何に投資したら良いか分からない…
金融商品購入時のチェックポイントは?
こんな疑問・悩みを解決します!
- 主な金融商品の特性と基礎知識
- 運用商品のリスクとリターン
- リスク管理(分散投資)について
- 金融商品購入時のチェックポイント
はじめに
投資には何から始めなければいけないというルールはありません。
初心者は「投資は難しそう」と躊躇するかもしれませんが、老後を支える運用力を高めるには、早いうちに投資に慣れることが大切です。
年老いてから投資デビューをして大失敗すると、取り返しが付かないことになりかねません。
- 投資デビューの心得 -
- 投資は必ず余裕資金で!
- 投資対象・時間を分散する
- 興味のあるものから始める
- 売る時のことを考えて買い方を工夫する
- 窓口で勧められるまま商品を買ってはいけない
- 非課税制度があってもリスクを取り過ぎない
- 欲を出し過ぎない
初心者は「興味があるもの」から投資を始めるのが、長続きの秘訣です。興味のある投資対象がない場合は、「分かりやすいもの」から始めましょう。
投資で利益を手にするためには、必ずリスクを取ることになります。
投資での「リスク」は「価格の変動の大きさ(ブレ)」を意味します。
大きなリターンを得ようとすれば、大きなリスクが伴います。
リスクと上手く共存する戦略を持つのが投資の大前提となります。
リスクをできるだけ抑え込む方法の一つが「分散投資」です。
分散投資には、値動きが異なる傾向の投資先に分けて投資する「投資対象の分散」、買う時期を分散する「時間の分散」などがあります。
大切な老後の資金を無駄にしないためにも、値下がりしないものに投資したいところですが、何が値上がりし、何が値下がりするかを予測するのは困難です。
リスクを減らしたいなら「分散投資」を忘れてはいけません。
預貯金
預金とは、文字通り、銀行に一時的に預けるお金のこと。
最大の特徴は、1千万円までなら元本割れは決してないという点にあります。
その反面、得られる利息は少ないという特徴も。
主な預金には、普通預金・定期預金・貯蓄預金があります。
普通預金は預入期間の定めがなく、いつでも自由に出し入れできて便利ですが、金利が低く設定されています。
定期預金は預入期間の定めがあり、原則、満期まで預ける前提ですが、適用金利は普通預金よりも高いのが特徴です。
因みに「貯金」とは、ゆうちょ銀行に一時的に預けたお金のこと。預ける組織が違う他は、預金と同じような特徴を持っています。
いずれの商品も、銀行や郵便局の窓口に足を運べば、簡単に運用を開始できます。
預貯金は、1金融機関で預金者1人当たり、元本1,000万円までとその利息が預金保険制度(ペイオフ)で保護されます。
金融機関が破綻しても、預けているお金はこの範囲内で払い戻されます。
尚、外貨預金は保護の対象外なので注意しましょう。
低金利時代が続いている現在、少しでも高い金利を求めるなら、「インターネット銀行の定期預金」に注目すると良いでしょう。
ネット銀行は、通常の店舗型銀行に比べ、金利を高めに設定できるほか、振込手数料なども安く設定できるというメリットがあります。
店舗型の銀行と比べて職員が少なく済むので人件費が抑えられ、ネット上で取引が完結できることから店舗コストも削減でき、大幅なコストダウンが図れるからです。
しかも、実際のお金の出し入れは、通常の銀行の預金と同じようにコンビニやATM、郵便局などで行えます。
更に口座にお金が入っていれば、ネット上から「残高照会」「入出金明細の照会」「定期預金の預入や解約」「外貨預金の預入や解約」「投資信託の購入や解約」といったこともできます。
つまり、窓口やATMまで出向かなくてもパソコンやスマートフォンで、いつでも好きな時に、残高や入出金明細の照会ができるのです。
ネット銀行にはネット専業銀行と、通常の銀行のインターネット支店があります。
ネット上にある金融機関は、店舗が見えないため、不安を感じる人がいるかもしれません。
