親に冷淡だというのではなく、子供には子供の人生があるということを忘れないで下さい。
2023年の厚生労働省研究班が示した調査では、2030年には65歳以上の7人に1人が認知症になると推計されています。
自分だけはならないという保証はどこにもありません。
万一、認知症になったり寝たきりになってしまったら、その後の生活は嫌でも子供や配偶者、親族などに託すことになります。
介護保険を利用したくても、その手続きをしてくれる人がいなければ、ホームヘルパーは来てくれません。
契約しなければ、老人ホームにも入所できません。
ですから、元気なうちに「老後をどこでどう過ごしたい」のかを考え、それを然るべき人に託しておく必要が出てきます。
- 老後はどこで誰と暮らしたいか
- 介護が必要になった場合、主に誰に介護されたいか
- ヘルパーなど身内でない人に介護されることをどう思うか
- 介護施設に入所することをどう思うか
- 医療機関での延命措置や尊厳死についてどう思うか
- 献体や臓器移植をどう思うか
- 遺言を書いているか
- 死後の事務を誰に頼むか
手始めに家族や親しい知人などに「自分はどんな生き方がしたいのか」、「老後の生活をどう考えているのか」を伝えておくことが大切です。
そして、認知症になっても尊厳を持って生きられる、自分の望む生活を実現する為に、財産をどう使うのかも考え、手筈を整えておく必要があります。
「まだ元気だから…」ではなく、「元気だからこそ」今のうちに自分の生き方をきちんと考えておかなければならないのです。
特に子供のいない人、子供に頼らないという人はしっかり考え、早めに準備しておかなければなりません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。