悩める人老後に必要なお金はいくら?



今のうちに準備できることは?



こんな疑問・悩みを解決します!
- 節約の仕方
- 老後の備え方
- お金の増やし方
- お金の使い方
はじめに
老後の資金に不安を感じるのには、様々な原因があります。
年金の不足、健康不安、またいつまで生きるのかなど、不確定な要素がいっぱいです。
ですが、先ず立ち止まって考えてみましょう。
- 定年後、誰とどこで暮らしたいですか?
- 定年後、どんなことをしてみたいですか?
- 定年までに、どれくらいの資金を準備できそうですか?
- 定年後の収入はどこからいくら、もらえそうでしょうか?
- 定年後の家計は、何に重点を置き、何を減らしますか?
- おひとりさまになったらどうしますか?
老後資金を気にする前に、どのような老後を自分が送りたいのか。
初めに、老後の理想像を思い描きます。
その上で、自分にはお金がいくら必要なのかを逆算します。
すると、具体的な老後の資金計画が浮かび上がってきて、今これからどうするのかが鮮明に分かります。



楽しむために残された時間こそがシニアの特権です。50代からでも準備すれば、楽しむだけの資金は作れるのです。そう考えると、体調の不安やら行く末の不安が、すっきり解消する気がしませんか?
先ずはこれからの人生、やりたいことをやると決めて、前向きに歩みたいものです。
節約する
老後のお金の不安を解消するには、定年後の収支を予め把握し、お金が不足しそうだと分かったら、早めに対策を取ることが何より大切です。
そのためには、先ず定年後に「入るお金」と「出るお金」を整理することからスタートしましょう。



定年後にどれだけの収入と支出があるのかを知り、現状の自身の過不足を把握することが大切です。「出るお金」と「入るお金」を分けて把握しましょう。
生活に掛かるお金を把握する
老後の資金の準備のためには、先ずは「家計の現状」を把握する必要があります。
特に「何に支出しているか」を明確にして、家計を「見える化」していくことが最初の一歩です。



出ていくお金にどのようなものがあるのかを知っておきましょう。人によって項目は変わりますが、基本的には以下の支出があります。
支出には「定期的な支出」と「一時的な支出」、「場合によってある支出」があります。
定期的な支出には、「基本生活費」と「その他の支出」があります。
基本生活費は、生活をする上で必ず必要となるお金です。
食費や住宅費、水道光熱費や税金などが含まれます。
現代の生活環境を考えれば、インターネットやスマートフォンの通信費・維持費などを含めても良いでしょう。
その他の支出とは、趣味や遊興などに使うお金です。
晩酌をするなら酒代、旅行代や友人との交際費、保険に入っているなら保険料、車を所有しているならその維持費などがあります。
一時的な支出とは、医療費や介護費、ライフイベントで必要になるお金です。
定年後にも節目節目でイベントが発生します。
子供の結婚費用や住宅費を出したり、孫の教育資金を援助したりなどです。
葬儀費用なども念頭に入れておきましょう。
人によっては、住宅ローンや自動車ローンの支払いなどが掛かります。
住宅ローンや自動車ローンなどの負債は、できれば現役のうちに払い終えているのが理想ですが、そうもいかないこともあります。
クレジットカードの未払金なども把握しておきましょう。



家計の支出の内容を把握することで、必要な支出とそうでない支出を割り出し、最終的な支出を減らすことができます。支出を見直すことが、節約の基本となります。
資産と負債を把握する
次に、家計における「バランスシート(貸借対照表)」を作ると、資産と負債の状況が分かります。
預貯金などの金融資産や土地建物などの固定資産、住宅ローンや自動車ローンなどの負債を全て明らかにすることによって「資産状況の全体像」を把握でき、資産から負債を引いた実質の財産、純資産が見えてきます。
- 純資産=資産-負債



家計の現状を把握するために、資産と負債の両方を確認します。但し、資産を書き出す際に、これから入る資産は含めないようにします。あくまで「現時点での資産と負債の状況」を正確に把握します。
いくら資産が大きくても、負債も大きければ、手元に残るお金は少なくなります。
毎月の収入と支出だけでは見えない、家計全体の資産と負債のバランスを確認することはとても大切です。



安心できる老後を送るためには、少なくとも定年までには「バランスシート上の純資産」をプラスにしておきたいものです。プラスが大きければ大きいほど、定年後の資金計画が立てやすくなります。
支出の見直し
支出を減らすために最も効果があるのは、固定費の見直しです。



金額が大きい固定費は、一度見直せば節約効果が持続し、効率よく支出を抑えられます。
例えば、固定費で大きい出費は住居費です。
子供が巣立って夫婦だけになったのなら、家賃が安いコンパクトな家に引っ越すのも良いでしょう。
持ち家なら、家を貸家にして、その賃料以下の物件に住めば、家の固定費を下げられ、賃料収入も見込めます。
コンパクトな家なら光熱費も抑えられます。
生活を一新する、という気持ちになれるのも良いかもしれません。



