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不動産投資の仕組みと基礎知識

不動産投資って何?難しいの?

不動産投資はリスクが高い?本当に儲かるの?

こんな疑問・悩みを解決します!

  • 不動産投資とは
  • 不動産取引の流れ
  • 不動産投資の儲け方
  • 表面利回りと実質利回り
  • キャッシュフローとは
  • 投資物件の種類と特徴
  • 物件情報の集め方
  • 不動産投資のメリット
  • 不動産投資のリスク
  • 不動産投資で必要な各種費用
目次
  1. 不動産投資とは
  2. 物件購入の流れ
  3. 物件情報の集め方
    1. インターネット
    2. 不動産業者
  4. 投資物件の種類と特徴
    1. 一棟アパート・一棟マンションのメリット
    2. 一棟アパート・一棟マンションのデメリット
    3. 区分所有マンションのメリット
    4. 区分所有マンションのデメリット
    5. 戸建物件のメリット
    6. 戸建物件のデメリット
    7. 事業用物件のメリット
    8. 事業用物件のデメリット
    9. 新築物件のメリット
    10. 新築物件のデメリット
    11. 中古物件のメリット
    12. 中古物件のデメリット
    13. 都心の物件のメリット
    14. 都心の物件のデメリット
    15. 郊外・地方の物件のメリット
    16. 郊外・地方の物件のデメリット
  5. 不動産投資の儲け方
    1. インカムゲイン
    2. キャピタルゲイン
  6. 表面利回りと実質利回り
    1. 表面利回り
    2. 実質利回り
  7. キャッシュフローとは
    1. 入ってくるお金
    2. 出ていくお金
    3. 収支計算例
  8. 不動産投資のメリット
    1. 安定した収入が見込める
    2. レバレッジ効果
    3. 減価償却により節税効果まで
    4. 生命保険の代わりになる
    5. 相続税対策に効果がある
  9. 不動産投資のリスク
    1. 空室リスク
    2. 金利上昇リスク
    3. 不動産価格の下落リスク
    4. 流動性リスク
    5. 家賃滞納リスク
    6. 震災リスク
    7. 火災リスク
    8. 水災・風災リスク
    9. 修繕リスク
    10. 人災リスク
  10. 不動産投資で必要な各種費用
    1. 不動産購入時に必要となる費用
    2. 不動産保有期間中に必要となる費用
    3. 不動産売却時に必要となる費用
  11. まとめ

不動産投資とは

多くの人が投資と聞いて思い浮かべるものといえば、株式やFXが一般的かもしれません。

一方、不動産投資については「難しそう」「失敗を考えると手を出せない」などと考える人も多いのではないでしょうか。

そもそも不動産の購入が何で投資になるの?

不動産投資が投資になる理由、つまり不動産投資の目的は二つ。「家賃収入を得ること」と「売却時の利益を得ること」です。

言い換えれば、不動産投資とは不動産というものに資金を投下し、毎月入金される家賃か、将来的に売却した際の利益、或いはその両方で投下した以上のお金を得ることを目的とした投資です。

