介護保険はどんな時に使える?
介護保険を利用するには?
こんな疑問・悩みを解決します!
- 介護保険制度の仕組み
- 利用申請手続きの流れ
- 要介護認定調査の流れ
- ケアプラン作成の流れ
- 介護保険のサービス内容
- リフォームの補助金制度
- 介護費用の負担を抑える制度
- 地域包括支援センターの役割
介護保険制度の仕組み
虚弱、認知症、寝たきりなどで、入浴や排泄、食事など日常生活に介護を必要とする高齢者(要介護者・要支援者)に対し、国、都道府県、市区町村が、必要な保険・医療サービス、福祉サービスを給付するのが「介護保険制度」です。
介護が必要になったら、公的介護保険を利用します。公的介護保険制度は、介護が必要になった高齢者を社会全体で支える制度です。
具体的には、高齢になり病気等で要介護状態になった人が市区町村に要介護認定を申請します。
その申請が認められる(要介護又は要支援の認定を受ける)と、自治体の指定を受けた介護サービス事業者から、その能力に応じて自立した日常生活が営めるように、介護、機能訓練、看護など必要な保険・医療サービスや福祉サービスを受けられるという仕組みです。
介護保険は、市区町村の運営で、40歳になると自動的に加入することになります。
40歳から64歳までは、健康保険の保険料と一緒に介護保険料が徴収され、65歳以降は原則、年金からの天引きとなります。
介護保険料は自治体ごとに基準額が決まっており、収入に応じて、加算や減免がされます。
原則として、65歳以上の人が要介護認定又は要支援認定を受けた時に、介護サービスを受けることができます。
40歳から64歳までの人は、介護保険で指定された加齢に伴う疾病が原因で介護が必要になった場合に、介護サービスが受けられます。
要介護とは、寝たきりや認知症など、身体又は精神上の問題で、常時介護が必要な状態であることを言います。
要支援とは、日常生活に支援が必要で、悪化すると要介護となる恐れがある状態のことを言います。
介護保険支給限度額は要介護度別に7段階で設定されており、介護度が重いほど、給付される額が増えていきます。
- 要支援・要介護の区分と支給限度額 -
区分 | 状態の目安 | 月の支給限度額 |
要支援 1 | 日常生活において介護までは必要のない状態。要介護状態の予防の為の支援が必要 | 50,320円 |
要支援 2 | 要介護には至らないが、日常生活において支援が必要。機能改善の可能性がある | 105,310円 |
要介護 1 | 歩行が不安定かつ困難な状態。日常の排泄や入浴など、部分的に介助が必要 | 167,650円 |
要介護 2 | 自力での歩行が困難な状態。排泄や入浴などの部分的な介助、一部又は全介助が必要 | 197,050円 |
要介護 3 | 自力での歩行ができない状態。排泄や入浴、衣服の着脱などに全介助が必要 | 270,480円 |
要介護 4 | 排泄、入浴、衣服の脱着で全面的な介助、食事は一部介助が必要 | 309,380円 |
要介護 5 | 意思の伝達が困難な状態。生活全般にわたり、全面的な介助が必要 | 362,170円 |
原資は40歳以上の国民が納付する介護保険料、そして国、都道府県、市区町村がそれぞれ負担しています。
限度額の範囲内であれば、1~3割の自己負担でサービスを利用することができます。
利用者負担の割合は所得に応じて決まります。
支給限度額を超えてサービスを利用した場合、超えた分は全額自己負担となります。
介護保険の利用申請手続きの流れ
介護サービスを利用するには、先ず、住んでいる市区町村で要介護認定の申請を行います。
介護保険被保険者証と「介護保険要介護認定・要支援認定申請書」を窓口(介護保険課など)で提出します。
この申請は、家族が行うこともできます。
申請書には主治医の住所・氏名などを記入する欄があります。
これは、かかりつけ医に「主治医意見書」を書いてもらい、認定の参考にする為です。
かかりつけ医がいない場合は地地域包括支援センターに相談してみましょう。
申請が受理されると、認定調査員が自宅を訪問し、心身の状態や生活状況について、本人や家族から聞き取りなどの調査を行います。
入院中の場合は病院に来てもらうことも可能です。