しかし、ネット専業の銀行であっても、破綻した時は、通常の銀行と同じように預金保険の対象となります。
つまり、1千万円までの元本とその利息は全額保全されるのです。
ネット銀行を選ぶ際は、自分の生活圏に利用できるATMがあるかなどの利便性もポイントです。
また、入出金などに手数料が掛かる場合もあるので、各行サイトで確認をしましょう。
債券
預貯金以外の安定した運用先として、債券が挙げられます。
債券とは、国や地方自治体、企業などが幅広く投資家から資金を調達する目的で発行する証書です。
発行体(発行元)が破綻しない限り、決められた利子を定期的に受け取れ、満期日まで保有すれは額面金額が戻ってきます。
国内で発売される債券は、公共債と民間債に大別されます。
公共債のうち、国が発行する債券は国債、地方自治体が発行するものは地方債と呼ばれます。
債権は、一般的な表現として「買う」「売る」といった言葉を使いますが、実際には売買ではなく、お金を貸し、将来的に返してもらうというやり取りです。
「貸す」という点が株や投資信託との大きな違いです。仕組みとしては預金に近いと言えるでしょう。
預金は、銀行にお金を貸すのと同じです。
銀行は、そのお金を企業などに貸して、利益の一部を利息として預金した人に分けます。
債券も、お金を借りた組織(債券の発行体)が事業などを行い、利益を得ます。
その一部が利息として投資家に払われるわけです。
利子収入の仕組みは銀行の定期預金と似ています。
銀行の定期預金は、預け入れる時に予め利率や満期で戻ってくる日が決まっています。
債券も同じで、債券発行時に満期と利率が決まっています。
運用面だけを見ると定期預金に似ていますが、債券にはデフォルト(債務不履行)などの信用リスクや、流動性リスクがあることに留意しましょう。
債券のリターンである利息は、発行体の信用度によって変わります。
信用度は、潰れる可能性と言い換えても良いでしょう。
債券のリスクは、発行体が破綻することにより貸したお金が減ったり、戻ってくるまでに時間が掛かったりする可能性があることです。
そのリスクは発行体によって変わります。
例えば、国の破綻は極めて珍しいケースですので、お金を貸す相手(投資先)としてリスクが小さいと言えます。
一方、企業、地方自治体、新興国の政府機関などは、国よりも破綻するリスクが大きくなります。
その分、国債よりも利率が高く設定されます。
発行体のリスクは、信用度を評価する格付け機関(Moody’s・S&P・JCRなど)で確認することができます。
また、外貨建てで運用する外国の債券は、為替変動によって利息や償還時の金額が変わることがあります。
利息を受け取る時や償還日の為替レートが、購入日よりも円安になっていればリターンは増えますが、円高になっているとリターンが減り、投資金額を下回る可能性があります。
満期日は、債券投資では「償還日」と呼ばれます。基本的には、貸したお金が全額返ってきますので、株などと比べると元本割れリスクが小さいのが特徴です。
また、預金を中途解約できるように、債券は、債券そのものを市場で売却することによって現金化することができます。
但し、中途解約の場合は元本割れする可能性もあるので、注意が必要です。
株式
株式投資とは、企業の株式を買ったり、売ったりすることです。
個別株投資とも言います。
預貯金や国債などよりもハイリターン(高い収益)を期待できる株式は投資の王道ですが、ハイリスク商品でもあります。
株価が値下がりするリスク、企業の倒産で株式が無価値になるリスクもあり、1社だけに多額の資金を集中投資するのは避けましょう。
株式に投資する際は、複数の業種や銘柄に分散投資するのが望ましいとされます。
株式投資で狙える主な利益には、
- 値上がり益(キャピタルゲイン)
- 配当金・株主優待(インカムゲイン)
があります。
値上がり益は、買った時点より株価が上がった時に株式を売却することによって得られる売買差益です。