通信費の見直しも効果が大きいです。スマホの料金が月に5,000円を超えている方は、より安いプランに変更を検討しましょう。
- 固定費と変動費 -
- 住居費 … 家賃、管理費、住宅ローンの返済など
- 水道光熱費 … 電気代、ガス代、水道代など
- 通信費 … 電話代、インターネット回線利用料など
- 保険料 … 生命保険、火災保険、自動車保険など
- 教育費 … 塾や習い事の月謝、学費など
- 自動車関連費 … ガソリン代、駐車場代、ローン返済など
- その他 … 上記に当てはまらない支出
- 食費 … 外食費や食材購入費、酒代など
- 家具 … 家具や寝具など
- 家具用品 … 家事に必要な消耗品など
- 医療費 … 通院費や入院費、医薬品代など
- 交際費 … 飲み会や友人知人へのプレゼント代など
- 交通費 … ガソリン代、公共交通機関の利用費など
- 娯楽費 … 書籍購入、映画鑑賞、旅行費用など
- 被服費 … 洋服や靴、アクセサリー、クリーニング代など
- 日用品費 … 掃除用具やシャンプー、ティッシュペーパーなど
- 美容費 … 化粧品購入費、美容院代など
- その他 … イベントなど毎月発生しない支出
支出を見直す、というと結構面倒そうに感じますが、先ずは大まかな傾向を掴むことから始めましょう。
何も考えずにしていた支払いも、1か月のレシートや支払の明細をチェックしてまとめるだけで、「どこにお金を使い過ぎているか」を自分で把握することができ、どこを減らせるかが見えてきます。
これが分かれば、無理なく自然と支出を減らすことができるようになります。
買い物でのレシートやクレジットカードの明細書を見て、固定費、変動費、その他の3つに分けます。
1か月分をまとめたら、それぞれを見直して、必要な支出には〇、不必要な支出には×を付けます。
×が付いた支出は、翌月から減らしていけば、徐々に支出を減らすことができるわけです。
スマホの家計簿アプリを使ってみるのもお勧めです。
「スマホで家計簿を付ける」となるとこれまた難しそう、大変そうに感じますが、レシートを撮影するだけで支出を記録、銀行やクレジットと連動してお金の動きを把握できる便利なものもあります。



固定費、食事・交際費、その他と、シンプルに支出を分けて考えて、自分が「何に」「どれくらい」のお金を使っていたのかを見直す、それだけでかなりの無駄が減らせます。
医療費と介護費用
老後の生活での心配事は、もしもの時の医療費や介護に掛かるお金のことではないでしょうか。



医療費を賄おうと「今から新しく保険に入ろう」などど考えるのは早計です。医療費は、公的保険と貯蓄で十分対応できます。
将来、高額な入居金が掛かる高級老人ホームや、保険適用外のがん治療を受けたいのなら話は別ですが、医療保険や介護保険が適応される治療やサービスを受ける場合は、高齢になるほど自己負担額は少なくなります。
また、高額療養費制度といって、1か月の医療費の自己負担額が上限を超えた時に、超過分を払い戻してもらえる制度もあります。
70歳未満の人は病院ごとに21,000円以上、70歳以上は金額に関わらず自己負担額を合算できます。
医療費が多く掛かった年は、医療費控除を活用すれば、所得税・住民税を減らせます。
こちらは、確定申告が必要です。
また、特定の市販薬の購入費用が多い時に控除を受けられる「セルフメディケーション税制」という制度もあります。



尚、医療費控除は「家計を一にしている親族」の医療費も合算できるので、家族まとめて申請しましょう。
介護サービス費は、要介護度が高いほど支給限度額も高くなり、1~3割の自己負担額も高くなってしまいます。
その負担を減らすために、介護サービス費にも1か月当たりの限度額が設けられています。
自己負担額が収入に応じた限度額を超えた場合は、払い戻しの対象になります。
但し、1か月に要介護度に応じた支給限度額を超えて、全額自己負担で受けたサービス費は適用外です。



介護保険は、加齢に伴う病気などにより介護を必要とする状態になってもできる限り自立生活ができるよう、サービスを受けられる制度です。
保険の見直し
せっかく保険に加入していても、保障内容をよく理解しないで加入したため、いざ必要な時に保険金が受け取れなかったというケースもよく見られます。
また、若い時に加入した保険にそのまま入り続けていて、子供が独立して夫婦二人になった後も支払い続ける高額な保険料で、家計が圧迫されているという人も多いようです。



既に保険料の支払いは済んでいるという人もいるかもしれませんが、そもそも保険は何のために入るのか、ここで改めて確認してみましょう。
保険の役割は大きく分けて4つあり、家族構成や年齢によって必要な保障は変わります。
- 保険の役割 -
- 死亡保障 … 残された家族の経済的な不安を軽減し、生活を安定させること
- 医療保障 … 病気やケガの治療による経済的負担を軽減する役割
- 介護保障 … 公的介護保険でカバーされない費用を補い、経済的な負担を軽減する役割
- ストック … 老後資金や教育資金の準備
生命保険(死亡保障)は一家の大黒柱に万が一のことがあった場合に、残された家族の生活を守るために加入しますが、家族構成と共に必要保障額は変わってきますので、子供の独立や退職といった大きな変化があった時には、必ず保険の見直しをしましょう。



