どんな医療保険があるの?
何を選べば良いの?
こんな疑問・悩みを解決します!
- 医療保険の基本的な仕組み
- 医療保険選びのチェックポイント
- 年代別の医療保険活用法
- 終身と掛け捨ての比較
- ガン保険と医療保険の違い
医療保険の保障内容
医療保険は、病気やケガで入院したり、所定の手術を受けた場合に、給付金が支払われる保険です。
医療保険の基本形は、入院給付金・手術給付金・死亡保険金の3つがセットになっています。
この基本形に、ガン入院特約、成人病入院特約、女性特定疾病特約などの特約を付けることもできます。
生保の医療保険の場合、給付金の使い道などは問われません。
病気やケガで働けなくなった時のことを考え、入院給付金額を多めに設定し、もしもの時の生活保障として使えます。
一方、損保の医療保険の場合は原則として、契約した保険金額の範囲内で、入院・治療などに掛かった実費を補償する形となります。
入院給付金
入院給付金には、病気で所定の日数以上入院した時に支払われる「疾病入院給付金」と、ケガが対象の「災害入院給付金」があります。
医療保険に加入する時は、先ず入院給付金の日額を決めます。
例えば、入院1日当たり5,000円必要なのか、1万円なのかを考えて決めます。
但し、いずれも無制限に給付されるものではありません。
1入院ごとの支払い限度と通算での限度の日数があり、医療保険ごとに日数は異なります。
手術給付金
手術給付金は、所定の手術を受けた場合に支払われます。
手術給付金額は、手術の種類に応じて、入院給付金日額の10倍・20倍・40倍というのが一般的です。
入院給付金が1日1万円なら、10万・20万・40万円のいずれかになります。
手術給付金を付けず、その分、保険料を安くしたもの、手術給付金額を一律にしたものもあります。
死亡保険金
死亡保険金額は、一般的に入院給付金日額の0~100倍です。
100倍であれば、入院給付金が1日1万円の時、死亡保険金は100万円。
死亡保険金を付けず、その分、保険料を安くしたタイプもあります。
医療特約と医療保険
医療保障を準備する手段は、大きく分けて2つあります。
1つは、定期保険や終身保険、養老保険、個人年金保険などの主契約に「医療特約」を付ける方法です。
もう1つは、「医療保険」に加入する方法です。
2つの方法には、それぞれメリットとデメリットがあります。
ことに問題になるのは「保障期間」です。
定期保険や養老保険、確定年金など保険期間が決まったものに医療特約を付けた時は、主契約の保険期間が終わると医療保障も終わってしまいます。
終身保険や定期付終身保険、終身年金などに付けた場合も、医療特約の保障は通常、80歳で終わります。
また、高度障害状態になり高度障害保険金が支払われた場合、その時点で契約は終了しますので、医療保障も終わりです。
医療保障のニーズは、死亡保障や老後保障のニーズとは異なりますので、特約ではなく、独立した医療保険に加入した方が良いわけです。
医療特約の場合、主契約がなくなると消滅してしまうので、保障内容を自由に選べる医療保険への加入も検討しておきましょう。
主契約と特約
- 主契約 … 主軸(メイン)の保障
- 特約 … オプションの保障
医療保険の保障のベースになるのは、入院給付金と手術給付金です。
特約は主たる契約のオプションとして付加するものです。
主契約の保障内容を広げ、必要な保障を自分でカスタマイズすることが可能になります。
特約には色々なタイプがありますが、大きく5つの種類に分けられます。
- 災害関係の特約 … 不慮の事故による死亡・入院・後遺障害を保障 (災害割増特約・障害特約など)
- 疾病関係の特約 … 病気が対象の特約で、事故によるケガは対象外 (成人病入院特約・女性疾病入院特約など)
- 災害・疾病の両方を対象にした特約 … 不慮の事故と病気の両方が対象 (長期入院特約・通院特約など)
- 介護関係の特約 … 寝たきりや痴呆など所定の介護を要する状態になった時に役立つ特約 (介護特約・介護保障特約など)
- 死亡保障の為の特約 … 定期保険特約や生活保障特約など、主契約の死亡保障を上乗せする為の特約
医療保険選びのチェックポイント
目先の保険料だけで医療保険を選ぶと、思わぬ落とし穴に陥ることも。
次のポイントには要注意です。
保険料
掛け捨てタイプの多くは、5年・10年ごとに保険料が上がる更新型。
更新後の保険料は事前に確認を。
終身タイプで保険料が手頃なものの多くは、生存中保険料を払い続ける終身払い。
退職後も無理なく払えるものが良いでしょう。
- 家計に無理のない金額になっているか?