前者は、「人に貸して賃料を得る」、要するに定期的な賃料収入「インカムゲイン」を目指す投資です。

いわゆる「大家業」と呼ばれる人は、このインカムゲインが定期収入です。

一方、後者は「キャピタルゲイン」と呼ばれる売買差益を狙うものです。

「安く買って高く売る」という、不動産に限らず、あらゆるトレードの基本中の基本。

つまり、500万円で購入したワンルームが600万円で売れれば、投資に成功したと言えるということです。

このように、不動産投資はインカムゲインとキャピタルゲインを得ることが目的ですが、あくまで投資なので、上手くいかないケースもあります。

借り手がなかなか現れない、売却する価格が振るわない、そういったこともあるのです。

不動産投資は、投資の一つではありますが、実際には「不動産賃貸業」という事業の側面も強いです。そのため、不動産投資では、「自分で経営する」という意識が必要です。

物件購入の流れ

不動産取引の大まかな流れは以下の通りです。

  1. 物件情報を探す … 不動産業者にお願いしたり、インターネット情報を利用したりして、希望条件に合った物件情報を探します
  2. 物件を見る … 気に入った物件があれば、不動産会社にアポイントを取り、実際に物件を見に行きます。物件が入居中であれば、基本的に室内を見ることはできないので、外観のみの確認となります
  3. 買付け申込み … 物件について検討した結果、購入の意思が固まったら、書面で購入の申し込みを行います
  4. 事前審査を受ける … 金融機関からの融資を利用して不動産を購入する場合は、契約締結前に融資の可否について事前審査を受けます
  5. 重要事項説明を受ける … 購入しようとしている物件についての重要事項説明を受けます
  6. 売買契約 … 重要事項説明の内容に納得し、購入の意思が固まったら、正式に売買契約を締結します
  7. 本審査を受ける … 契約を締結したら、融資を受けるべく、速やかに金融機関の本審査を受けます。最終的に融資を受けられないということが確定すれば、売買契約は解除されることになります
  8. 金銭消費貸借契約 … 本審査を無事、通過したら、金融機関との間で金銭消費貸借契約を締結します
  9. 決済及び引き渡し … 売買残代金を支払うと共に、売主から不動産及び所有権移転登記に必要な書類の引渡しを受け、不動産売買取引は結了します

物件情報の集め方

物件情報の集め方は、

  • インターネットを使って自力で探す方法
  • 不動産業者にお願いして探してもらう方法

の二種類があります。

インターネット

物件を検索する時に利用するウェブサイトは大きく分けて次の二種類があります。

  • ポータルサイト
  • 自社運営サイト

ポータルサイトは、複数の不動産業者の取扱い物件を掲載していて、掲載件数が非常に多いのが特徴です。

一方、自社運営サイトは、基本的にその不動産業者が取扱う物件の情報のみを掲載しています。

主な収益物件のポータルサイトとしては、次の三つがあります。

各物件検索サイトでの検索は、どのサイトでもエリアや物件価格、利回りなどを指定するのが基本です。

色々と条件を変えてみて、どのような物件があるのか見てみると良いでしょう。

また、これらのサイトでは、物件情報だけではなく、不動産投資に関するセミナーやコラムなど様々な情報も提供しています。

不動産業者

一口に不動産業者といっても、業者によって専門分野に違いがあります。

例えば、売買を専門にしている業者もあれば、賃貸管理を専門にしている業者もあります。

さらに売買専門の業者については、居住用の購入者を対象にしている業者や、不動産投資家を相手にしている業者などに分かれます。

そのため、不動産投資家を対象とした売買事業を行なっている業者かどうかをしっかり確認しましょう。

一棟マンションや一棟アパート、区分所有マンション、一戸建てといった物件の種類によって、不動産業者の得意・不得意があり、扱っている物件数や情報量にも差が出ます。

そのため、自分が購入する物件の種類を明確にした上で、それを得意とする業者を選びましょう。

一番簡単なのは、楽待・健美家などの不動産投資ポータルサイトの中で、セミナーをやっている不動産業者を探すことです。

不動産投資セミナーなどで集客をしている不動産業者であれば、融資付けのノウハウや、購入後の運営管理、買い増していく方法、税務手続きの入り口など、個人の不動産投資家をサポートできる体制が整っている可能性が高いです。

その際は、こちらの要望や属性をしっかりと理解した上で、物件や金融機関を幅広く紹介してくれるかどうかをチェックしましょう。

投資物件の種類と特徴

不動産投資の対象となる物件は、大きく分けて次の7種類があります。

  • 一棟マンション
  • 一棟アパート
  • 区分所有マンション
  • 戸建住宅
  • 事務所ビル
  • 店舗ビル
  • 駐車場

色々あるけど、どんな物件を選ぶべき?