株価が上がる条件としては、企業の業績が良いことや、事業の内容が注目されていることなどが挙げられるでしょう。
成長性・安定性のある企業の株は買われやすく、中には株価が安いまま放置されているものもありますので、企業分析などを通じてそのような企業(銘柄)を見つけることが売買益を得るポイントと言えます。
また、企業の業績は景気に左右されますので、経済状態が良いことも大事です。
配当金は、会社が得た利益を株主に還元する際に分配されるものです。
配当金は、保有する株数によって受取金額が変わります(配当金×保有株数)。
例えば、1株当たり10円の配当金なら、100株保有する人は1,000円、1万株持つ人は10万円の収入を得られます。
但し、国内市場に上場している全ての銘柄に配当金があるわけではありません。また、配当金額は増えたり、減ったり、無くなったり、復活したりすることがあります。
投資家から見ると、配当金がもらえるのは嬉しいことですので、増配や復配は株価の上昇要因になります。
一方、配当金が少なくなるのは株価の下落要因です。
インカムゲイン狙いの投資家にとっては売る理由になります。
また、減配や無配転落は、経営や業績の悪化による場合が多いため、その点で警戒した株主が売ることにも繋がります。
株主優待は、制度を設けている企業の自社製品や優待券、食料品などを受け取れる特典です。
株主優待も株を保有しているだけで受け取れますので、これも一種のインカムゲインと言えるでしょう。
全ての企業が株主優待を設けているわけではありません。業績悪化で購入時にはあった株主優待がなくなることもあります。
いずれにしても、配当金や優待品を定期的に出せるということは、それだけ経営が安定していると評価でき、長く持てる株を探すポイントにもなります。
配当金額や株主優待の内容は証券会社のウェブサイトなどで確認できますので、調べてみると良いでしょう。
株式は証券会社を通じて売買できます。
株式を買うのに最低限必要な購入金額は、株価と単元株数を掛けた金額になります。
株式の購入時と売却時に株式売買手数料を証券会社に払いますが、投資信託における運用管理費用(信託報酬)のような保有コストは掛かりません。
売買手数料は証券会社によって異なります。
一般的にネット証券が安く、店舗を持つ従来の証券会社は高めの傾向があります。
証券会社を選ぶ際は、こうした手数料なども比較して検討すると良いでしょう。
投資信託
投資信託は、投資家から集めた資金を運用の専門家である「ファンドマネージャー」がまとめて運用してくれる金融商品です。
投信やファンドとも呼ばれます。
海外の株式や債券、不動産、コモディティ(商品)など「個人が直接投資するのが難しい対象」でも、投資信託を購入することで手軽に投資できる上、少額でも幅広い分散投資が可能です。
多くの投資信託は1万円程度から購入できます。
ネット証券などでは百円程度から買える商品も扱っています。
投資信託は証券会社の他、銀行などでも購入できます。同じ商品でも、銀行よりネット証券を使う方が販売手数料などが安い場合もありますので、商品を検討する際は必ずチェックしましょう。
リスクやリターンは投資対象によって異なります。
株式と債券を単純に比較して考えれば、債券の方が価格変動は小さく、株式で運用する方が儲かる時も大きく、損をする時も大きいと言えます。
重要なポイントは、その投資信託がどのようなリスクを持っているかです。
例えば、国内株式に投資する投資信託には価格変動リスクがありますが、同じ株式型といっても、外国株に投資する投資信託には価格変動リスクの他に、為替変動リスクが加わります。
投資信託の商品を調べる際は、どのリスクがどのくらい大きくなりがちかを認識しておきましょう。
預貯金と違い、投資信託には元本保証がありません。また、販売会社や運用会社が破綻しても、信託財産は別の信託銀行に保管されているので、預けている資産は保全されます。
投資信託は自分に代わってプロに運用をしてもらうわけですから、その分のコストも掛かります。