死亡保障の必要保障額は、残されるご家族に必要な支出の合計から、公的な保障や貯蓄など、賄える収入を差し引くことで計算できます。この計算は、個々の家族構成やライフステージによって大きく変動するため、ご自身の状況に合わせて算出することが大切です。
- 必要保障額の計算式 -
- 必要保障額=必要な支出の総額-賄える収入の総額
「必要な支出の総額」として挙げられるのが、生活費(税金・社会保険料含む)、教育費、住宅維持費、自動車購入費、生命保険や損害保険の保険料などです。
「賄える収入の総額」は、退職後であれば主に遺族年金や配偶者の老齢年金となります。
子供が独立すると、それまで必要だった大きな死亡保障は、必要性が低くなります。
生命保険料については支払う金額も高額になる場合が多いので、年金生活に入った人であれば、葬儀の費用や相続対策のためと割り切り、最低限の保障にすることで保険料を節約しましょう。



年齢や環境によって、必要なものと必要でないものがあります。保険の内容もそうです。子供が独立などしたら、保険の見直しを行なって、不必要な生活に掛かる経費を節約しましょう。
老後に備える
人生100年時代が到来すると言われる昨今ですが、寿命が延びると気になってくるのは「老後のお金」です。
ゆとりのある充実したセカンドライフを送るためには、定年に向けた準備と定年前後のマネープランをしっかりと立てておくことが不可欠です。
入るお金を知る



定年後、自分にどのような収入があるかを項目別に見ていきましょう。
収入には先ず「公的年金」があります。
しっかり保険料を払っていれば「国民年金」をもらえます。
会社員ならそれに加えて「厚生年金」があります。
年金は毎月支払われるのではなく、2か月に1回です。



会社員であれば、勤務先が「企業年金」に加入している場合があるので、確認しておくことを忘れずに。「確定拠出年金」に加入していれば、運用成績などを確認しましょう。
再雇用や再就職していれば「給料」も入ってきます。
再雇用制度などが整えられたため、現在では定年後も働く高齢者が増えています。
株や債券、外貨預金、不動産投資など資産運用をしていれば、「その分の収入(配当金や売却益、債券の償還金、不動産収入など)」があります。
その他、個人年金保険や養老保険の資産運用による収入も同様です。



会社員であれば「退職金」をもらえる場合が多いでしょう。退職金は一括でもらう方法と、年金方式でもらう方法があります。老後を支える大切な資金になります。
また、保険を見直して解約などすれば、解約返戻金が支払われます。
不動産の評価額も調べておきましょう。
- 公的年金 … 定年後の基本的な収入
- 給料 … 再雇用・再就職で収入を確保
- 企業年金・確定拠出年金など … 公的年金以外の年金
- その他の収入 … 資産運用の収入を忘れずに
- 退職金 … 老後の大切な資金
- 手持ち資金 … 現金や預金に換えられる資産



基本的に定年後は現役時代より収入は減ります。そのため、金融資産がどれくらいあるかが重要になります。退職金がもらえるなら、計画的に使いましょう。
働いて稼ぐ
実際に老後、どれくらい稼げば暮らしていけるのか、概算ではありますがシミュレーションしてみましょう。
通常、会社員の年収は55~59歳にピークを迎え、定年後には半減します。
こう聞くと将来が不安になる人もいるでしょうが、実際に60代以降に働く人の年収の平均は約300万円というデータがあります。
子供の教育費・住宅ローンなどが終わっていれば、日々の生活費としてはこれで十分でしょう。
稼いで得られる年収の他に、退職金や企業年金、公的年金などがここに加わるからです。



ですが、あなたが平均的なサラリーマンであるなら、定年後に働かずに年金だけを頼りに暮らすのは難しいと考えておいた方が良いでしょう。
特に大切なのは「定年が訪れる60歳」というタイミングです。
年金がもらえるのは原則として65歳から。
つまり、60歳から65歳までの「5年間」をどうやって乗り切るのかという問題があります。
よほどたくさんの貯金がある人は別として、「定年以降は働かない」という選択はないと思っておきましょう。



しかし、悲観することはありません。高年齢者雇用安定法の改正で、希望すれば会社員は同じ会社で65歳まで働くことが可能です。但し、もらえる給料の額は通常、大幅にダウンします。
総務省の調査によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯は、年金と貯蓄の取り崩しで生活しているとされています。
具体的にはこのような高齢者夫婦の家計は毎月約4万円の赤字となっており、足りない分は貯蓄を取り崩して生活しているわけです。