- 更新タイプを利用する場合は、更新後の保険料に無理はないか?
- 終身払いの場合は、年金生活後もその保険料を払えるか?
保障内容
不要な保障があれば、保障を外せないか保険会社に確認しましょう。
- 必要な保障はカバーできているか?
- 無駄な保障は付いていないか(外せないか)?
保険期間
80歳以降も医療保障が必要なら「終身医療保険」、住宅ローンの完済までなど期間を限定するなら「掛け捨て医療保険」が適当。
更新型なら何歳まで更新できるかも確認を。
- 保障が必要な期間をカバーできているか?
給付のタイプ
給付のタイプは、5日以上の入院で5日目から支払われる「5日型」、ケガで5日以上、病気で8日以上の入院で1日目から支払われる「8日型」、2日以上の入院で1日目から支払われる「1泊2日型」など。
支払いタイプは「5日型」と「1泊2日型」が多いのですが、「1日型」などもあります。1日型は日帰り入院でも支払われます。
短期入院を貯蓄で賄うとすれば、5日型・8日型で十分です。
- 何日間入院すれば入院給付金が支払われるか?
支払限度日数
保険料が手頃な保険ほど、1入院当たりの支払い限度日数に要注意。
現在は60日型が主流で、それを超えた分の給付はありません。
また、通常は「その保険契約を通しての通算限度日数」が定められています。
730日が一般的ですが、700日、1000日、1095日などもあります。
更新型の保険が更新しても通算限度日数はリセットされませんが、全労済(こくみん共済)、全国生協連(都道府県民共済)のような契約期間が1年の共済は、更新の度にリセットされるため、事実上は通算限度日数が定められていません。
医療保険の中には複数の選択肢から選べるものも増えています。
長期入院に対応できるものほど保険料が高くなる傾向があるので、バランスを考えて入りましょう。
- 1入院当たりの支払い限度日数は何日か?
- 通算の支払い限度日数は何日か?
医療保険の保障内容や限度日数は様々です。ガン入院特約が付いている、限度日数が長い、死亡保険金も付いている、といったタイプは保険料も高めです。
医療保険の年代別活用法
20代
10~20代は、終身医療保険に入るのがベスト。
早い時期に加入するほど毎月の保険料負担が軽くなり、将来設計に柔軟に対応できるからです。
医療保障は未婚・既婚を問わず必要なものですが、死亡保障は状況に応じて加えていけばOKです。
ベースになる医療保障を確保しましょう。割安な保険料で終身医療保険に加入できるチャンスです。
30代
幼い子供が居たり、マイホームを購入する家庭が多いこの年代は、最も手厚い医療保障が必要です。
しかし、収入や家族の将来を考えると、保険料はできるだけ削りたいところ。
このような場合、終身医療保険に、上乗せ保障として掛け捨て医療保険をプラスします。
終身医療保険は、死亡保険金や解約返戻金が少ないものを選ぶと、保険料が安くなります。
死亡保障は定期保険などで備えます。
手厚い保障が必要な時期です。掛け捨ての医療保険を上手に利用して保険料負担を抑えましょう。
40代
子供の学費が家計を圧迫する時期です。
一家の大黒柱が入院した時に受ける家計のダメージを考えると、死亡保障は減らしてでも、医療保障を手厚くしておきたいものです。
特に重視したいのは「1入院の支払い限度日数」。
長期入院中の学費の支払いが滞らないよう、少なくとも120日の入院に対応できるものが良いでしょう。
教育費などの出費が嵩む時期です。長期入院にも対応できる医療保険をプラスしましょう。
50代以上
退職を目前に控えている人や、既に年金生活の人も多いこの年代。
新たに医療保険に入る場合、注意すべきことは「保険料の払込期間が終身又は70(80)歳まで」となっている点です。
年金生活で無理なく払える保険料なのか、十分に検討しましょう。
このことを踏まえると、既存の医療保障は原則として継続し、不足分を医療保険で補うのがベストです。