投資信託に掛かる主なコストには、購入時に販売会社に支払う「販売手数料」、利益を出したかどうかに関わらず、保有している期間中ずっと信託財産から差し引かれる「運用管理費用(信託報酬)」などがあります。
販売手数料の掛からない「ノーロードファンド」の取り扱いは銀行でも徐々に増えていますが、取り扱い数はネット証券が圧倒的に多いと言えます。
同じような商品であれば、コストが安いものの方が有利でしょう。
尚、プロが運用するからといって、リスクが軽減するわけではありませんので過信は禁物です。
投資信託は運用方法によって、
- インデックスファンド
- アクティブファンド
に分けられます。
インデックスファンドは、日経平均株価など特定の指数(インデックス)に連動するように設計された投資信託です。
ニュースで耳にする株価指数と同じような値動きをするので、初心者にも分かりやすい商品と言えます。
アクティブファンドは、ファンドマネージャーなど専門の運用チームが調査や分析を基に投資対象や組み入れ比率、売買のタイミングなどを判断し、市場平均を上回る運用成果を目指す投資信託です。
運用が上手くいけば大きな利益を得られますが、場合によっては市場平均を下回ることもあります。
投資の世界では、国内の株式と債券、海外の株式と債券という伝統的な四つの試算を持つのが分散投資の基本とされます。投資信託を複数購入する際も、分散投資を心掛けると良いでしょう。
値動きの傾向が異なる複数の資産をバランス良く組み合わせた「バランス型ファンド」もあります。
このタイプは、一つのファンドで分散投資の効果が得られます。
値動きの傾向が異なる複数の資産にバランス良く投資できるように、自分で投資信託を組み合わせるのもお勧めです。
投資信託が上げた収益や元本の一部は、決算ごとに投資家に分配されます。
これを「分配金」と言います。
分かりやすく言えば、株式の「配当金」と似た性質のお金です。
分配金の額は運用成績次第で変わり、場合によっては0円のこともあります。
近年、初心者には理解できないような複雑な仕組みの投資信託が増えており、商品の運用リスクや仕組みが分からないのに勧められるまま買って、後でトラブルに発展するケースが増加しています。
投資信託に限らず、自分が十分に理解できない金融商品には安易に手を出さず、どのような商品なのかを調べて勉強することから始めましょう。
外貨預金
円安の進行を背景に、金融資産を日本円だけで持たず、外貨にも振り分けて分散投資したいと考える人は増えているでしょう。
外貨投資の代表的な方法として、身近な銀行で始めることができる「外貨預金」があります。
外貨預金は、円と外貨の取引レートを使った投資です。先ずはその仕組みを押さえておきましょう。
外貨預金は、預金という名前が付いている通り、基本的な仕組みは円預金と同じです。
円預金が、円をそのまま預けたり引き出すのに対し、外貨預金は、円を外貨に交換した上で預けたり引き出したりするという点に違いがあります。
重要なのは、その時の「為替レート」です。
円、ドル、ユーロといった各国・各地域の通貨は、為替市場にて取引されています。
また、取引レートはその都度変わり、1ドル=100円の時があれば、110円に上がることもあります。
例えば、1ドル=100円の時に1万ドル買うための資金は100万円です。
そのレートで買ったドルを110円の時に売ると、110万円になります。
ここで生まれる利益(為替差益)が外貨預金のリターンになります。
但し、必ずしも利益が出るとは限りません。
1ドル=100円で1万ドル買い、その後、90円になったとしたら、10万円の損失(為替差損)が発生します。
このように、外貨預金は円高(外貨安)の時に買い、円安(外貨高)の時に売るのが基本です。
そのタイミングを見極めることが利益(キャピタルゲイン)を得るために最も重要なポイントになります。