もちろん、実際に掛かる生活費は個人によって差がありますが、平均すれば月に10万円も稼げれば月々の赤字を補填し、老後資金を取り崩さずに生活することは可能だということです。
老後の仕事で、稼ぐ金額以上に重視したいのは「モチベーション」です。
同じ職場で再雇用された場合、給料が半減するのにやる仕事が同じでは、やる気も失われます。
定年後はやりたくない仕事を我慢してやるよりも、やりたい仕事、自分の能力を発揮できる仕事で必要なだけ稼ぐようにした方がやり甲斐を維持できるでしょう。
老後世代になれば仕事を探す手段もハローワークだけでなく、シルバー人材センターなど選択肢も増えます。
また、現実に定年後にも働く多くの人たちは「生活のため」という理由だけで働いているわけではありません。
年齢が上がれば仕事に対する価値観も変わっていきます。
経済的な理由だけでなく、健康維持のため、生きがいのため、そして社会の役に立つために働く人が増えてくるのです。
資産があっても社会や人から孤立していては、生きがい(楽しい老後)を感じられないという証でしょう。



現代では、定年を超えてからも働き続けることはごく普通になっています。自分の資産や目指す生活レベルから、必要な収入とそのための仕事を探りましょう。
各種手当と給付金
定年を迎える60歳から年金の支給が始まる65歳までの「空白の5年間」をどうやり過ごすかは大きな問題です。
退職金や企業年金を使ってカバーする方法もありますが、老後の資産形成のためには取り崩したくないところ。



ここで是非とも活用したいのが公的な制度。具体的には、失業給付などの給付金をここに充てることです。会社員は失業すると雇用保険から失業給付がもらえます。
注意しておきたいのは、この給付は65歳未満と65歳以上で大きな違いがあるという点です。
65歳未満で退職すれば、基本手当として、被保険者期間の長さや退職理由などに応じて、最大で240日受け取ることができます。
これに対し、65歳以上の場合は「高年齢求職者給付金」となり、退職理由に関わらず最大で50日分しか支給されなくなってしまうのです。



つまり、64歳11か月で辞めた方がもらえる日数が長くなるということです。予定より少し早めに退職して、基本手当をもらいながら、70歳まで働ける仕事を探すというのも一つの手です。
また、定年後に同じ会社で継続雇用されたけど以前よりもらえる賃金が25%以上ダウンした場合、高年齢雇用継続給付金というものが受け取れます。
別の会社に再就職したけれども、25%以上の賃金ダウンになった場合は、高年齢再就職給付金があります。
定年になり、せっかく会社から解放されたのだからこの開放感をしばらく味わいたい…。
そんな思いを持つ方も、大勢いると思います。
失業保険の基本手当の受給期間は原則として「離職した日の翌日から1年間」と定められていますが、60歳以上の定年等の場合、離職後しばらく休養したいという人は、休養したい期間分(最長1年)、受給期間を延長することができます。
これは「離職日翌日から2か月以内」に申請する必要があります。
また、定年前後の年代は、親の介護などの問題も多くなってきます。
親が病に倒れたり、認知症が急激に進んだり、介護が必要になるのは常に思いがけないタイミングです。



でも、失業保険はそんな不測の事態にも対応しています。期間内に介護などで働けない状態が30日以上続いた時は日数分の受給期間延長が認められ、最長で3年間延長できるのです。
また、介護休業給付金を利用すれば、在職中に介護休業を選択した場合の金銭的な負担を軽減させることもできます。
65歳以上であっても給付の対象です。



自分が使える制度を知って、将来の不安を軽減させることは重要です。自分のケースだと、どのような制度を活用できるのか。それを知っているか知らないかで大きな差が付きます。
在職老齢年金
60歳を超えて働くことが当たり前の現代。
厚生年金に加入しながら60歳以降に働く場合、働きながら厚生年金を受け取ることができます。
これを「在職老齢年金」と呼びます。



ここで注意したいのが、働いてもらう給料が多過ぎると、もらえる年金がカットされてしまうという点です。給料と月の年金額の合計額が65万円に達するまでは年金を全額受け取れますが、65万円を超えた場合は、年金の一部がカットされるのです。
この65万円という数字は「支給停止調整開始額」と呼ばれますが、給与額や物価の調整により変動があります。
年金を受け取りながら厚生年金に加入する場合は、稼ぎ過ぎると損をしてしまうということなのです。
尚、この65万円というのは、あくまで「手取り前」の金額です。
繰り返しになりますが、税金や社会保険料を天引きされる前の「額面」なので、勘違いしないようにしましょう。



また、これは大きなポイントですが、在職老齢年金によって減額される部分は繰り下げの対象にはなりません。つまり減額されたままになるのです。減額された上、繰り下げの対象にもならないので二重に損をします。
ただ、こう聞くと「60歳を超えてバリバリ働くと損」と思うかも知れません。
ですが、年金が減る対象はあくまで「60歳以降に厚生年金に加入して働いている人」に限られます。
つまり、厚生年金に加入せずに働けば、年金額を減らされることはありません。