結論から言ってしまえば「人によりけり」です。

原則的には、投資規模が大きいほど、そこから得られるリターンも大きくなります。

購入が可能であれば、一棟物件から始めた方が拡大するスピードは早いでしょう。

資金面や融資の面から考えて、いきなり大型の物件が難しいのであれば、中古戸建や区分マンションへの投資という手立てもあります。

自分がどんな物件を購入するか決めることが不動産投資の第一歩です。

物件の種類が決まらないと、物件探しもできませんし、目標も定まりません。

物件の種別に加え、都心部・郊外、新築・中古……選択肢は多々ありますので、自分に合ったものからスタートしましょう。

一棟アパート・一棟マンションのメリット

  • 投資規模が大きくなるので、賃料収入も多くなります
  • 規模の大きさ等から収益効率が良く、運営コストの割合も低くなるため、利回りが高くなる傾向にあります
  • 鉄筋コンクリート造が多く、法定耐用年数が長いです
  • 土地と建物の資産価値があるため、積算評価に伴って融資を利用しやすいです
  • 複数の住戸があることで、空室リスクを分散できます
  • 建物全体を所有するため、オーナーの裁量が大きく、自由に建物の名称変更やリフォーム工事をできます
  • 担保価値が高く、土地が残ります
  • 建物の建て替えや土地としての活用など、バリューアップの幅が広いです

一棟アパート・一棟マンションのデメリット

  • 物件価格が高いです
  • 運営コストが大きくなります
  • 融資のハードルが高いです
  • 価格が高いため、リスクは必然的に大きくなります
  • 建物全体について、責任を負わなければなりません
  • 建物の規模が大きく、入居者が増える分、管理は確実に大変になります

区分所有マンションのメリット

  • 小さい金額から投資が始められます
  • 融資が付きやすいです
  • 価格が安いため、その分、リスクは当然、小さくなります
  • 建物自体の管理は管理組合がやってくれるため、ランニングコストの見通しが立てやすいです
  • 売却・換金しやすい、つまり流動性が高いです

区分所有マンションのデメリット

  • 投資規模が小さいのでリターンも小さく、大きくは儲かりにくいです
  • 空室になると家賃収入が途絶えます
  • 空室の場合も管理費と修繕積立金がかかります
  • 管理費・修繕積立金が毎月の固定費となり、これが意外とバカになりません
  • オーナーの裁量の範囲は大きくありません
  • 土地の持ち分が少なく、実質的には土地と切り売りできないため、担保価値が低いです

戸建物件のメリット

  • 一棟ものマンション・アパートに比べれば、価格はかなり安くなります
  • 価格が安いため、売却はしやすいといえます
  • 区分所有マンションと違って、法令に反しない限り、どのような利用目的でも賃貸できます
  • 利回りの高い物件が多いです
  • 長期入居が見込めます

戸建物件のデメリット

  • 融資が付きにくいです
  • 資産価値が低いです
  • 築古物件が多いため、修繕費用がかかります
  • 築年数が古い戸建の場合、故障個所が発生しやすく、管理に手間がかかります
  • 築年数が古い戸建だと、建物の状況によっては、運用できる期間が短くなることがあります
  • 退去時のリフォーム費用がかかります
  • 売却が困難になることがあります

事業用物件のメリット

  • 居住用物件に比べて賃料水準が高く、利回りが高くなる傾向にあります

事業用物件のデメリット

  • ビジネス的に採算が合わなければ、借りてすぐに退去するということもあるなど、空室リスクは高くなります
  • いったん空室になると、次の借主が決まるまでの期間が長くなる傾向にあります
  • 居住用物件に比べて景気の良し悪しによる需要の振れ幅が大きく、それに連動して賃料の振れ幅も大きくなります
  • 賃料の振れ幅が大きく、収益についての予測がしにくいため、金融機関から融資対象として敬遠される傾向にあります
  • 管理の手間は必然的に多くなります

新築物件のメリット

  • 融資が利用しやすいです
  • 入居者が決まりやすいです
  • 長期運用が可能です
  • 超長期の融資が付きやすく、年間返済額を低く抑えることができるため、キャッシュフローが良くなる傾向があります
  • 物件内での故障も殆どなく、入居期間も長くなる傾向にあるので、管理の手間は殆どかかりません
  • 建物設備・大規模修繕等のメンテナンスが当面の間かかりません
  • 建物減価償却費が大きくなるため、節税効果があります

新築物件のデメリット

  • 物件価格が高く、利回りが低いため、中古物件と比較すると収支効率が悪いです
  • 当初は入居者がいないので、収益ゼロからスタートすることになります
  • 入居者の入れ替るタイミングにおいて、賃料の下げ幅が大きくなります
  • 入居者が確定する前の賃料はあくまで想定であるため、予定している賃料で成約できない可能性もあります
  • 建物価格の減価幅が大きいため、資産価値としては下落しやすいです