為替は株価など同じように常に変動しますので、その値動きによって利益が生まれます。因みに、円安とは1ドル=100円から110円に上がること、円高は、100円から90円に下がることを言います。
ドル / 円やユーロ / 円のレートは、銀行のウェブサイトなどで確認できますし、日々のニュースでも報じられますので、値動きが掴みやすいと言えるでしょう。
また、為替は株価にも影響するため、大きく為替が動いた時の情報や原因なども報じられます。
分析できる情報が多いという点でも、外貨預金は取っ付きやすい投資と言えます。
外貨預金では、インカムゲインとなる「利息」を得ることもできます。
現状、円預金の金利はほぼゼロですが、海外には利率が高い銀行もあり、外貨預金はそのメリットを得られるのです。
金利が高い通貨は値動きが不安定になりやすいという注意点もありますが、当面使う予定のないお金を外貨として持つのも有効な投資手段と言えます。
外貨預金は身近な銀行で始めることができ、その手軽さから投資初心者にも人気があります。
しかし、外貨預金には、円を外貨に替える時や外貨を円に戻す時に掛かる「為替手数料」が高めというデメリットがあります。
手数料の金額は、銀行が提示している外貨に替えるレート(TTS)と外貨を円に戻すレート(TTB)の差です。
そのため、外貨預金を始める場合は、ニュースなどで耳にする為替レートだけでなく、銀行で実際に売買するレートを確認することが重要です。
また、ペイオフ(預金保険制度)の対象外のため、銀行が破綻すると、預けたお金を失う恐れもあることを覚えておきましょう。
FX(外国為替証拠金取引)
FX(外国為替証拠金取引)とは、外国為替を使った運用方法ですが、それではよく分からないという人も多いかもしれません。
先ず「外国為替」とは、日本円と米ドルなど、異なった二つの通貨を交換する取引です。
次に「証拠金取引」とは、証拠金という一部のお金を担保に、その金額の何倍もの取引をすること(レバレッジとも言う)になります。
つまりFXとは、少額のお金(証拠金)で大きな金額の外貨を取引することになります。
小さな力で重い物を持ち上げる「てこの原理」を意味する言葉で、少ない資本金でも大きな金額の取引ができるシステムのこと
FXも外貨預金と同じように、外貨の取引でリターンを狙うものです。特徴は、外貨預金よりも大きなリターンが狙えることです。FX口座に入れたお金(証拠金)にレバレッジを掛け、最大25倍の金額の取引ができるからです。
例えば、レバレッジ25倍であれば、証拠金が4万円で100万円分の外貨が購入できます。
仮に1ドル=100円の時にドルを買い、101円に上がったとしましょう。
取引額4万円で外貨預金した時の利益は400円です。
一方、FXで25倍のレバレッジを掛けると、100万円分のドルが買えます。
そのため、1ドル=100円から1円円安に動くと1万円の利益が得られます。
つまり、外貨預金の利益の25倍になります。
これが「レバレッジの効果」で、手持ちの資金が少なくても効率よくリターンを狙えるわけです。
利益を得たら、そのお金は証拠金に加わります。
証拠金は4万円で1万円の利益を得た場合、証拠金の額は5万円になり、次はその25倍となる125万円まで外貨を取引できるようになります。
因みに、円と外貨で金利差がある場合は外貨預金のように利息(スワップポイント)を得ることができ、その際も最大25倍のレバレッジが掛かります。
FXでもう一つ特徴的なのは、外貨を買うだけでなく、売ることもできる点です。
FXと外貨預金は、共に外貨を扱う点は同じですが、外貨預金は外貨を買って保有しますので、円安になる時にしか利益が出ません。
一方、FXは外貨を売ることができます。
例えば、1ドル=100円の時に米ドルを売り、99円になった時に買い戻すことで、円高に動いた時でも利益を得ることができるのです。
為替相場は常に変動し、円安と円高を繰り返します。
円安になる時だけでなく、円高に動く時にもリターンが狙えるのがFXの大きな特徴なのです。
