事前の相続対策がしたい…
相続の手続きが分からない…
こんな疑問・悩みを解決します!
- 専門家の活用法
- 専門家に頼むべき状況
- 専門家の専門分野
相続の専門家
- 遺産相続で揉めそうなとき
- すでに揉めているとき
- 遺産相続に相続税が発生しそうなとき
- 相続の手続きを自分でしたくないとき
相続や贈与は、普段はあまり馴染みがないだけに、発生して初めてその重要さや手続きの大変さに気付くものです。
相続で発生する問題は多岐にわたります。
例えば、
- 法律に基づく諸手続き
- 不動産などの財産の把握
- 遺産分割を巡るトラブル
- 税金
などが挙げられます。
このような相続に関係する専門家には「弁護士」「税理士」「司法書士」「行政書士」「土地家屋調査士」「公証人」があります。
どんな問題があるかで依頼する専門家も異なります。専門家による無料相談会なども開かれているので、先ずは気軽に相談してみることもお勧めです。
相続税の納付期限は、相続発生時から10か月という短期間です。
この期間中に全てを処理することに気を取られ、依頼する側は個々の問題の結論を早く求めてしまう傾向にあります。
しかし、各手続きを何のために行なっているか、相続全体をどうしたいかという「目的」を見失うと、後々後悔したり、結果的に二度手間が生じることもあるのです。
そのような事態を避けるために、複雑なケースの場合には複数の専門家を交えて相談するのも有効です。
専門家自身、自分の仕事以外の領域についてはそれほど詳しくない面もあるので、依頼者・専門家ともに有意義と言えます。
どの専門家も他の専門家とのネットワークは持っているので、依頼者の状況に合った専門家を紹介してもらうことができる筈です。
弁護士
- 事前の相続対策がしたい
- 遺産分割や相続権のトラブルを解消したい
- 侵害された遺留分を取り戻したい
弁護士の役割は、法律全般に関するアドバイスや、トラブルに対する法的措置による解決などです。
依頼者の権利を法的な側面から守ってくれます。
相続に関する依頼で多いのは、遺産分割が相続人の間で上手くまとまらないケースです。
例えば、相続人の範囲が複雑な場合や、相続財産が多くて把握しにくい、分割が難しいといったケースが挙げられます。
遺産分割協議書の作成や、遺言によって侵害された遺留分を法的手段によって取り戻すといった調整的な役割も担います。
相続の事前対策として、万全な遺言書の作成を進めることも、弁護士の業務の一環です。
弁護士に相談する際は、なるべく早期に、事実を正確に話すことが大切です。
遺産などのプライベートな内容でも、弁護士には守秘義務があるため、他言される心配はありません。
弁護士に依頼する場合には、友人や知人に紹介してもらうのがベストな方法です。
税理士などの別な専門家に依頼をしていたならば、そこから紹介してもらう方法もあります。
各都道府県の弁護士会でも弁護士の紹介をしてくれます。
ただこの場合、紹介してもらう弁護士が、相続問題に精通している人であるかどうかは分かりません。
医師と同様に弁護士にも専門分野があるので、納得のいく説明をしてくれる弁護士にお願いするのが安心です。
簡単な相談であれば、市区役所が設けている法律相談を利用するのも良いでしょう。
税理士
- 相続税の申告書が作成できない
- 相続税がどれだけ掛かるか分からない
- 有利な相続税の納め方を知りたい
税理士の役割は、税務全般に関するコンサルタントや代行業務です。
主な業務には、税務代理、税務書類の作成、税務相談といった税理士業務と、顧客の会計帳簿を付けたり、財務書類を作成する会計業務があります。
相続に関する依頼は大きく分けると二つあります。
一つは遺産分割も決まり、資料も揃っている場合に、相続税の申告書作成を頼むというもの。
もう一つは何も決まっておらず、遺産分割のアドバイスから依頼するというケースです。
相続財産や負債の内容が分からない…
どのぐらい相続税が掛かるのか、そもそも相続税を支払う必要があるのかどうか?