中古物件のメリット

  • 新築と比べると、物件価格が安く、利回りが高いため収支効率が良いです
  • 実際に入居している賃料を把握できるため、リーシングの予想がしやすいです

中古物件のデメリット

  • 一般的に長期融資が付きにくく、年間返済額が多くなるので、キャッシュフローが低下する傾向があります
  • 類似条件の物件が並んだ際には、新築・築浅物件よりも賃料が低いです
  • メンテナンスや維持修繕について、コストがかかる傾向があります

都心の物件のメリット

  • 高い賃料が望め、稼働率が高く、空室リスクは低いです
  • 建物の設備が若干古くても、立地面でカバーできます
  • 賃料相場の下限ラインが郊外・地方よりも高いです
  • 建物面積に対する賃料が高いため、維持修繕のコストは控え目で済みます
  • 流動性は高いです

都心の物件のデメリット

  • 室内設備などの改善の効果が小さいです
  • 物件価格が高いため、始めるための費用が高くなります
  • 積算評価と実勢価格との乖離が大きい傾向があります
  • 固定資産税・都市計画税などの維持費が高めです
  • 物件価格は高くなるため、利回りは低くなる傾向です

郊外・地方の物件のメリット

  • 物件価格が安いため、利回りは高いです
  • 立地にもよりますが、積算評価と売買価格が近い傾向にあり融資が組み立てやすいです
  • 競合が少ないので、室内設備などの改善の効果が大きいです

郊外・地方の物件のデメリット

  • 賃料が低く、稼働率も低く、賃料下落リスクが高い傾向があります
  • 建物面積に対する賃料が低いため、修繕コストが大きくなる傾向があります
  • 物件価格が上昇しにくく、売買の機会は少ないです
  • 流動性も低いです

不動産投資の儲け方

不動産投資から得られる収益は、大きく「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の二種類に分けられます。

家賃収入(インカムゲイン)と、売却時の利益を得ること(キャピタルゲイン)で儲けを生む投資です。

インカムゲイン

インカムゲインとは、投資対象資産を保有している間に得られる収益のことです。

株であれば配当、預金であれば利息ですが、不動産投資においては「賃料収入」と認識しておけば良いでしょう。

キャピタルゲイン

キャピタルゲインとは、保有していた資産を売却することによって得られる売却差益のことです。

諸費用を無視して説明すると、3,000万円で購入した不動産を、最終的に4,000万円で売却することができれば、1,000万円のキャピタルゲインを得られることになります。

尚、損失が出た場合は「キャピタルロス」といいます。

表面利回りと実質利回り

投資では利益の指標の一つに「利回り」が使われています。

利回りとは、投資した金額に対して得られる利益が何%かを表したものです。

不動産投資は、一年間の家賃の収入を不動産の価格で割ることで利回りを計算しています。

不動産投資の利回りは、物件の投資効果を比べるのに便利です。

不動産投資では「表面利回り」と「実質利回り」があります。

表面利回り

表面利回りは、単純に年間の家賃収入を物件価格で割ったものです。

収益性を簡単に把握できるので一般的によく使われます。

  • 表面利回り(%) = 年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100

例えば、毎月の家賃が7万円の場合、1年間の家賃は合計で84万円、物件価格が700万円であれば、84万円÷700万円=0.12となり、表面利回りが12%と計算できます。

表面利回りは、購入時の経費や管理費、税金、ローン返済額、諸経費などを一切含めていない利回りのことをいいます。

実質利回り

一方、実質利回りは、購入時の経費や管理費、税金、諸経費などを含めた利回りのことをいいます。

実質的に手元に入ってくる金額を計算するので、実質利回りといいます。

  • 実質利回り(%) = 実質年間家賃収入 ÷ 実質物件価格 × 100
  • 実質家賃収入=年間家賃収入-(固都税+管理委託費+火災地震保険料など)
  • 実質物件価格=物件価格+仲介手数料+登録免許税+司法書士手数料+印紙税+不動産取得税など

実質利回りは表面利回りよりも現実的な数字となりますが、それでも空室率や賃貸募集する際の広告費、修繕にかかる費用などの未確定な要素は含んでおらず、更に金融機関の融資を使っている場合にはその返済額も実際の利回りには影響するため、実質利回りの数字にも限界があることに注意しましょう。