スキルに自信がある方は厚生年金に加入せず、業務委託契約で働くこともできます。思い切って独立開業、起業も視野に入れて良いでしょう。
雇用保険や労災年金に加入できないという不利はありますが、青色申告の利点を活用し節税すれば資産形成も夢ではありません。
定年後の働き方
定年後の働き方は、大きく「再雇用・再就職」「フリーランス」「起業」の3つに分けられます。
会社員の場合、先ず初めに「勤務先の制度」を調べてみましょう。
公的年金の支給開始年齢が段階的に遅くなることに合わせ、法律改正で企業にも65歳までの雇用を確保することが義務付けられています。
方法として、
- 定年をなくす
- 定年を延ばす
- 継続雇用の制度を作る
のいずれかが選べるため、全体の約9割の会社が定年退職者のために継続雇用の制度を設けています。
継続雇用制度では、定年退職後に「再雇用」するケースが多く、給与体系などは変わりますが、同じ会社で働き続けられる安心感があります。



継続雇用の制度があるなら、条件なども詳しく調べ、先輩社員の動向も確認しておきましょう。
会社にそうした制度がない人や、新しい仕事にチャレンジしたい人などは、定年前から根回しをしたり、定年退職後に求職活動をして「再就職」する手もあります。
一方で、定年を機に思い切って独立し、自営業やフリーランスで働く人たちもいますし、パートやアルバイトでの気軽な働き方を選ぶのも良いでしょう。
働き方の違い
定年後は、働き方の違いによってどのような点が変わるのでしょうか。
正社員や、契約社員・嘱託でも一定の条件を満たして働く人は、勤務先の社会保険に加入し、税金も給与天引きされるため、自分で特別な手続きをする必要はありません。
一部の手続きは次の退職時まで先延ばしです。
夫が会社勤めを続ければ、専業主婦の社会保険料も今まで同様、負担なし。
月々の収入も安定し、これまでの生活をあまり大きく変えずに済むでしょう。



但し、60歳以降も厚生年金の加入者になると、60(65)歳から受け取る公的年金は「在職老齢年金」となり、年金の一部又は全額がカットされることがあります(前出)。
年金カットの対象になるのは、会社員として厚生年金に加入しながら、厚生年金からの年金を受け取る人です。
従って、会社勤めを続ける場合でも、パート(時短)などに切り替えて、勤務先の厚生年金に加入しないで働く人は、支給開始年齢に達した翌月分から、年金は全額受け取れます。
自営業やフリーで働く人も、収入に関係なく年金は全額もらえます。
パート(アルバイト)や自営業なら、自分の希望や体力などに合わせ、どのくらいのペースでいつまで働くかを比較的自由に決めやすいというメリットもあります。
元気な人なら70代まで働けるでしょう。
反面、パート(アルバイト)であれば、収入的にはあまり過度の期待は持てず、自営業やフリーで働く人も、毎月安定した収入を得るのは簡単なことではありません。
特に会社員から独立する場合には、周到な準備が必要になるでしょう。
50代のうちに、これまでの仕事や経験を活かせる資格を取得し、定年後は、今の勤務先や取引関係の会社から、フリーで仕事を請け負うという働き方もあるでしょう。
逆に、全く新しい分野の仕事で独立するのも良いですが、定年までの残された時間を考えて、夫婦それぞれで今からできること、現実的で無理のない働き方を話し合うことが大切です。
- 正社員のメリット・デメリット -
| メリット | 給与は減っても収入は安定する 税金、社会保険料の手続きは今まで通り会社任せ 給与が大幅に減ったら、雇用保険から給付金がもらえる |
| デメリット | 年金が一部又は全額カットされることもある 今まで通りの生活スタイルになりやすく、年金生活になった時とのギャップが大きい |
- パート・自営業のメリット・デメリット -
| メリット | 正社員時代より時間の自由が利くことが多い 収入に関係なく年金は全額もらえる(厚生年金に加入しない場合) 自営なら、リタイア時期を自分で決めやすい |
| デメリット | 収入は不安定で、必ずしも好きな仕事に就けるとは限らない 税金や社会保険料の手続き・納付は自分でしなければならない |
お金を増やす



退職後の生活を支える大事な年金。その中心となるのが「公的年金」です。定年後の生き方のプランを立てるには、先ず「年金がどれだけ受け取れるか」を軸にして考えていきます。
年金の基本
我が国の公的年金は、大きく分けて「国民年金」と「厚生年金」の2つがあります。
国民年金は、20歳~60歳の全ての人が加入するものです。
原則、この期間に所定の保険料を納めていれば、誰もが受け取れるものです。