訪問調査の結果と、かかりつけ医による「主治医意見書」の一部はコンピューターによって分析され、要介護度が判定されます。
これを「一次判定」と言います。
一次判定の結果を基に、医療や福祉の専門家から成る介護認定審査会の審議により、訪問調査で調査員が聞き取った特記事項と、主治医意見書の内容を総合的に判断して、一次判定を確定又は修正し、要介護度が決定されます。
これが「二次判定」です。
認定結果は、申請日から約1か月で申請者に通知されます。
認定結果が不服な場合は、通知があった日の翌日から60日以内であれば、再調査の申し立てをすることができます。
また、認定後、サービスを受けられる有効期間は、新規申請の場合は原則6か月、更新は原則1年です。
被保険者は、有効期間が終わる前(30~60日前)までに、更新認定の申請をする必要があります。
尚、有効期間中に状態が変化し、介護の必要度が変わった場合には、区分変更の認定を申請することができます。
要介護度は要支援1と2、要介護1~5の7段階です。審査の結果、非該当(自立)と判定されることもあります。
非該当の場合、介護保険のサービスを利用することはできませんが、介護予防サービスを行なっている市区町村もありますので、地域包括支援センターなどで、どのようなサービスがあるのか確認してみましょう。
要介護1~5と認定されたら、ケアマネージャーと相談し、ケアプラン(介護サービス計画)を作成します。
要支援1・2と認定された場合は、地域包括支援センターの担当職員が介護予防ケアプランを作成します。
利用者は作成されたケアプランに基づきサービスを利用し、費用の一部(1~3割)をサービス事業者に支払います。
この要介護認定区分が決まって、市区町村から認定結果通知書と保険証が届いて初めて、介護サービスを利用できるわけです。
- 市区町村の窓口に要介護認定を申請
- 調査の連絡
- 訪問による認定調査(状況調査・基本調査・特記事項)
- 主治医の意見書
- 一次判定(コンピューター)
- 二次判定(介護認定審査会)
- 認定結果の通知(非該当 / 要支援1・2 / 要介護1~5)
- ケアプランの作成
- 介護サービスの利用
介護保険の認定調査
要介護・要支援の認定を申請すると、介護保険サービスの必要性を判断するため、認定調査員が自宅や入院先を訪れ、申請者本人や家族からの聞き取り及び動作確認を行い、心身の状況などを調査します。
チェックを受ける基本項目は全74項目で、大きく5つのカテゴリーに分かれています。
- 身体機能・起居動作
- 生活機能
- 認知機能
- 精神・行動障害
- 社会生活への適応
質問内容は身体機能に関すること、認知機能に関すること、日常生活においてできること・できないことなど、多岐にわたります。
基本項目のチェック欄では伝えきれない状況は、特記事項として記載されますので、「はい・いいえ」「できる・できない」だけでなく、「どこがどのように動きにくく、こんな場面で不都合が生じる」というように、より具体的に伝えることも大切です。
いざ、調査員を目の前にすると、本当はできないことや困っていることでも、「できます」「大丈夫です」と答えてしまう人も多く見られます。
遠慮もあれば、「できないと思われたくない」というプライドから「できるフリ」をしてしまうのです。
できる限り、家族の誰かが付き添い、普段の様子をしっかり調査員に伝えることが重要です。
但し、本人の前で「本当はできません」などと訂正するのはプライドを傷付けます。日常生活での困りごとや気になる点はメモにまとめて、調査員に渡すと良いでしょう。
当日、補足したい情報があれば、本人が席を外したタイミングなどに話すよう心掛けて…。
- 状況を把握している家族が調査に立ち会う
- 調査内容を事前に確認し、答えをまとめておく
- 普段の介護状況、日頃困っていること、既往症など、メモを取っておく
- 本人の様子が普段と違う場合は、そのことを家族から調査員に伝える
- 現状を有りのままに、なるべく具体的に話すようにする
ケアプラン作成の流れ
介護保険を使って、介護サービスや介護予防サービスを利用できるのは、市区町村から要介護や要支援の認定を受けた人です。
しかし、この認定を受けただけでは、介護保険のサービスは利用できません。