キャッシュフローとは

キャッシュフローは、家賃を得て税金などを支払い手元に残る現金の流れのことです。

入ってくる現金の額やタイミングと出ていく現金の額やタイミングが適切で、常に手元の現金に余裕のある、現金が着実に増えている状況がキャッシュフローの良い状態です。

逆に手元の現金が不足してしまう状況が多いのは、キャッシュフローの悪い状態といえます。

家賃を得て、そのお金で様々な支払いをする不動産投資では、キャッシュフローが極めて重要になります。

キャッシュの流れを追うことで、不動産経営上、資金繰りに問題が無いかどうかを把握できます。

  • 入ってくるお金 … 賃料・共益費・礼金・更新料・敷金など
  • 出ていくお金 … 管理費・管理委託費・修繕積立金・固定資産税・都市計画税・所得税・不動産ローン支払い・メンテナンス費用・仲介手数料・損害保険料・交通費など

入ってくるお金

先ず、収入を見積もりましょう。

収入には「入ってくるお金」を計上します。

毎月入ってくると想定される家賃を筆頭に、新規に貸し出す場合には礼金が、契約更新には更新料が借主から貸主に支払われます。

家賃は毎月計上すれば良いですが、礼金や更新料は分かっている範囲で見積もっておきましょう。

この他、敷金も貸主に入ってきますが、これは通常、借主が退去する際に賃料の滞納がある場合や損傷がある場合の修復に充てる費用として使われ、残金は借主に返金するものとなりますので、収入と分けて確保しておいた方が良いでしょう。

出ていくお金

次に「出ていくお金」についても見積もっておきましょう。

支出としては、マンション等の場合には管理費や修繕積立金がかかります。

また、不動産会社に入居者の管理などを委託する場合には管理委託費がかかります。

税金には、毎年かかる固定資産税・都市計画税と確定申告で徴収される所得税があります。

投資物件を金融機関から融資を受けて購入した場合には、そのローンの返済も支出に計上しておく必要があります。

物件を購入した初年度であれば、登録免許税や不動産取得税、不動産会社に支払う仲介手数料などもかかりますので、どのくらいかかりそうか、事前に司法書士、不動産会社などに確認を取っておくと良いでしょう。

その他、損害保険料、交通費など、かかりそうな費用は大よその金額で構いませんので、経費として計上しておきましょう。

収支計算例

  • 年間家賃収入 … 500万円
  • 年間融資返済額 … 304万円
  • 年間諸経費 … 86万円

キャッシュフロー(手元に残るお金) ➡ 500万-(304万+86万)=110万円

不動産投資には購入する物件の価格以外にも様々な費用がかかります。こうした費用を予め考慮に入れておかないと「こんな筈ではなかった」ということになりかねないので注意が必要です。

不動産投資のメリット

不動産投資も投資である以上、メリットとデメリットが存在します。

先ずはメリットの方を挙げていきましょう。

安定した収入が見込める

入居者の毎月の家賃が大家さんの収入になるという、とても分かりやすい構造です。

体を壊して働けなくなったりしても、賃貸運営さえできていれば、毎月お金が入ることになります。

レバレッジ効果

不動産投資は実業であるため、他の金融商品と異なり、銀行から融資を受けることができます。

銀行から融資を受けて、自己資金の何倍ものお金で投資をする方法を「レバレッジ効果」といいます。

レバレッジとは「てこ」の働きのことです。

小さな力で重い物を動かす「てこの原理」のように、小さな自己資金で大きな収益効果を見込むことです。

当然、投資規模が大きくなれば、リターンも大きくなります。

例えば、価格5,000万円、実質利回り8%の収益物件を、自己資金1,000万円、銀行からの借入金4,000万円(支払金利3%)で購入する場合について考えてみましょう。