こうした相談に対して、税理士は先ず、財産の内容や法定相続人について整理します。
その上で相続税が掛かるか否か、相続の放棄や限定承認の選択について、適切なアドバイスを行います。
次の段階では、遺産分割に関する依頼がメイン。
税理士は遺産分割に必要な資料作りを手伝い、遺産分割が上手くまとまらない場合は、税務面から有効なアドバイスをしてくれます。
また、遺産分割協議書の作成を頼むことも可能です。
遺産分割がまとまった段階で、申告書の作成を依頼することになります。
相続税の申告は、かなり複雑で面倒なものです。
十分注意したつもりでも、うっかりミスをして、後で多額のペナルティーを課せられる可能性も否めません。
特に財産や相続人が多い場合などは、税理士への依頼を検討した方が無難でしょう。
また、相続税の納付についても、延納や物納を視野に入れて、有利な納税方法のアドバイスを受けることができます。
申告と納税が済んでも、税理士の役割は終わりではありません。
後日、税務調査が入った場合はこれに立ち会い、調査官に応対します。
また、税務署の更正や決定に不服があれば、その申し立てを頼むことも可能です。
税理士への依頼は、なるべく早い時期に行うのがポイント。できれば、相続が発生する前に相談しておくのがベストです。
相続税の申告・納付期限は、相続発生時から10か月。
相続が開始されてから不動産の調査をスタートしても、複雑な事情のある土地では相続税の期限に間に合いません。
そうなると税額や評価額を減らせる特例を受けることができない場合もあります。
相続が起きる前に調査をしておけば、トラブルも最小限に抑えられ、且つ、色々と手を打つことが可能です。
資産状況をできるだけ早めに把握し、相続税が掛かる可能性が出てきたら税理士に相談するのがベストでしょう。
実際に相談する際には、登記簿や固定資産税の評価証明書、預金通帳など、予め財産内容が分かる書類を持参すれば、より具体的なアドバイスを受けることができます。
他人に知られたくないプライバシーの部分も多いでしょうが、税理士などの専門家には、職務上知り得た秘密を守らなければならない「守秘義務」があるので、安心して相談して下さい。
初めて頼む場合は、信頼できる金融機関や知り合いの事業経営者などから紹介してもらうと良いでしょう。
各地の税理士会で紹介してもらうこともできます。
但し、税理士にもそれぞれ得意とする分野があるので、なるべく相続関連に明るい人を選ぶことが重要です。
相続に関する報酬はかなり高額になるケースが多いので、依頼する際は報酬についても必ず聞いておくようにしましょう。
司法書士
- 不動産の名義の書き換えをしたい
- 面倒な申請書の作成をお願いしたい
- 法務局への申請一切を任せたい
司法書士は、登記や供託に必要な書類を作成したり、その手続きを代理で行うのが主な役割です。
相続に関する依頼では、遺言書がある場合や遺産分割協議が整っている場合には、土地や建物などの不動産名義の書き換え、所有権の移動などの登記申請が中心となります。
相続発生後に「どこから手を付ければ良いか分からない」といった相談も受け付けています。
遺産を分割する過程では、債務の弁済や、預金や保険金の受領など、普段の生活ではなかなか経験していない手続きが出てきます。
司法書士はそれらの手続きを代行・支援してくれるわけです。
申請書の作成以外にも、住民票や被相続人の出生から死亡までの戸籍、固定資産税の評価証明書といった書類の取り寄せまでを依頼することができます。
依頼の仕方は大きく分けて二つあります。
一つは、申請書の作成から、戸籍・住民票など必要書類の取得代行まで全てお願いするケース。
もう一つは、戸籍や住民票の取得など、できる部分は自分で行い、それ以外をお願いするケースです。
いずれの方法も、最初の打ち合わせの段階で、権利書と固定資産税の評価証明書を持参すれば、掛かる登記費用(登録免許税+司法書士への報酬)の見積もりを出してくれます。