注意したいのは、利益だけでなく、損失にもレバレッジが掛かるという点です。
損失額は前述した利益の計算方法と同じで、レバレッジ25倍の取引なら、損失も25倍になります。
仮に証拠金が4万円で、1万円の損失が発生したとしたら、証拠金の残高は3万円になり、次に取引できる金額も最大75万円に減ります。
そのため、為替変動のリスクと資金管理に細心の注意が必要となります。
株価と比べると為替レートの急変は緩やかではありますが、相場の変動に備えて、レバレッジを低くしたり、投資額を少なくしたり、ポジションを建てる期間を短めにして、細かく利益確定・損切りするのが良いと言えるでしょう。
CX(商品先物取引)
先物取引は、金やプラチナなど貴金属、大豆やトウモロコシなどの農産物、原油などのエネルギーを対象とする取引です。
FXと同じく「証拠金」と呼ばれる保証金で取引します。
先物取引で特徴的なのは、大豆や金の現物を「保有」したり、「売買」する取引ではないということです。
この点はFXと同じです。
FXで外貨を買っても、その外貨を買い物に使うことはできません。
先物取引も、大豆の先物を買ったからといって、半年後に大豆が家に届くようなことはありません。
買ったものは売って決済し、売ったものは買い戻して決済するという「反対売買」というやり方で取引を完了させます。
簡単に言うと、先に挙げたような投資商品を、将来の決められた日に、今決めた価格で売買する契約を結ぶということです。この売買による取引を「差金決済取引」と言います。
例えば、現在の大豆の価格が1万円で、半年後に値上がりしていたとすれば、今の価格で買う契約をしておくと将来的に利益が得られます。
つまり、半年後に1万円で買う契約をしておくわけです。
先物取引で買う契約をしておけば、今と半年後の価格の差を利益として受け取ることができるわけです。
また、先物取引は買う契約だけでなく売る契約もできますので、値下がりすると考えた場合も利益が狙えます。
今の価格が1万円で、半年後に9,000円になるとすれば、予め1万円で売って、9,000円で買い戻すことによって1,000円の利益が得られるのです。
このように、買いと売りの両方が選択できるため、利益獲得のチャンスが広くなります。
因みに、買った商品を売ったり、売った商品を買い戻す期日は予め決まっており、この日のことを「限月」と言います。
買いでも売りでも、期日までに反対売買をして決済し、売る権利・買い戻す権利も、この日で消滅します。
先物取引は、将来的に売る(又は買い戻す)という出口が決まった上で行われますので、期日が来れば決済されます。
その時の価格と、今の価格の差が利益・損失になる仕組みなのです。
ただ、証拠金という一部の保証金で大きな数量を売買するため、大きな利益が期待できる反面、証拠金以上の損失が発生する危険もある、まさにハイリスク・ハイリターンの取引です。
純金投資
数ある投資商品の中でも、金は比較的安心して持てる資産の一つとして評価されています。
その理由は、運用の仕組みがシンプルであるためです。
金の運用(純金投資)は、金価格を見て売買するのみです。
株のような配当金はなく、売買益(キャピタルゲイン)だけを見るため、分かりやすい点が特徴と言えます。
また、株は国内市場だけで約3,800種あり、投資信託はその何倍もの数があります。
一方、金は1種類で、世界共通の資産です。
その点でもシンプルで、値動きを分析したり、情報を集める手間も少なく済みます。
株式や債券などの金融資産に特有の「発行体の信用リスク」がない実物資産の金は、インフレに強いとされます。
しかし、金は持っているだけでは利息も配当も生みません。
金利を生まない金にとって、利上げは天敵と言えます。
利上げ観測が高まったり、利上げが実施されたりすれば、金は売られる傾向があります。
金は「守りの資産」であり、金融資産のリスクヘッジの一手段として考えるべきでしょう。金を保有する場合、全資産の5~10%程度以内に収めるのが一般的な目安となっています。