得られる年間収益は次のように計算できます。

  • 5,000万円×8%-4,000万円×3%=280万円

その利回りは実に、280万円÷1,000万円×100=28%にもなるのです。

もし、これが自己資金だけの投資であれば、利回りは8%のままで、得られる年間収益も、たかだか1,000万円×8%=80万円です。

つまり、銀行からの借入金を利用してレバレッジをかけることによって、「280万円-80万円=200万円」も多く儲かることになります。

減価償却により節税効果まで

先ず、減価償却とは何かを理解していきましょう。

減価償却とは、時間の経過や使用により価値が減少していく固定資産に対し、取得費用をその固定資産の耐用年数に応じて費用計上配分できる会計処理のことをいいます。

不動産で言えば、建物や設備が減価償却の対象となります。

不動産投資では、減価償却費以外にも経費として計上できるものとして、不動産購入時に借入したローン返済の利息部分も経費とすることができます。

損益通算とは、黒字になっている所得から、赤字になっている所得の赤字分を差し引くことをいいます。

例えば、不動産所得が赤字になり、その赤字分を給与所得から差し引いた結果、課税総所得金額がゼロとなれば、その年については所得税を納める必要がなくなることになります。

では、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。

建物の減価償却やローン金利等の経費について、赤字部分を損益通算として給与所得等から差し引いて申告することで、所得税・住民税の節税をすることができます。

生命保険の代わりになる

ローンを組む際、殆どのケースで団体信用生命保険に加入することになりますが、不慮の事故で死亡した際などは、この保険で借入れがチャラになります。

そのため、残された家族が居ても無担保(返済のない)の家賃収入を生み出す資産を残すことができます。

相続税対策に効果がある

現金1億円の遺産は、そのままそれが遺産額ですが、不動産の場合はその評価額が対象となります。

仮に、被相続人が土地を持っていた場合、その土地は相続税路線価で評価されます。

この相続税路線価は、一般に市場で売買されている価格よりかなり安く設定されて、実際は1億円の価値がある土地であったとしても、相続で評価される額は7,000万円になったりします。