上乗せする医療保険は、既存の保険にない保障(短期入院対応型・終身医療等)を備えているもので、月々の保険料が安いものを選ぶのがポイント。
保険を切り替えるよりも、いま入っている保険の不足分をカバーできる医療保険を選びましょう。
終身と掛け捨て
終身医療保険
終身医療保険は、何歳まで生きるかに関係なく、病気やケガによる入院保障が一生続く医療保険です。
特徴は、保険料の払込期間中に保険料が上がらないことと、80歳を過ぎても保障を継続できること。
終身医療保険に入る際に注意したいのは、保険料払込期間に「終身払い」と「短期払い」がある点です。
終身払いは「一生保険料を払い続ける」という意味です。
短期払いに比べて毎月の保険料は安くなりますが、年金生活中も保険料を払い込まなければなりません。
シニアになっても無理のない保険料かどうか、十分に検討した上で利用しましょう。
短期払いは、一定期間内に保険料の払い込みを完了させる方法。
「60歳払い済み」などがそうで、「保障は終身だが保険料の払込期間は60歳まで」という意味です。
保障を充実させればさせるほど、保険料は高くなるもの。つまりシンプルで分かりやすい保険を選ぶと保険料は安くなります。
具体的には「入院保障+手術保障」だけのもの。
通院保障やその他の保障はもちろん、死亡保険金や解約返戻金もゼロにして、安さに拘った商品です。
但し、安さを追求した終身医療保険には「1入院の支払い限度日数」が短いものが多いので要注意。
1入院60日が限度の場合、入院が60日を超えても、入院給付金は60日分しか支払われないので注意して下さい。
掛け捨ての医療保険
掛け捨ての医療保険とは、保険期間の短い医療保険のことです。
終身医療保険に比べて、当初の保険料は安くなっています。
満期を迎えても保険会社が定める年齢になるまで無告知・無診査で継続(更新)することができます。
更新後の保険料は、その時の年齢・保険料率によって再計算されるため高くなります。
住宅ローン返済期間や入院中の収入補填が必要な期間など、一定期間限定の上乗せ医療保障として利用しましょう。
保険期間は10年のものが多いのですが、5年や1年のものもあります。
保険期間1年の医療保険は、損保会社の商品に多く見られます。この場合、1年ごとに保険料が高くなるのは稀で、年齢区分によって保険料が設定されているのが一般的です。
入院給付金の支払い限度日数は、一部の商品を除き、更新を跨いでカウントされます。
更新の度に入院給付金の支払い通算日数がリセットされるわけではないので注意して下さい。
ガン保険
ガン保険は、日本人の死亡原因トップを占めるガンと闘う為の保険です。
主に次に挙げる給付金を取り揃えており、きめ細やかな保障内容になっています。
- 診断給付金
- 入院給付金
- 手術給付金
- 退院・療養給付金
- 通院給付金
- 死亡・高度障害保険金
- 普通死亡保険金
一般の医療保険に比べて保険料は割安で、且つガンによる入院、通院、在宅療養など、幅広い保障が得られます。
ガン保険は、通常の医療保険より保障額全体が高めに設定されています。
これはガン治療が他の病気に比べ手術費用が高額で、入院日数も長期に及ぶケースが多い為です。
ガン保険と医療保険の違いはそれだけではありません。
医療保険は入院給付金に支払い限度日数が設けられていますが、ガン保険は1日目から無制限となっています。
但し、契約日から90日間は保障の対象外となっているのが、ガン保険ならではの特徴。この期間中にガンと診断された場合は、保険契約が無効になるので注意して下さい。
多くのガン保険は、ガンと診断された場合に「ガン診断一時金」が支払われます。
このガン診断一時金には、支払い回数が「1回のみ」のものと、前回の診断日から2年又は3年経過していれば、何度でも支払われる「複数回」のものがあります。