金投資の方法もシンプルで、取り扱い業者で売買するだけです。
取引価格はインターネットなどで確認できますし、取り扱い業者の店頭などでも明記されています。
買う方法としては、一度にまとめて買うこともできますし、月々いくらと決めて積み立て感覚で買っていくこともできます。
金は、株などと比べて値動きが小さく、ローリスクと言えますが、投資商品の一種ですので価格が急騰・急落する可能性もあります。
そのリスクを抑えるのであれば、中長期の運用を前提に、積み立てながら資産を増やしていくのが良いでしょう。
注意したいのは手数料です。純金の売買では、金の購入時と、保有する金を現金に戻して引き出す時に手数料が掛かり、業者によって差があります。
また、外貨預金と同じように、金にも買う値段と売る値段の差があります。
例えば、1グラム当たりの小売価格(購入価格)が4,800円、買取価格(現金化する際の価格)が4,750円であれば、50円以上値上がりしなければ利益が出ません。
また、業者によっては口座の管理料として年会費などが掛かる場合もありますので、その他の手数料についても確認しましょう。
不動産投資
不動産投資とは、一般に不動産物件を購入し、その物件を貸し出して、賃料収入を得て収益を上げていくことです。
不動産の運用で得られるリターンも、株と同様、キャピタルゲインとインカムゲインに分けられます。
キャピタルゲインは、不動産の取得価格と売却価格の差から生まれる売買益です。
物件(主に土地)の価格は景気と連動して動きますので、不況時に安く買うことができれば、その後の景気回復時に地価が上がり、大きなリターンを得られる可能性があります。
但し、不動産は買い手を探すのが難しく、希望するタイミングや価格で売れないリスク(流動性リスク)があります。
その点から見ると、物件を長く保有してインカムゲインとなる家賃収入を得る投資の方が現実的と言えるでしょう。
地価の値動きと比べると、家賃収入は余り大きく変動することがないため、仮に不景気になったとしても比較的安定してリターンが得られます。
短期で大きく儲かる可能性は低くなるため、中長期で物件を保有し、利益を積み重ねるのが基本的な運用方法です。
また、物件は実物資産であり、価値がゼロになることは考え辛いため、自分に万一のことがあった時の保険代わりにもなります。
いずれにせよ、不動産を保有することになるので、多額の資金が必要となります。
よって多くの不動産投資は、ローンを組み、ローンの支払額以上の賃料収入を得て、投資効率を上げるという形態を取っています。
自分が保有している不動産を活用する場合は資産の活用と言えるでしょう。
一方で、収益物件を購入して運用する場合、収益源の賃料収入と同時にローンの返済もあります。
言わば、負債と収益を同時に抱えているようなものです。
また、購入した不動産の売却を考えた場合、購入物件の築年数や立地条件などによって、売却条件が合わない場合も想定されるので、難しい投資と言わざるを得ません。
購入する物件の立地条件を考えるだけでなく、管理費用や税金なども考慮した上で、投資物件を決めなければならず、更にローンの支払いも念頭に収益を考えなければなりません。
- 不動産投資のリスク -
- 購入リスク … 購入した物件に欠陥や瑕疵のあるリスク
- 借入リスク … 借入による物件購入の場合、返済が滞るリスク及び金利の変動リスク
- 空き家リスク … 空室率の増加による収益減少に陥るリスク
- 補修リスク … 物件の設備や建物が壊れた場合の補修費負担リスク
- 火災リスク … 入居者の不注意による出火等のリスク
- 天災リスク … 地震等の天災による物件損壊のリスク
- 流動性リスク … 物件を売却する場合、思うような価格ですぐに売買できないリスク
- ローンリスク … 何らかの原因で借入金以下の金額で物件を売却した場合、ローン残高だけが残るリスク