これを資産の圧縮、或いは資産の組み換えといいます。

不動産投資のリスク

不動産投資は、あくまで「投資」です。

投資である以上、必ずリスクがあることを、最初の時点で十分に認識しておく必要があります。

不動産投資のリスクには、入居者や建物に関するものと、市場に関するものがあります。

入居者のリスクでは、空室が続く、事件が起きる、家賃が支払われないなどです。

また、建物には欠陥や修繕が発生する、地震や火事、水害や地盤などの災害が起こるリスクがあります。

他にも、市場の影響で金利が高くなり、ローンの支払額が大きくなることや、不動産の価値が下がることも起こり得るリスクです。

空室リスク

例えば、「10室あるワンルームのうち、半分しか埋まらない!」というのが露骨な空室リスクです。

不動産投資の収入の源泉は家賃収入になります。

家賃収入がなければ、毎月のローン返済はおろか、管理費用や固定資産税などの支払いは全てオーナーである自分が支払わなければなりません。

金利上昇リスク

不動産投資の良い点として融資が活用できることが挙げられますが、借入金利が上がることもあります。

金融機関によりますが、変動金利の場合、一般的には年二回の見直しがあるケースが多いです。

当初の見込み以上に返済額が増えれば、当然、収益を圧迫します。

不動産価格の下落リスク

いわゆる「相場」の下落です。

株価に上下の動きがあるように、不動産価格も本来は上下します。

流動性リスク

流動性とは、ある金融資産を現金に変えられる度合いを表すものです。

現金化しやすければしやすいほど、流動性リスクは低く、現金化しにくければしにくいほど、流動性リスクは高くなります。

不動産の場合、慣習として市場で取引するのではなく、売買当事者間で売買を行う相対取引が中心です。

ところが、この取引方法ですと、買い手がいない限り、売ることができないということになります。

「今すぐ現金が必要だ!」ということになった場合、株や投資信託などのペーパーアセットとは異なり、不動産は、来週までに現金化…とはなかなかいきません。

つまり、不動産投資というのは、株式などと比べて、流動性リスクが非常に高い投資方法なのです。

家賃滞納リスク

入居者が家賃を払ってくれないリスクを「家賃滞納リスク」といいます。

家賃滞納だけでなく、滞納しながら居座られたり、家賃を滞納したまま夜逃げされたりするオーナーも珍しくはないのです。

賃料収入の面では空室リスクと似ていますが、賃料の回収の手間や、次の募集をすぐにかけられないなど、時間と労力を取られる厄介なリスクです。

震災リスク

日本に住んでいる以上、地震からは逃げることができません。

投資金額を回収する前に建物が崩壊という可能性はゼロではありません。

火災リスク

自分が住んでいる家なら気を付けようがあるものの、入居者による出火や、近隣からの延焼火災といったどうしようもない場合もあります。

日本の木造建築には、このリスクがつきまといます。

水災・風災リスク

地域にもよりますが、日本は、定期的に台風がやってくる環境です。

風で屋根が飛ばされたり、雨漏りが生じたり、考えると切りがありません。

また、河川の増水といった浸水被害も起こり得ます。

修繕リスク

建築されてから、10年以上経つ物件では、建物の老朽化によって臨時に修繕費用が発生することがあります。

例えば、建物の外壁が古くなって崩れ落ちたり、配管などが老朽化して使えなくなったり、設備として備え付けているエアコンが壊れたり、給湯器が使い物にならなくなったりなど、様々な問題が突発的に発生するのです。

こうした修繕費用の発生は、将来のキャッシュフローを大きく悪化させる原因になります。

人災リスク

建物の中で事件・事故が起きるリスクです。

入居者同士のトラブルはもちろん、コンクリ詰めのドラム缶などが出てきても困ります。

現実的なところで、高齢単身者の突然死というのはあり得る話です。

事故の現場となった部屋はどうしても縁起が悪いと敬遠されますから、不動産価値が下がります。

そうなれば特に、賃貸住宅の場合は貸せたとしても家賃を大幅に減額しなくてはならなくなります。

所有物件で自殺や殺人事件が起こった場合はもちろん、近所で凄惨な事件が起こったというだけでも、どうしても家賃収入に影響するということを知っておいて下さい。

不動産投資で必要な各種費用

  • 不動産購入時に必要となる費用
  • 不動産保有期間中に必要となる費用
  • 不動産売却時に必要となる費用

不動産購入時に必要となる費用

  • 仲介手数料 … 不動産業者に支払う手数料で、物件を紹介してくれたり契約を進めてくれたりしたことに対する報酬です
  • 登記費用 … 所有権移転登記や抵当権設定登記を受けるために必要な費用です。登記申請を代理してくれる司法書士への報酬や登録免許税などからなります
  • 印紙税 … 不動産売買契約書には、その記載金額に応じた印紙を貼付する必要があります
  • 不動産取得税 … 不動産の取得に関して、不動産の所在する都道府県によって課される税金です
  • 融資関連費用 … 金融機関からの融資を利用して不動産を購入する場合に必要となる費用です。例えば、保証料・取扱事務手数料・印紙代などです
  • 保険料 … 不動産投資をする場合に生じる様々なリスクに備えるために加入する各種保険の保険料です
  • 固都税の日割り清算金 … 売買契約によって所有権が移転する年分の固都税を、売主と買主が公平に負担するために支払う清算金です
  • 管理費・修繕積立金の日割り清算金 … 区分所有マンションを購入する場合に必要となる費用です。売買契約によって所有権が移転する月分の管理費と修繕積立金を、売主と買主が公平に負担するために支払います

不動産保有期間中に必要となる費用

  • 管理費 … 不動産の管理をしてくれる管理会社に支払う報酬です
  • 管理費・修繕積立金 … 不動産が区分所有マンションの場合に、管理組合に支払う費用です
  • 金融機関への返済 … 金融機関から融資を受けて不動産を購入した場合、毎月、返済する必要があります
  • 保険料 … 火災保険や施設賠償責任保険等に加入している場合の保険料です
  • 広告料 … 入居者との間で賃貸借契約が成立した際に、貸主が不動産業者に対して支払う報酬です
  • リフォーム費用 … 退去があった際に、新しい入居者を募集するために室内等をリフォームする費用です
  • 大規模修繕 … 建物の外壁工事のような大規模な修繕を行うには非常に大きなお金が必要となります。その費用負担に備えるべく、区分所有マンションでは、修繕積立金を支払う必要があります
  • 固都税 … 固定資産税は、不動産を保有していることに対して課される市町村税です。都市計画税は、市街化区域内の土地や家屋の所有者に対して課される市町村税です
  • 税理士報酬 … 確定申告等の税務処理をお願いする税理士に支払う報酬です