相続の手続きは、必要書類を自分で揃え、法務局の相談窓口で相談しながら、自分で最後まで行うこともできます。
司法書士に依頼するかしないかの分かれ道は、相続の難易度と、当事者が手間を掛ける時間があるかどうかという点になるでしょう。
司法書士に依頼する場合には、付き合いのある銀行などの金融機関に紹介してもらうのが一般的です。
金融機関は業務上、司法書士をたくさん知っているので、それぞれのケースに合った司法書士を紹介してくれるでしょう。
他に各地の司法書士会や、知り合いの専門家を通じて紹介してもらうのも良いでしょう。
公証人
- 公正証書遺言を作りたい
- 確実に有効な遺言書を作りたい
- 病床で遺言を作りたい
公証人とは、遺言などの私的な問題に立ち会って公文書を作成する人で、法務大臣によって任命される実質上の国家公務員です。
公証人によって作成された書類を「公正証書」といい、極めて高い証拠能力があります。
相続関係では、公正証書による遺言書(公正証書遺言)の作成・保管が公証人の主な業務となります。
また、遺言内容に法的な問題があれば、適切なアドバイスを受けることもできます。
公正証書遺言は、遺言書の真偽を疑われることもなく、裁判所の検認といった作業も不要なので、取り扱いも便利でお勧めの遺言です。
自筆証書遺言のように形式に不備があって無効になることもありません。
但し、証人の依頼や書類を揃えるのに手間が掛かる上、法定手数料も必要。
料金は財産価格に応じて増額されます。
依頼するには、最寄りの公証役場に直接出向きます。
相談だけなら無料なので、気軽に訪れられます。
また、遺言者が病気などで動けない場合は、出張を求めることも可能です。
土地家屋調査士
- 土地を物納・売却したい
- 境界の不確かな土地を測量したい
- 広大な土地がある
土地や建物の出生(埋立・新築などの表示)から死亡(取り壊し)までの登記を行うのが土地家屋調査士です。
相続に関しては、土地の測量が中心となります。
物納の為の確定測量や、土地の分筆登記、土地の地積更正登記を依頼するケースが多いようです。
単に土地を測るだけであれば、測量士に依頼すれば済みますが、遺産分割や物納を行う場合には、測量してから分筆と登記が必要となるのです。
分筆と登記は、土地家屋調査士のみが行える業務となっています。
隣地の人との関わり合いが多い仕事だけに、早さや安さに重点を置くよりも、正確さや信頼性を大切にする土地家屋調査士を探すことが、最終的には安全といえます。
いつも利用している銀行や、信頼できる不動産業者を通じて依頼するケースが一般的です。
信頼できる税理士から紹介してもらうのも確かなルートと言えるでしょう。
各地の土地家屋調査士会に紹介をお願いするのも一手です。
各都道府県の土地家屋調査士会では、定期的に無料相談会などを開いているところも多いので、報酬額の概算を知りたい時などに利用してみると良いでしょう。
信託銀行
信託銀行では、本来の銀行業務の他にも、財産信託や証券代行など幅広い業務を行なっています。
相続に関しては、遺産整理の代理業務と遺言書の保管、執行業務があります。
相続の開始から相続税の納付まで、決められた期間内に、相続財産の目録の作成から遺産の分割協議、相続税納付のプランニング、不動産や有価証券の名義書き換え、相続税・所得税の納付など、各種手続きを速やかに完了することが大切です。
それらを信託銀行がアドバイスを含めて徹底的に手伝ってくれるのです。
- 遺産整理に関する事前の相談
- 遺産整理委任契約
- 遺産調査・財産目録の作成
- 遺産分割のアドバイス
- 遺産分割の手続きの実施
- 相続税・その他諸税の納付
- 相続財産運用計画の立案と運用
- 分割後財産目録の作成
相続人たちとの間で2の「委任契約」を結んで、初めて具体的な作業が発生します。