認定を受けたら、市区町村や居宅介護支援事業者、入所した施設のケアマネージャー(介護支援専門員)に依頼し、ケアプランを作成してもらう必要があります。
ケアプランとは、「介護サービス利用計画」のことで、介護サービスはケアプランに基づいて提供されます。
要支援者の場合は「介護予防ケアプラン」となり、地域包括支援センターの保健師などが作成を担当します。
ケアプランは、被保険者本人か、その家族が作成することもできますが、介護サービスは種類がとても多く、それらのサービスを提供している事業者がどこにいるのか、費用はどれくらいか、どのように複数のサービスを組み合わせれば効率的か、などの情報を把握することが難しいため、専門家であるケアマネージャーに作成を依頼するのが主流となっています。
ケアマネージャーは被保険者(利用者)との面談、家族からの聞き取り、既往症の確認などを行い、状況を把握した上で、長期的・短期的な目標を定め、その目標を達成する為にはどのようなサービスがどれくらいの頻度で必要かといった提案をしてくれます。
費用についても、介護保険の支給限度額の範囲内で収まるよう正確に計算し、サービスの組み合わせを考えてくれます。
ケアマネージャーは、ケアプランの原案ができたら、介護サービスを提供する事業者を招集して内容を検討し、ケアプランを完成させます。
被保険者(利用者)が完成したケアプランに同意した後、サービス事業者を調整し、サービスが開始されます。
サービスが始まってからも、ケアマネージャーは定期的に利用者を訪問し、実施状況を観察します(モニタリング)。
利用者の状態や周囲の環境が変わった場合は、新しいケアプランを作成します。
このように、介護保険の利用がスムーズにできるかどうかは、ケアマネージャーの手腕にかかっていると言っても過言ではありません。
ケアマネージャーは利用者自身で選ぶことができます。市区町村の窓口又は地域包括支援センターで居宅介護支援事業所のリストをもらって探すのが一般的です。
また、既に介護サービスを受けている友人や知人がいる場合は、口コミを聞いたり紹介してもらうなどの方法もあります。
ケアマネージャー選びのポイントとしては、専門知識や経験が豊富であることはもちろんですが、「信頼関係が築けるか」が最重要だと言えます。
親身になって一緒に考えてくれる人を選びましょう。
- ケアマネージャー選びのポイント -
良いケアマネージャーの例 | 悪いケアマネージャーの例 |
連絡が付きやすい | 連絡が付きにくい・捕まらない |
親身になって話を聞いてくれる | こちらの意図を理解してくれない |
利用者本人と家族の両方に対して公平である | すぐに動いてくれない |
求める介護サービスに対しての豊富な知識 | 上から目線の高圧的な態度である |
理解しやすい説明をしてくれる | 訪問にあまり来ない |
各種支援サービスについての知識がある | 知識が少なく的確なサービスを提示しない |
きちんと説明してくれる 等々 | 情報網に乏しい 等々 |
どうしても相性が合わない時は、ケアマネージャーの変更を検討しましょう。
変更の申し入れはいつでも可能です。
ケアマネージャーを変更しても、受けている介護サービスは継続することができます。
- ケアプラン作成の流れ -
- 居宅介護支援事業所と契約 … 要介護と認定されたら、ケアマネージャーを選び、居宅介護支援事業所と契約をする
- アセスメント(課題分析) … ケアマネージャーが訪問調査を行い課題を分析、必要とするサービスを把握する
- ケアプラン原案作成 … ケアマネージャーはアセスメントを基にサービスの種類、内容、利用回数、時間、利用料金等をまとめ、ケアプランの原案を作成する
- サービス担当者会議 … ケアマネージャーは介護サービスを提供する事業者を招集して内容を検討する
- ケアプランの決定 … 利用者が完成したケアプランに同意したら決定
- サービス提供事業者と契約 … 利用者がサービスを行う各事業者と契約する
- サービスの開始 … 利用者はサービスが始まってから変更したいことや問題点があれば、ケアマネージャーに相談する。ケアマネージャーは定期的にモニタリングを行う
主な介護サービスの種類
