純金投資ってどんなもの?
金投資を考えているが、どんな商品から始めたらいい?
こんな疑問・悩みを解決します!
- 金の特徴
- 金投資の仕組み
- 金価格の変動要因
- 金投資のポイント
- 金投資の手法
金の特徴
金には、株、債券などの金融商品にない特徴が幾つかあります。
その一つは、発行体がないことです。
株や債券には発行体があり、その破綻によって、株や債券の価値がゼロになる可能性があります。
それに対して、金は「実物資産」であり、発行体というものが存在しないので、デフォルトリスクがありません。
実物だから安心というのは、価値がゼロにならないという意味です。
例えば、株は会社が倒産すると価値がゼロになります。
その点、金は手元に残り、取引価格が下がったとしても価値はゼロにならないのです。
過去に価値がゼロになったことはなく、長期的には資産を保全する効果が高いことから、金は「安全資産」と位置付けられています。
もう一つの大きな特徴は、インカムゲイン(配当金・分配金・利息・家賃収入など)がないことです。
預貯金の利息、債券の利子、株式の配当など多くの金融商品にはインカムゲインがあるのに対して、金から得られるインカムゲインはありません。
金投資で得られるのは、買った時より高い価格で売却することによる差益(キャピタルゲイン)となります。
また、株、投資信託、外貨には複数の種類がありますが、金は世界中どこへ行っても金であり、1種類です。
その点でもシンプルと言えますし、情報分析などに手間が掛かることもないでしょう。
これから資産運用をスタートする人にとっても、金は持ちやすい商品と言えるでしょう。
それに加えて、現預金はインフレ時に実質的な価値が下がりますが、実物資産である金の価値は下がりにくいため「インフレに強い」と言われます。
株は経済が活発化すると価格が上昇し、経済が停滞したり社会情勢が不安定になったりすると価格が下落する傾向にあります。
一方、金の価格は株とは異なる要因で変動するので、金をポートフォリオ(資産構成)に加えることで「分散投資」が可能になります。
実物資産には金の他に不動産や美術品などがありますが、金はそれらに比べて「流動性」が高いことも特徴と言えます。
金価格の変動要因
金の価格は複合的な要因で変動します。
要因の一つは「金利」です。
国際的に金は、1トロイオンス(31.1035ℊ)を単位として「米ドル建て」で取引されており、米国の金利の影響を受けます。
一般的に金利が高い時は、インカムゲインのある債券などに対して、インカムゲインを生まない金は相対的に魅力が薄れて価格が下落します。
金利が下がると債権のメリットが相対的に下がり、緩和マネーが金市場に流入することもあって金の価格が上昇しやすくなります。
「地政学リスク」も変動要因です。
有事の金と言われるように、国際情勢が不安定になったり経済状況が悪化したりした時に金が買われて価格が上昇する傾向にあります。
安全資産としての評価は今もあり、例えば、戦争リスクなどが高まった際などには「有事の金」として買い手が増えることがあります。
金実物の需給も金価格に影響をもたらします。
世界的に宝飾品などの需要が高まれば金価格が上昇します。
日本では、米ドル建てで取引されている金を1ℊ当たりの円に換算して売買します。
そのため、日本での金価格は、ドル円の「為替レート」の影響を受けます。
金投資の方法
金投資には、金地金や地金型金貨といった「金の現物を購入」する方法と、純金積立、金ETF、金関連の投資信託といった「金融商品を利用」する方法があります。
金地金
バー、インゴット、延べ棒などと呼ばれる実物の金地金は、貴金属会社や地金商などが販売しています。
重量・サイズによって1㎏、500ℊから5ℊまで数種類あり、販売しているサイズは取り扱い会社によって異なります。
金地金には、購入する時に適用される「小売価格」と、売却する時に適用される「買取価格」があり、1㎏バー、500ℊバー以外のものは、売買時にバーチャージと呼ばれる手数料が掛かります。
小売価格と買取価格の差(スプレッド)やバーチャージは取り扱い会社によって異なります。
金地金は取り扱い会社の店頭で購入します。電話やインターネットで申し込み、郵送等で現物を受け取れる取り扱い会社もあります。
地金型金貨