保険料を納付した月数が足りず40年に満たなかった場合、受給額は減少します。また納付済等期間が10年に満たない場合は受給自体ができません。
厚生年金は、会社員などが勤務先を通じて加入するものです。
通常、保険料は毎月の給料から天引きされ、国民年金と併せて納められています。
厚生年金の受給額は、加入期間や加入中の給与・賞与によって変動します。
このように年金の受給額は、加入状況や納付状況によって、人それぞれに変化するものなのです。
ねんきん定期便は、日本年金機構から年に1回送られてきます。
通常はハガキで送られてきますが、35歳、45歳、59歳という節目となる年齢には封筒で届きます。
ハガキには「直近の1年分」の記録が、封筒には「全期間」の記録が記載されています。
ねんきんネットは、年金の記録をインターネット上で確認できるサービスです。
定期便は年に1回のみ、先方から送られてきたタイミングでしか確認できませんが、ねんきんネットなら自分の好きな時に確認できます。



転職した人、結婚や離婚で苗字が変わった人、名前の読み方が複数ある人は特に誤りがないか、よく確認しておきましょう。
老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)は、原則として65歳から受給できます。
しかし、希望すれば60~75歳の時期で受給の開始時期を選ぶこともできます。
そして、受給開始時期によって、受給額も変わります。
税金・社会保険料
通常、会社員が月々の給料を受け取る場合、税金や社会保険料が天引きされた状態で口座に振り込まれます。
これは、実は年金でも同じです。
年金は受け取る時に、「税金(所得税・住民税)」、そして「社会保険料(国民健康保険料・後期高齢者医療保険料・介護保険料)」が天引きされているのです。
このため、年金の額面と実際に受け取る金額は異なります。
天引きされる金額の割合は、だいたいねんきん定期便などで確認していた年金見込額より10~20%少ない金額となっています。
この数字は、その人の年齢や受け取る年金の額などによって異なります。
税金と社会保険料は所得・年齢・家族構成・居住地によっても変わってくるからです。



ねんきん定期便の見込額は天引き前の額面なので、自分がもらえる年金の「手取りの正確な金額」を把握するためには、年金事務所や年金相談センターで確認する必要があります。
繰り上げ・繰り下げ受給
年金の受け取りの開始時期は、自分で決めることができます。
それによって、もらえる金額も変わります。



年金は原則、65歳から受け取ることになっていますが、受け取り開始の時期は希望すれば5年早く、60歳まで繰り上げることもできます。そして逆に10年遅く、75歳まで繰り下げることもできるのです。
繰り上げれば受け取る金額は少なくなり、繰り下げれば受け取る金額は大きくなります。
開始時期は1か月単位で選ぶことができ、60~64歳までに受給開始することを「繰り上げ受給」、66~75歳までに受給開始することを「繰り下げ受給」とそれぞれ呼んでいます。
繰り上げ受給は年金を早く受け取れるというメリットがありますが、1か月早めるごとに0.4%ずつ受給率が減少してしまいます。
仮に60歳から受給したなら、受給率は65歳で受給開始した場合の76%になります。
そして、この減額された年金が一生続くので、長生きすればするほど損ということになってしまいます。
これに対して、繰り下げ受給の場合、1か月繰り下げるごとに受給率は0.7%増えていきます。
75歳まで遅らせた場合、受給率は184%となります。



但し、繰り下げ受給は、長生きできないと損をすることになります。75歳から受け取り始めて10年後の85歳で亡くなってしまった場合、65歳から20年間、本来の金額でもらい続けた方が受け取る金額は大きくなるのです。
また、税金や社会保険料の問題もあります。
受取額が増えるということは、税金や社会保険料の負担が大きくなるということです。
高齢世代になってから、これらの負担が大きくなるのは辛いものです。
また、受取額が増えると医療費の窓口負担も大きくなります。
病院に行く回数が多い人には悩ましい問題です。
- 繰り上げ・繰り下げのデメリット -
| 繰り上げのデメリット | 繰り下げのデメリット |
| 年金の減額が一生続く | 長生きしないと損をする |
| 国民年金と厚生年金がセット | 税金や社会保険料額が増える |
| 国民年金の追納等不可 | 加給年金等は支給停止 |
| 障害年金等の受け取り不可 | 遺族年金が増えるわけではない |



自分が何歳まで生きられるかは、誰にも答えようがありません。健康状態、人生設計、様々な要素を考え合わせながら、ベストな受給開始時期を見極めましょう。
その他の年金の増やし方



将来受け取る年金を増やす方法は、繰り下げ受給だけではありません。将来もらえる年金を増やせるよう、様々な制度が用意されています。それぞれの特徴を掴み、賢く活用していきましょう。
国民年金の任意加入



老齢年金の受給資格である10年を満たしていても、国民年金の加入期間が40年に届かなければ、65歳までは国民年金に「任意加入」して、年金額を増やすことができます。
老齢基礎年金(国民年金)は、20歳から60歳までの40年間(480月)の全ての保険料を納めた場合、65歳から満額の年金、年額83万1,700円(2025年)を受給できます。
会社員で厚生年金に加入していた人は、国民年金にも自動的に加入しているため、その間の保険料は支払われています。
但し、学生時代や求職中などに国民年金の未加入期間や保険料の未納期間があったりすると、受け取る老齢基礎年金は減額されるので注意が必要です。



