必要保障額って何なの?
本当に万が一に要るお金はいくら?
こんな疑問・悩みを解決します!
- 必要保障額とは何なのか?
- 必要保障額の具体的な計算方法
- 保険で準備すべき保障額
はじめに
保険は万が一の時に必要とは言え、必要以上の保障は無駄でしかありません。
重要なのは「自分に必要な保障」を把握して正しく保険に加入することです。
保険に新たに加入しようと思っている人も、既に入っている保険の見直しを図ろうと思っている人も、どちらの人にも共通して考えて頂きたいのが、「自分はいったいいくらの保障を保険で用意すべきか」ということです。
特に死亡保障は高額になりがちで、それに掛かる保険料は見過ごせません。
必要もない高額な保障を掛け続けることは、厳しい家計に大きなダメージを与えかねないのです。
皆さんは現在加入している保険に入る時、死亡保障額をどのようにして決めましたか?
殆どの人が、「貴方だったらこれくらいの保障を付けておけば安心ですよ」「いくらくらいの保険料が負担できますか?そのくらいだったらこれだけの保障が得られますよ」などと、保険会社の営業職員の言うがままに契約してしまったのではないでしょうか。
でも、それでは保障の過不足はノーチェックと同じ。
保険で準備しなければならない保障額は、家族構成や家族の中での立場、持ち家の有無、会社勤めなのか自営業なのかといった状況によって、千差万別なのです。
それを「5,000万円くらいもらえたら嬉しいな」と希望額で安易に決めてしまうと、本当に必要な保障をきちんと確保できません。
この記事では、いくらの保障を確保しておけば安心で無駄がないのか、一つひとつをチェックしながら、自分自身の必要保障額が計算できるように解説していきます。
必要保障額の考え方
では、必要保障額とは、具体的にどのように考えていけば良いのでしょうか。
ある日突然、一家の生活を支えていた人が亡くなってしまったら、以後の生活を賄う為にどれだけのお金があったら安心なのかを考えることで、必要保障額のアウトラインは見えてくる筈です。
先ず最も重要なのは、遺族の生活費です。
収入が無くなっても日々の生活費は掛かり続けます。
家族が不安なく生活できるだけのお金が万が一の時には必要になってきます。
更に、子供の教育費です。
親が亡くなったとしても、子供には満足な教育を受けさせたいと思うものです。
その為に入り用になる資金をしっかり準備しておく必要があります。
その他に、長期的に考えた場合には、住宅の維持管理費用や、妻の老後の生活費なども考慮しなければならない世代もあります。
このような費用がいったいいくら掛かるのか、下記以降を参考にして、貴方の必要保障額を計算していきましょう。
保険の保障にはムリ・ムダ・ムラがあるケースが殆ど。それを確認する上でも必要保障額を把握しておきましょう。
必要な保障の総額を計算
必要保障額の中で最も大きな割合を占めるのが、基本となる遺族の生活費です。
子供の成長過程で生活費の増減はありますし、将来貨幣価値も変化するので、厳密に考える必要はありませんが、現在の生活を振り返って、どんな物にいくらお金を掛けているのかは知っておくべきでしょう。
生活に必要なお金
下表で、現在の家計をベースに1年間にいくらあれば家族が生活できるのかを計算してみます。
家計簿を付けている人は、スムーズに書き込める筈です。
基本的に現在の生活水準を維持できる金額を弾き出しますが、毎年家族で出かける海外旅行の費用など、ゆとりの費用は含めません。
①現在の毎月の大まかな支出額
費目 | 支出額(月額) | 備考 |
食費 | ||
住居費 | 賃貸料・住宅ローン・管理費 | |
光熱費 | ||
通信費 | ||
教育費 | 学校教育費・子供関連支出 | |
美容費 | ||
衛生費 | ||
車維持費 | 駐車場代・ガソリン代・月払いの自動車保険料 | |
レジャー費 | ||
小遣い | ||
保険料 | ||
雑費 | ||
その他 | ||
合計 | (a) |
②不定期な支出 / 年単位
費目 | 支出額(年額) | 備考 |
住宅ローン | ボーナス時返済額の年間合計額 | |
レジャー費 | ||
被服費等 | 家族全員の大まかな年間支出額 | |
税金 | 自動車税・固定資産税等 | |
保険料 | 年払い・ボーナス払い等の保険料 | |
その他 | ||
合計 | (b) |
- (a)の金額×12か月+(b)の金額=現状の年間必要生活費(A)
上表で算出した生活費は、現在の家族全員が生活するのに必要な支出ですが、この中には夫(死亡保障の対象となる人)の生活費も当然含まれています。
生活費の次に大きな割合を占めるのが、子供の教育費です。
子1人を育てるのに1,000万円は必要と言われていますが、これは進路により大きく差が出るところです。
保障額の計算をする時には、万が一の時にどうしたいかをしっかり考えることが重要。
「万が一の時でも子供はどうしても医者にしたいから十分な保障を確保したい」という人もいれば、「万が一の時には最低限の義務として高校までの教育費を確保しておけば良い」と考える人もいるでしょう。
夫婦で話し合って必要な額を確保しましょう。
万が一の時に要らなくなる・又は要るお金
③夫が亡くなった後に不要となる支出
支出項目 | 年間支出額 |
住宅ローン(団信に加入している場合) | |
小遣い | |
夫のみが支出する嗜好品代 | |
被服費 | |
交通費 | |
交際費 | |