介護保険で利用できるサービスには、要支援1・2と認定された人が利用できる「予防給付」と、要介護1~5と認定された人が利用できる「介護給付」の2種類があります。
要介護1~5に認定された人が利用できるサービスには、自宅で暮らしながら利用できる「在宅(居宅)サービス」と、施設に入所してサービスを受ける「施設サービス」があります。
在宅サービスには、ホームヘルパーが入浴、排泄、食事などの介助や家事援助を行う「訪問介護」、デイサービスセンターなどで日中を過ごす「通所介護(デイサービス)」、施設に短期間だけ入所する「短期入所サービス(ショートステイ)」、車椅子やベッドをレンタルできる「福祉用具貸与」などがあり、支給限度額の範囲内で自分に必要なものを組み合わせて利用します。
介護サービスのうち、最も身近なのは訪問介護でしょう。
訪問介護員(ホームヘルパー)や介護福祉士が自宅を訪れ、介護や生活支援を行います。
但し、何でも頼めるわけではなく、身体介護や生活援助、通院等の手助けに限定されています。
また、利用者が自宅から施設に通う通所介護(デイサービス)は利用者はもちろん、家族にとっても気分転換になるサービスです。
さらに、福祉用具のレンタルや購入、介護の為の住宅改修にも介護保険が適用されます。
このように様々なサービスがあるだけに、どのように組み合わせ、利用するかというケアプランの作成が重要なのです。
支給限度額を超えた分は全額負担になりますので、ケアマネージャーとよく相談して利用するサービスを決めましょう。
施設サービスは「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」のいずれかに入所した被保険者に提供されるサービスです。
さらに、介護が必要な状態になっても住み慣れた地域で暮らし続ける為の「地域密着型サービス」もあります。
地域密着型サービスは、市区町村により指定された事業者がサービスを行い、その地域に住む被保険者が対象となります。
24時間体制の緊急対応や訪問回数に制限がないなど、通常の在宅サービスよりも柔軟に対応してもらうことができます。
介護サービスは、それぞれのサービスのメリットと、どんな介護を必要としているか、要介護度、費用などを総合的に考え、ケアマネージャーと相談の上、選択しましょう。
介護保険のリフォーム制度
定年後、退職金を活用し、自宅をリフォームしたいと考える人は少なくありません。
老後の暮らしを見据えて、家全体をバリアフリーにするケースも多く見られます。
年齢を重ねるに連れ、思わぬ転倒でケガをするといったリスクも高まります。
介護保険では、自宅内の危険箇所をなくし、被保険者が安全に日常生活を送ることを目的として、住宅改修費が支給されます。
支給対象は、「要支援1・2」又は「要介護1~5」の認定を受けた被保険者です。
住宅改修費の支給限度額は20万円で、利用者は改修費の1~3割を負担します。
20万円までなら何回かに分けて使うこともできます。
20万円を超えた分は全額自己負担になります。
在宅サービスの支給限度額とは別枠となりますので、在宅サービスと並行して利用することができます。但し、使えるのは原則1人1回のみです。
尚、3段階以上要介護度が上がった場合、及び転居した場合は、それまでの支給額に関わらず、再度20万円までの給付を受けることができます。
給付の対象となる改修の種類は、厚生労働省が定める以下の6種類となっています。
- 手すりの取り付け
- 床段差の解消
- 滑りの防止や移動の円滑化を目的とした床材の変更
- 引き戸等への扉の取り替え
- 便器の洋式化
- 上記に必要な付帯工事
福祉用具貸与又は福祉用具購入費の支給に該当する場合(工事を伴わない手すりやスロープの設置、補助便座の購入など)は対象外となります。
介護保険を利用して住宅改修をするには、市区町村に事前申請が必要です。
先ずはケアマネージャーに相談しましょう。
申請書類を提出し、工事を施工、完成したら、利用者がいったん費用を施工業者に全額支払います。
その後、領収書など必要書類を提出すると、改修費の9割(所得により7割か8割)が支給される仕組みです。
介護費用の負担を抑える制度
長い期間の介護では家族、本人共に心身の負担が多くなります。
特に年金生活で経済的に余裕のない場合は、金銭面での不安が大きくなります。