4の「遺産分割のアドバイス」では、不動産の価値を損なわないよう、また、ライフプランや納税などを踏まえた上手な分割方法について相談に乗ってくれます。
7の「相続財産運用計画の立案と運用」では、希望により、今後の生活設計や資産の運用、財産管理について運用計画を作成してくれます。
1の「事前の相談」では、遺産整理の基本方針を固め、必要書類の取り寄せ方などをアドバイスしますが、ここまでは無料です。
手続きに不慣れな人や時間的な余裕のない人、弁護士・税理士などの専門家に伝手がない人などには便利でしょう。
いずれにしても、大切な資産内容を伝えるわけですから、銀行選びは慎重に検討したいものです。
まとめ
相続の手続きには法律的な知識が必要です。
法律の知識がないと払わなくても良い相続税を払ってしまうような事態にも陥ってしまいます。
もちろん、相続の全てを相続人で行うことも可能ですが、やり方を間違えると、かえって面倒や問題の基になることもあり、法律の知識を有した専門家に助言を求めたり、手続きを代行してもらったりした方が無難です。
また、遺言書を作成する時にも専門家に依頼すれば安心です。
相続には専門的な知識も必要です。複雑な計算も求められますので、専門家の力を借りることも考えましょう。
相続に関わる専門家は税理士を始め様々です。
- 弁護士 … 相続には法律的な問題が多数あります。特に遺産分割協議で揉めた場合は弁護士に頼むと良いでしょう。但し、弁護士にも得意分野があります。相続に強い弁護士に依頼しましょう
- 税理士 … 相続税の申告が必要な場合、ミスをすればペナルティーが課されます。そんな時に頼りになるのが税理士です。税理士にも専門分野があるので、相続に強い税理士に頼みましょう
- 司法書士 … 登記や書類作成の専門家が司法書士です。相続財産に不動産が含まれている場合、司法書士は強い味方になってくれます
- 行政書士 … 役所に提出する書類を専門に取り扱うのが行政書士。相続には多くの書類が必要ですし、集めなければならないものも多数あります。遺産分割協議書を作成する際にも頼りになります
- 土地家屋調査士 … 土地家屋調査士は、土地・建物の登記に関する専門家です。土地や建物の現況を正確に把握する為の調査・測量、不動産の表示登記の代行などが主な業務となります
- 公証人 … 公証人とは法務大臣の任命によって選ばれる国家公務員で、公正証書の作成を行います。公正証書遺言のほか、遺産分割協議書を公正証書にしておけばより安心です
もし、どこに相談すれば良いのか迷った時は、「相続を専門に手掛けている士業事務所」を探すことをお勧めします。
相続専門であれば、どんな士業であれ、他の士業とのネットワークを持っていて、必要に応じて振り分けをしてくれます。
相続税が発生しそうだと分かった時点で、先ずは税理士に相談し、税理士ができない分野の専門家を紹介してもらったり、その税理士が提携している弁護士や司法書士などど協力したりして、相続手続きを最後まで完了してくれることもよくあります。
最初から相続税が発生しないと分かっている時は、先ずは司法書士や行政書士などに相談することで、面倒な相続手続きを代行してもらうこともできます。
相談に行く際には先ず、「どんな希望があるか」「どうしたいか」を自分なりにまとめておくと良いでしょう。
専門家に頼む場合は料金が発生しますので、先ずは見積もりを取ることも大事です。
見積もりは値段だけではなく、どんな相談内容の範囲までカバーしてくれるのかの確認も必要です。
専門家に頼むのは、あくまでも相続を円滑に行う為だということも忘れてはいけません。
専門家に依頼する前に、相続人全員の了解を取りましょう。
相続人同士が納得できる形で目的に合った専門家を選ぶことです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。