趣味の費用 | |
保険料 | |
その他 | |
合計(c) |
④夫が亡くなった後に必要となる支出
支出項目 | 年間支出額 |
国民健康保険料(妻が専業主婦だった場合) | |
国民年金保険料(妻が専業主婦だった場合) | |
家賃(社宅住まいだった場合など) | |
その他 | |
合計(d) |
夫が亡くなったことにより、必要なくなる支出は差し引いておく必要があります。
夫の死亡保障を考える時に、生活費の中から差し引ける支出項目は、夫の小遣いや交際費、被服費などです。
その他に、住宅ローンを組んでマイホームを購入した人は、団体信用生命保険(団信)に加入しているかをチェック。
ローンを組む時に団信保険に加入している場合は、万が一夫が亡くなった時には、この保険でローンの残債を相殺できるため、以後の住宅ローンの支払いがなくなります。
従って、団信保険に加入しているのなら、住宅ローンの返済額を支出から差し引くことができます。
但し、夫婦でローンを組んでいる場合、妻の持ち分のローンは残るので注意しましょう。
これまで必要なかったのに、夫が亡くなったことにより新たに必要となる支出もあります。
サラリーマン家庭の場合の社会保険料などがそれ。
これらの費用はプラスの支出として計算しましょう。
- (A)の金額-(c)の金額+(d)の金額=夫の死亡後に必要な年間生活費(B)
一家の大黒柱の万が一の時に不要となる支出、新たに必要となる支出をきちんと見極めて計算すること。
既に確保されている保障額
万が一の時に必要なお金は既に分かったと思いますが、そのお金を全て自分で準備する必要はありません。
いざという時には頼りになる公的な保障が用意されています。
先ず、国民年金や厚生年金に加入している人が亡くなった時に遺族がもらえる「遺族年金」があります。
遺族基礎年金
夫が亡くなった時、18歳未満の子供がいる家庭は「遺族基礎年金」がもらえます。
これは夫が国民年金、厚生年金のいずれに加入している場合も支給の対象になります。
遺族基礎年金は、子供の人数などにより年金額が異なり、また、年金をもらい始めた後に子供が18歳以上になると、その子供の分はもらえなくなるので注意して下さい。
自営業者の妻は遺族基礎年金しかもらえないので、子供がいないと遺族年金はありません。
遺族厚生年金
「遺族厚生年金」は、厚生年金加入者が亡くなった時に遺族がもらえる年金で、こちらは子供がいない妻だけ残された場合も年金を受け取ることができます。
金額は夫の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3相当額です。
さらに厚生年金加入者の妻は、夫が亡くなった時、或いは末子が18歳になった時に妻が35歳以上だった場合、40歳から65歳までの間に「中高齢の寡婦加算」が受け取れます。
つまり、22歳以降に末子を生んだ妻なら中高齢の寡婦加算の対象となるわけです。
妻が40歳以降になった場合の遺族年金の額は、遺族厚生年金と中高齢寡婦加算の合計額になると覚えておきましょう。
その他
遺族年金の他にも、いざという時に保障の代わりになるものがまだまだたくさんあります。
会社員なら会社から死亡退職金が支払われるケースが殆どですが、これも死亡保障の一部になります。
死亡退職金がいくらかは、勤めている会社の退職金規定により様々。
勤め先の規定を確認しましょう。
また、預貯金や株式、不動産などの資産も保障の一部に含められます。
これらは現在の価格(時価)でいくらになるのか調べておきましょう。
公的保障や死亡退職金、預貯金といった手持ちの資産など、既に確保できている保障は意外と多いのです。
保険で準備すべき保障額
ここでようやく自分自身で備えなければならない保障額が出てきます。
万が一の時に必要になるお金から、既に準備できているお金を差し引いた額が、自身で保険に加入し準備すべき保障額となります。
しかし、中には「いつまでの保障額を考えておけば良いのだろう?」と疑問を持たれる方もいらっしゃるでしょう。
その答えは様々で、残された妻が亡くなる平均寿命までの分を準備しておくのが万全という意見もあります。
もちろん、現在の年齢が50歳前後の人なら妻の老後生活も含めた保障を検討する必要がありますが、育ち盛りの子供を持つ比較的若い世代では、子供が独立するまでの期間を一つの目安として必要年数を考えていけば十分だと思います。
保険は一度加入したらそれでおしまいではなく、節目ごとに見直していくものなので、子供が成長した時点で、妻の老後生活も含めた保障プランを練り直せば良いでしょう。
まとめ
死亡保障というのは、その人が万が一亡くなった時に、残された家族が金銭的に困らないように備えるものです。
ですから基本的には、家計を支えている人が加入するものなので、極端な話をすれば、収入が全く無い人は、そもそも保険で死亡保障を備える必要はないと言っても良いわけです。
また、収入を得ていても、そのお金で家族を養っているわけではない人は、わざわざ保険で備える必要は全くないのです。
必要保障額を考える時には、もし自分(又は夫)が亡くなったら、誰かが金銭的に困るのかどうかを考えることから始めて下さい。
万が一のことがあると生活に困る家族がいる人は、どれだけ準備すれば安心なのか、必要保障額をしっかり計算し、過不足なく備えることが重要です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。