そんな不安を少しでも解消する為に、費用負担を軽減する制度があります。
高額介護(介護予防)サービス費支給制度
介護保険のサービスを利用し、1か月の利用料が収入に応じた限度額を超えた時は、高額介護(介護予防)サービス費の払い戻しを申請しましょう。
高額介護(介護予防)サービス費支給制度は、同じ月(1日から月末まで)に支払った利用者負担の合計額が負担の上限額を超えた時に、市区町村へ申請すれば、超えた分が払い戻される制度です。
医療費の高額療養費制度と似た仕組みの制度です。
上限額は世帯・個人の所得によって決まります。
例えば、「世帯の誰かが住民税を課税されている人」の世帯での上限額は4万4,400円となります。
1か月間に介護サービス料を5万円負担した場合は「5万円-4万4,400円=5,600円」が払い戻されます。
世帯での上限額となるので、1人で5万円利用した場合も、夫が2万円、妻が3万円利用して合計で5万円の場合も同様です。
尚、介護予防・生活支援サービス事業の一部、施設サービスなどの食費・部屋代等、特定福祉用具購入、住宅改修の費用は、高額介護サービス費の対象外となります。
高額医療・高額介護合算療養費制度
また、高額医療・高額介護合算療養費制度では、医療費の自己負担額と介護サービスの利用者負担額の合計が1年間(毎年8月から翌年7月まで)で限度額を超えた場合、申請すると超えた額が払い戻されます。
この制度は、1年分の医療費と介護費を合算し、限度額を超えた分を払い戻してもらえるもので、医療保険に関する費用は「高額医療合算介護サービス費」、介護保険に関する費用は「高額介護合算療養費」という名目で支給されます。
月々の医療費が少なくても、年間の合計額で換算されるのが高額療養費制度との大きな違いです。
尚、医療費・介護費のどちらかが0円、限度額の超過分が500円未満の場合は払い戻しの対象から除外されます。
利用には制限があり、合算できるのは国民健康保険、健康保険、後期高齢者医療保険のうち、同じ医療保険に入っている家族の自己負担額のみになります。
例えば、夫の社会保険に妻が扶養家族として加入していれば合算が可能ですが、夫が後期高齢者医療保険、妻が国民健康保険という場合だと合算ができません。
しかし、計算期間の間に別の保険に加入している家族が被保険者になっている期間があれば、その間の自己負担金額は合算させることができます。
支給対象者には自治体から事前にお知らせが届きます。
自治体からの給付金
介護保険施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設やショートステイを利用した時の食費、居住費(滞在費)は原則全額自己負担ですが、所得や預貯金の額が一定以下の人は市区町村から「介護保険負担限度額認定証」の交付を受けることにより、食費、居住費、滞在費の自己負担限度額が減額される制度があります。
具体的な条件や軽減される金額は自治体へ問い合わせて下さい。
老人福祉手当は、主に65歳以上で寝たきりや認知症などで介護が必要な高齢者が対象となります。
また、老人介護手当は在宅で老人の介護をしている家族へ支給されるものです。
自治体ごとに制度の有無や名称、内容が違う場合がありますので、お住まいの自治体へ問い合わせて確認して下さい。
地域包括支援センター
定年を迎えても、60代ではまだまだ元気で自身の介護の心配はしていないかもしれませんが、親の介護の問題に既に直面している人は多いのではないでしょうか。
- 最近、親の物忘れが多くなった…
- 家に引きこもっている様子だ…
離れて暮らす家族に介護が必要となったとき、どのような対応をすれば良いのでしょうか。
離れて暮らしているか同居しているかに関わらず、親の介護を考えるようになったら、先ず「地域包括支援センター」に相談をしましょう。
連絡先は「親の住所地(市区町村) 地域包括支援センター」で検索するか、市区町村の高齢福祉課に問い合わせてみると良いでしょう。
地域包括支援センターは、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活することができるよう、様々な支援をしてくれます。
離れて暮らす親はもちろん、同居の親についても相談できます。