先ずは、自分の加入月数を「ねんきん定期便」などで確認してみると良いでしょう。
60歳の時点で加入月数が480月に満たない人は、60~64歳の5年間(60月)加入できる「任意加入制度」を使用し、少しでも満額に近付けておくことで、老後に向けての準備が整います。
払込期間が足りないという人も、10年間(120月)以上保険料を納めていれば年金をもらうことができますが、少しでも加入月数を増やし、受け取る年金を増額させましょう。
付加年金



自営業やフリーランス、その配偶者など「第1号被保険者」が、国民年金に上乗せする方法に「付加年金」があります。
付加年金は、国民年金の加入者が、定額保険料に付加保険料を上乗せして納めることで、将来受給する年金額を増やすことができる制度です。
この付加年金をプラスできるのは、国民年金の第1号被保険者及び任意加入被保険者です。



但し、国民年金保険料の免除・猶予を受けている人、国民年金基金加入者は利用できません。また、第2号被保険者、第3号被保険者も利用することができません。
付加年金の保険料は月額400円で、国民年金の保険料に上乗せして納めます。
受け取る付加年金額は「200円×付加保険料納付月数」で計算されます。
繰り上げ受給や繰り下げ受給をした場合は、付加年金も老齢基礎年金と同率で減額・増額されることになります。
つまり、老齢基礎年金の繰り下げ受給をすれば、付加年金も増額されるというわけです。



保険料も付加年金額も多くはないですが、支払った付加保険料は2年で元を取ることができます。また、亡くなるまで受け取ることができるため、保険料に対するリターンが大きいお得な制度です。
付加保険料は所得から全額控除できるため、節税という面でのメリットもあります。
国民年金基金



他に、国民年金に上乗せして加入できる「国民年金基金」というものがあります。老齢基礎年金にプラスして年金を受け取ることができます。
国民年金基金は、国民年金と厚生年金の格差を解消するために「任意で加入」できるものです。
国民年金基金の年金は、大きく分けて次の二つです。
- 終身年金タイプ(2種類)
- 確定年金タイプ(5種類)
合計で「7種類」の給付タイプがあります。
国民年金基金はiDeCoと併用することもでき、掛け金の上限額は両方合わせて月々6万8,000円、年間では81万6,000円となります。
これらが全額、所得控除の対象となり、掛け金を支払っている間は所得税や住民税が軽減されます。



尚、国民年金基金はいったん加入すると途中で任意に脱退や退会ができません。また、国民年金基金と付加年金は、原則として併用できません。
年金生活と確定申告
年金受給者の方でも確定申告した方が得な場合が多くあります。



高齢者の暮らしのためにも大いに役立てられている税金ですが、知らない間に必要以上に支払っていることがあるのは困りもの。払い過ぎている税金は、申告して返してもらいましょう。
年金は基本的には源泉徴収されているため、毎月一定額の税金が差し引かれて支給されます。
しかしながら、年金収入以外にも他の所得や経費がある場合、確定申告をすることで税金の還付を受けることができます。



年金は65歳未満なら155万円以上、65歳以上なら205万円もらっていれば、所得税が源泉徴収されています。この金額は概算なので、納め過ぎになっている人が多いのです。
年金受給は「雑所得」として扱われ、所得税や住民税の課税対象となります。
具体的な所得金額や控除の適用によって、実際に支払うべき税金額は変動することがあります。
例えば、年金受給者でも他の所得がある場合や、控除や特例が適用される場合などです。
これまで会社員として働いていた方は、会社が年末調整を行なって税金を調整してくれましたが、年金受給者には年末調整がありません。
そのため、自らの所得状況や控除を考慮し、確定申告を行うことが重要です。



年を取るにつれ病院のお世話になる機会は増えていきます。収入が減る高齢者世帯にとって、医療費は意外に負担となるので、「医療費控除」という制度を知っておきましょう。
医療費控除とは、1年間に医療費が10万円を超えた場合、確定申告をすればその分が所得から控除される制度です。
この10万円は世帯全員分の医療費を合算した金額になります。
医療費には実際の診察費の他、処方箋による薬代はもちろん、ドラッグストアで購入した市販薬の代金や通院に掛かった交通費なども含まれます。
医療費が10万円を超えると予想される場合は、これらの領収書をしっかり管理しておきましょう。
領収書ではなくレシートでもOKです。



但し、控除の対象となるのは「治療」を目的としてもので、例えば人間ドックのような予防を目的としたものは含まれません。
また、総所得額が200万円未満の場合は、医療費が10万円を超えなくても、医療費が総所得の5%を超えた金額であれば、5%を超えた分が控除の対象になります。
総所得とは、様々な控除を差し引いた後の金額です。



尚、高額療養費や生命保険の給付金などで補填を受けている場合、その金額は差し引いて申告する必要があります。
また、セルフメディケーション税制やふるさと納税も活用しましょう。
セルフメディケーション税制は、特定の市販薬を購入し、年間費用が1万2,000円を超えた場合、その超過分(最大8万8,000円)が控除対象になる医療費控除の制度です。