地金型の金貨(コイン)は地金より少額での購入・売却が可能です。
デザイン性が高いことから、蒐集したりギフトとして使ったりするニーズもあります。
地金型金貨にも小売価格と買取価格があり、サイズが小さいほどスプレッドが大きくなります。
金地金と地金型金貨は購入時に消費税が掛かり、売却時は売却価格に消費税が上乗せされます。
売却益は原則、譲渡所得として総合課税の対象となります。
金の実物を購入者自身が保管する際は、盗難や自然災害などで失われるリスクへの対策を考えなければなりません。
純金積立
毎月一定額で買える量だけ金を購入していく仕組みで、高値づかみの心配がなく、ドルコスト平均法によって購入価格が平準化される効果も見込めます。
貴金属会社や地金商の他、一部のネット証券会社など数社が扱っており、最低積立金額は1,000円或いは3,000円など。
購入時には1.5~3%程度の手数料が掛かりますが、売却時手数料はゼロのところが多く、毎月の他、スポットでも購入できます。年会費が必要な取り扱い会社もあります。
購入した金は売却して現金化する他、取り扱い会社によっては現物引き出しが可能なところもあります。
但し、手数料や送料が掛かります。
積立購入した金は、取り扱い会社が保管することになります。
保管方法は2つあります。
- 混蔵寄託 … 預けた金が購入者の名義で保管され、取り扱い会社の資産と分別管理される
- 消費寄託 … 金の所有権が取り扱い会社に移転し、取り扱い会社の名義で保管され、購入者は返還請求権を持つ形になる
金ETF
金ETFは金価格に連動することを目指して投資を行う上場型投資信託です。
東京証券取引所には現在、金価格に連動するETFが4銘柄上場しています。
- SPDR ゴールド・シェア【1326】
- NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信【1328】
- 純金上場信託 (現物国内保管型)【1540】
- WisdomTree 金上場投資信託【1672】
証券口座を持っていれば、数千円から購入でき、手軽に金投資をスタートすることができます。少額から低コストの投資が可能で、購入者が金を保管する必要がないのがメリットと言えます。
金関連の投資信託
金に関連した投資信託には、金ETFを投資対象とするものや、ファンド・オブ・ファンズ(複数の投資信託を組み入れる投資信託)方式で間接的に金現物に投資するものなどがあります。
その多くは投資対象が米ドル建てで、為替ヘッジあり・なしが選べるようになっています。NISAの成長投資枠の対象商品もあります。
まとめ
インフレに強いとされる金は、信用リスクのない実物資産です。
しかし、利息も配当金も生まないというデメリットがあります。
値上がり益を追求する性質の商品でもありません。
金の価格は株や債券の価格が下がる時に上がる傾向があるため、株や債券などペーパー資産のリスクをヘッジする一手段となります。
あくまでも、資産保全のための「保険」と考えましょう。金を保有する場合、多くても全資産の1割程度に止めておくのが基本です。
具体的な金の投資方法には、「金地金」「地金型金貨」「純金積立」、金価格に連動する「金ETF(上場投資信託)」などがあります。
商品によって特徴があり、手数料も異なります。
金地金、地金型金貨は、購入するサイズが小さくなるほど手数料が割高になる傾向があります。
金の国際価格は米ドル建てのため、円建ての国内の金価格はドル円相場の影響を受けます。
金現物を持ちたい場合、売却時も考慮すると、地金型金貨が向いています。金地金、金貨、純金積立の現物のいずれも売却した時の利益は「譲渡所得」になります。
譲渡所得は年間50万円以下の特別控除がありますから、金現物の場合、売る時に小口で売却できる金貨が手軽で、特別控除も活用しやすいと言えます。
子供や孫に相続する際も、金貨なら1枚、2枚と小分けにして渡しやすく便利です。
ただ、金現物を保有する場合、盗難・紛失リスクがあるので要注意です。
金を手元に置かず、株式のように市場で売買したい時には、金ETFを選択すれば良いでしょう。
金ETFは手数料などのコストも低めで、盗難・紛失リスクなどもありません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。