社会福祉士や保健師、主任ケアマネージャーといった専門資格者が無料で相談に応じてくれます。
相談できる内容は多岐にわたり、対応できない場合も、介護施設や医療機関、市区町村等と連携を取り、適切な窓口に繋いでもらえます。
介護が必要になる前から相談することも可能です。
介護に関しての困りごとは何でも相談してみましょう。
介護費用については、介護を受ける人の預貯金や年金などから支払うことが基本となりますが、家族にも大きな負担が掛かることが少なくありません。
費用についての悩みも家族だけで抱え込まず、地域包括支援センターで相談し、公的な給付や支援について聞いてみると良いでしょう。
- 地域包括支援センターで相談できること -
- 要介護認定を申請したい
- 認知症が不安
- 高齢の親が心配
- ご近所のお年寄りが心配
- 介護予防サービスを利用したい
- 今の健康を維持したい
- 財産管理に自信がなくなった
- 悪質な訪問販売の被害に遭った
- 高齢者を虐待してしまった
- 虐待に遭った 等々
早めの相談はトラブルの早期発見・早期解決にも繋がり、将来の見守りや介護の体制作りにも役立ちます。
まとめ
現在は元気な親でも、年老いて行くと、いつ介護が必要になるか分かりません。
そろそろ親がそういう時期を迎えていると感じたら、準備と心積もりはしておきたいものです。
介護には時間もお金も掛かりますが、心強い味方になるのが「介護保険サービス」です。
介護保険の適用を受けて介護サービスを利用するには、要介護(要支援)認定の手続きが必要です。
要介護認定は予防的な対策が必要な「要支援1・2」、介護が必要な「要介護1~5」の計7区分に分かれています。
要介護度は病気などの重症度ではなく、必要とされる介護の量で決まります。
要介護認定を受けるには、先ず、住民票のある市区町村に本人や家族が申請しなければいけません。
その際、「介護保険要介護・要支援認定申請書」を窓口に提出します。
申請後、市区町村の認定調査員が自宅や病院などに出向き、心身の状態や日常生活の状況などについて訪問調査を行います。
その後、コンピューターによる1次判定が出ます。
これに「主治医の意見書」が加わり、介護認定審査会で2次判定を行い、要介護度が決まります。
判定の際、特に重要視されるのが主治医の意見書です。適切な認定を下してもらうには、日頃から本人の症状や日常生活の様子を主治医に正確に伝えておくことです。
体が不自由な状態なのに、遠慮して元気なふりをする高齢者も多いのですが、それでは本当に必要な介護が受けられなくなる可能性があります。
親の状態を客観的に正しく伝える為にも、できれば同席することが望ましいでしょう。
要介護認定の結果は、申請してから30日以内に通知されます。
介護が必要な兆しが見え始めたら、早めに申請をしておきましょう。
介護について不明な点や相談があれば、その地域の市区町村窓口や「地域包括支援センター」などに相談できます。
介護保険では要支援・要介護度ごとに利用できる介護サービスの限度額が設定されており、自己負担は原則、サービス利用額の1~3割です。
介護保険サービスには、在宅介護で利用できる「居宅(在宅)サービス」と、施設に入所して介護を受ける「施設サービス」があります。
居宅サービスは、要介護度ごとに1か月に利用できる額の上限(支給限度基準額)が決まっています。
この範囲内で、訪問介護や通所介護など、必要なサービスを組み合わせて利用します。
上限を超える利用の場合、超えた部分の全額が自己負担となるので要注意です。
高齢者ホームなどで「特定施設入居者生活介護」というサービスを利用する場合は、施設サービスに該当します。
介護サービスに掛かる費用の1~3割に加え、食費や居住費、日常生活費などが自己負担になります。
介護費用の自己負担が重くなる傾向は今後も続くと考えられます。
1か月の実質負担額が一定の基準を超えたとき、超過分が払い戻される「高額介護サービス費」などの負担軽減措置もあるので、上手に活用しましょう。
いざ介護が始まった時に焦ってしまわないよう、今のうちから情報収集をしておくと良いでしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。