不動産投資は、長期の計画を持ち、ローンや管理費、税金等の経費など、様々なリスク要因を考えた上で運用していかなければならない投資と言えます。
金融商品購入時の注意点
様々な種類の金融商品が発売され、新聞広告もよく見かけますが、カタカナや専門用語が多く、理解できないことが殆どです。
説明を何回読んでも分からない金融商品は、購入しないことが大原則。
どうしても理解したいなら、
- 資料を請求する
- 理解できないところは電話で問い合わせを行う
という方法があります。
ただ、普通に読んで分からないのであれば、一般人の理解の範疇を超えた専門的な内容になっている可能性もあります。
内容が分からない、理解できない金融商品には手を出さない!これが投資の鉄則です。
このことは、何も投資信託や株式などに限ったことではありません。
生命保険商品や外貨投資など、金融商品の全てに対して言えることです。
金融商品の中には借りたお金で取引を行うものもあり、あっという間に元本が減って気が付いたらゼロ、もしくはマイナスという場合もあります。
投資額や手数料、取引の仕組み、リスクに関する考え方と税金について確認した上で、取引可能な金融商品を選びましょう。利益を出すのも損をするのも自分の責任です。
- 金融商品購入時のチェックポイント -
- 説明は十分分かりましたか?
- 手数料や報酬などがいくら掛かるか確認しましたか?
- 絶対に損はしない、絶対に儲かるという誘い文句で勧誘されませんでしたか?
- 金融商品について、理解できましたか?
- 元本割れのリスクについて分かりましたか?
- 解約時の条件の有無は分かりましたか?
- 投資しようとしている資金は、余剰資金ですか?
- 訪問や電話での勧誘ですぐ契約するのは止めましょう!
長期投資を心掛ける、分散投資を行う、リスクを知るなどは、投資の基本と言えるでしょう。
上手い話には必ず裏があります。どんな金融商品を選ぶか、金融機関はどこにするのかは、大事な選択だと言えます。自分の価値観に合った金融商品・金融機関を選びましょう。
まとめ
世の中には様々な金融商品があり、それぞれ異なった値動きをしています。
国内外の株式や債券、更に先進国なのか新興国なのかによっても違いがあります。
また同じ株式であっても、銘柄によって値動きはまちまちですし、米国株と欧州株では動きが異なるなど、地域による違いもあるでしょう。
株価が上がった時にはたくさんの資金が株式に集まり、債券を売ったお金で株式を買う人が増えるため、債券の価格が下がってしまうことが考えられます。
株式は上がり、債券は下がる。
つまり、株式と債券では逆の値動きをするというわけです。これらの値動きが異なるものを組み合わせれば、一つの投資先に集中するよりも、安定的な運用を行うことができるでしょう。
退職金の全部を一気に投資した後、金融危機が起こったら、資産が2倍になるどころか、半分になってしまうことも珍しくはありません。
売り買いのベストタイミングは、後になってみなければ誰にも分からないのです。
高値で買わないためには、一度に資金の全てを投入しないこと。また、積み立て制度を利用して購入することも視野に入れましょう。
株式や債券に投資する場合、投資先の企業が破綻すると株式や債券の価値はなくなってしまいます。
そこで、複数の企業に分散する方法をとりましょう。
また、日本は資源や食糧の大半を輸入に頼っているため、円安になると生活費の上昇が考えられます。
物価が上昇した場合、円だけに偏って投資をしていると、実質的な価値が目減りすることになります。
通貨や国も分散させましょう。
但し、外貨建て商品には為替リスクがあります。為替の変動によっては、円に換算した時に元本が割れる可能性があります。為替リスクを低く抑えるには、複数の国や地域の通貨に分散投資することが大切です。
肝心なのは「リスク」を抑えること。
投資対象やタイミングは一点に集中させずに分散投資を。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。