不動産売却時に必要となる費用

  • 仲介手数料 … 不動産売買契約について仲介をしてくれる不動産業者に対する報酬です
  • 登記費用 … 買主への所有権移転登記や金融機関から融資を受ける際に設定した、抵当権の抹消登記を行うために必要となる費用です
  • 印紙税 … 不動産売買契約書を作成する際には、記載金額(売買代金)に応じた印紙税を納付しなければなりません
  • 敷金 … 借主から賃料等の担保として差し入れられている敷金等の一時金を、買主に引き継ぐ必要があります

まとめ

不動産投資と聞くと、お金持ちやプロが行うイメージがあるかもしれません。

また、不動産はとっつき辛く、専門的で難しい印象を受ける人もいるでしょう。

株やFX、投資信託、金投資、先物投資…etc。

投資の多くは買った時と売った時の価格差による利益を狙ったものが多く、株やFXなどはその代表です。

決済した時に初めて利益が確定し、それまでの間は殆ど収益がありません。

売るタイミングを逃してズルズル損失を拡大させてしまうケースもあります。

一方、不動産投資の場合は、毎月安定した家賃収入という収益があります。

しかも、株やFXのように毎日値動きを気にする必要はなく、365日休むことなく安定した収入をもたらしてくれます。

また、物件の管理や入居者の確保、家賃の取り立てなどは専門の管理会社に任せることが基本なので、物件を購入した後に投資のために拘束される時間は殆どありません。

つまり、会社勤務や自営業の人でも、本業に差し障りがなく行うことのできるのが不動産投資なのです。

しかし、実際にはもちろん、そんなに簡単なものではありません。

不動産投資は、他の投資と違って安く買って高く売ることが全てではなく、保有期間中の運営ノウハウなども必要となるからです。

そもそも住人が居なければ、家賃収入を得ることは不可能です。

安定した家賃収入を得るためには、居住ニーズの高い物件を選ぶことはもとより、購入後は募集広告を出す必要もあります。

多くの住人に来てもらうために、リフォームをしなければならないこともあります。

不動産投資は投資という名の事業です。

細かい管理をしていかなければ、利益を残すことは難しいのです。

不動産は大きな買い物です。

そして、価格の大きさに伴って、様々なリスクがあります。

リスクを下げて利益を上げるためには、ある程度の知識が必要です。

自分で勉強して、決断をしていくことが大切です。

不動産投資を始めるのであれば、その点については十分、覚悟するようにして下さい。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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目次
  1. 不動産投資とは
  2. 物件購入の流れ
  3. 物件情報の集め方
    1. インターネット
    2. 不動産業者
  4. 投資物件の種類と特徴
    1. 一棟アパート・一棟マンションのメリット
    2. 一棟アパート・一棟マンションのデメリット
    3. 区分所有マンションのメリット
    4. 区分所有マンションのデメリット
    5. 戸建物件のメリット
    6. 戸建物件のデメリット
    7. 事業用物件のメリット
    8. 事業用物件のデメリット
    9. 新築物件のメリット
    10. 新築物件のデメリット
    11. 中古物件のメリット
    12. 中古物件のデメリット
    13. 都心の物件のメリット
    14. 都心の物件のデメリット
    15. 郊外・地方の物件のメリット
    16. 郊外・地方の物件のデメリット
  5. 不動産投資の儲け方
    1. インカムゲイン
    2. キャピタルゲイン
  6. 表面利回りと実質利回り
    1. 表面利回り
    2. 実質利回り
  7. キャッシュフローとは
    1. 入ってくるお金
    2. 出ていくお金
    3. 収支計算例
  8. 不動産投資のメリット
    1. 安定した収入が見込める
    2. レバレッジ効果
    3. 減価償却により節税効果まで
    4. 生命保険の代わりになる
    5. 相続税対策に効果がある
  9. 不動産投資のリスク
    1. 空室リスク
    2. 金利上昇リスク
    3. 不動産価格の下落リスク
    4. 流動性リスク
    5. 家賃滞納リスク
    6. 震災リスク
    7. 火災リスク
    8. 水災・風災リスク
    9. 修繕リスク
    10. 人災リスク
  10. 不動産投資で必要な各種費用
    1. 不動産購入時に必要となる費用
    2. 不動産保有期間中に必要となる費用
    3. 不動産売却時に必要となる費用
  11. まとめ