保険料の安いガン保険は、1回のみになっていることが多いようです。
気になる人は保険会社に確認した上で加入しましょう。
シニア向け医療保険
「持病があっても入れます」「70歳以上でも入れます」などのようなキャッチフレーズで知られる「シニア向け医療保険」は、正式には「引受基準緩和型」又は「無選択型」の医療保険のことです。
引受基準緩和型は、通常の医療保険で必要となる通院や手術などの告知が簡略化されており、無選択型は告知自体がありません。
そのため、加入のハードルが低く、一見魅力的に見えるかもしれませんが、負担する保険料に対して保障額が非常に低くなっている点に要注意です。
一般的な医療保険の保険料の水準を変えない代わりに、入院給付金などの給付金額を大きく下げて、入りやすさを強調している商品が少なくありません。
例えば、一般的な医療保険の入院給付金は1日当たり5千~1万円程度ですが、シニア向け医療保険は1日当たり3千~5千円程度です。
また、シニア向け医療保険には、給付金の支給を制限する高いハードルも設けられています。
保障期間が一般の医療保険と比べて非常に短いことも注意点です。
一般の医療保険の保障期間は少ないものでも「1入院当たり60日・通算730日」ですが、シニア向け医療保険では「1入院当たり45日・通算120日」という商品もあります。
まとめ
重い病気やケガで入院・手術をした場合、自己負担分の医療費は高額になります。
もし差額ベッド代や高度先進医療費などが掛かれば、公的医療保険の対象外なので全額自己負担に。
このようなケースでもきちんと保障してくれるのが、生保・損保の医療保険なのです。
一口に医療保険と言っても、病気・ケガ全般を保障する「総合型」と、ガンや三大疾病など特定の病気を重点的に保障する「特定疾病保障型」の2種類があります。
一般的には総合型のことを、医療保険と呼びます。
「公的な健康保険だけでは不安」という人には民間の医療保険に加入する手段がありますが、実際に病気で保険金を請求すると「保障対象外です」と保険会社から言われるケースも多いようです。
医療保険は保険の中でも特に誤解が多い商品です。
保障内容を勘違いしないよう、パンフレットの宣伝文句だけではなく、詳細な資料や契約書の中身を必ず読むなど、しっかり理解してから契約して下さい。
病気全般をカバーしたい場合は、ガン保険ではなく、一般的な医療保険を選びましょう。
その際、定年前後の世代がよく迷うのが「定期型」か「終身型」かの選択です。
定期型の契約期間は一般的に10年間で、更新ごとに保険料が値上がりします。
契約満了時点で契約を更新し、通常は最長80~90歳程度まで保障されます。
終身型は死ぬまで保障され、保険料は一定です。
どちらが得で、どちらが損かは一概には言えません。
保険料が変わらない終身型が得と感じるかもしれませんが、将来の保険料を先回りして払っている仕組みなので、早くに亡くなると定期型よりも割高な保険料を支払うことになります。
定期型か終身型かで迷った場合、保険料が変わるという点ではなく、80歳以降に医療保険が必要か否かで検討すると選びやすくなります。
第3分野保険の自由化以降、使い勝手の良い医療保険がたくさん販売されるようになりました。
医療保障が一生涯継続する「終身医療保険」を筆頭に、超長期の入院や日帰り手術などの短期入院に対応するもの、入院日数に関係なく病名が確定した時点で給付金を受け取れるもの、医療保険とガン保険の両方の保障を備えているものなど、数え上げたら切りがないくらいです。
健康保険法の相次ぐ改正によって、患者負担は確実に増えています。
先ずは現在加入している保険でどれだけの医療保障があるのかをチェックすることから始めてみましょう。
現在の医療保険には、不足や不安に対応できるだけのラインナップが揃っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。