但し、医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらか一方しか適用できないため、よりお得な方を選んで活用することが重要です。
- 医療費控除の計算方法 -
- 控除額=1年間の医療費合計-保険金や公的給付の補填金額-10万円
- 控除額=1年間の医療費合計-保険金や公的給付の補填金額-所得の5%
ふるさと納税は、自分が選んだ自治体に寄付をすることで「寄付金控除」という仕組みを利用して、所得税や住民税から一部の金額を控除する制度です。
寄付金額が2,000円を超える場合、控除の対象となります。
- 確定申告で税金が還付されるケース -
- 年の途中まで働き、年末調整を受けずに辞めた場合
- 扶養親族等申告書を提出し忘れた場合
- 生命保険料控除・地震保険料控除を申告した場合
- 医療費控除・セルフメディケーション税制を申告した場合
- 雑損控除を申告した場合
- ふるさと納税をした場合
- 住宅ローン控除・投資型減税を適用した場合
- 損益通算・繰越控除を適用した場合



節税を心掛けるには、医療費控除の他にセルフメディケーション税制、ふるさと納税などがあります。還付金を取り戻して、家計の足しにしましょう。
定年後の資産運用



老後に備えて、定年後に資産運用を始める方も多いでしょう。一口に資産運用と言っても株式、不動産、債券、FX、外貨、先物、金、投資信託など様々な種類があります。
定年後の資産運用で大切なことは、徹底してリスクを抑えリターンを得るということに尽きます。
先ず、自分自身の年齢や現在の資産の多寡、扶養する家族がいるかどうかなどの要因で、自分のリスク許容度を客観的に測ることが重要です。
そして、その許容度に合わせた投資先や配分を決定していくというわけです。



投資を始める前に、自分のリスク許容度を様々な視点から知っておくことで、自分に合った投資先・資産配分を決定することができるのです。
また、金融商品には株式や債券など様々な種類がありますが、元本が減りづらいことを示す「安全性」、利益が出やすいことを示す「収益性」、現金にしやすいことを示す「流動性」という3つのポイントに分けて考えるとわかりやすくなります。
堅実に資産を増やすためには、自分のリスク許容度を踏まえつつ、複数の金融商品を組み合わせるのが良いでしょう。
バランスの取れている商品は、投資信託です。
投資信託は、自分の代わりに投資のプロ(ファンドマネージャー)がお金を運用してくれるというもの。
投資信託はたくさんの投資先に投資しているので、1本買うだけで「分散投資」になります。
プロが運用するからといって必ず儲かるとは限りませんが、メインとして活用したい金融商品です。
| 金融商品 | 安全性 | 収益性 | 流動性 |
| 預金 | ◎ | △ | ◎ |
| 株式 | △ | ◎ | 〇 |
| 債券 | ◎ | △ | 〇 |
| 不動産 | 〇 | 〇 | △ |
| 投資信託 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 金 | ◎ | △ | 〇 |
| FX | △ | ◎ | 〇 |



「安全性」「収益性」「流動性」が全て満点の完全な金融商品はこの世にありません。自分のリスク許容度に合ったもので資産形成を目指しましょう。
資産運用の成否を左右するのは資産配分、つまり「ポートフォリオ」です。
ポートフォリオとは、どのような割合で金融資産に投資するかという配分のことです。
ポートフォリオのリスクとリターンは、組み入れる商品の比率によって変わってきます。
国内債券のようなリスクの少ない資産を多く組み入れれば、その分リターンも少なくなり、外国株式を多く組み入れればリスクもリターンも大きくなるといった具合です。
自分の身の丈に合ったリスクとリターンの配分を考えていきましょう。
リスクは、分散させることで軽減できます。
一括購入ではなく、毎月の一定額購入でリスクを軽減させる「ドルコスト平均法」は有効な投資法です。



例えば、毎月1万円ずつ同じ投資商品を買い続けるようなイメージです。価格が高い時は少ししか買えず、価格が安い時はたくさん買えるので、結果として「買う単価」が平均されるのがポイントです。
また、短期の投資はタイミング狙いでどうしてもハイリスクになりがち。
長期投資はそのリスクを抑えることができる上に、利息が次の利息を生み出す複利効果も期待できます。
堅実な投資には欠かせない考え方です。



投資は「一攫千金」ではありません。タイミングを分散させ、長期にわたって運用することで「リスクを軽減」させるのが定年後の資産運用の基本。それが結局、長い目で見ればお得なのです。
iDeCo
iDeCoについてもしっかり理解しておきましょう。
iDeCoは、老後資金専用の非課税制度です。
個人事業主やフリーランスなどの第1号被保険者、会社員や公務員の第2号被保険者、専業主婦(夫)などの第3号被保険者のいずれもが加入できます。



加入者によって掛け金の上限が異なるため、加入前は確認が必要です。厚生年金のない第1号被保険者は特に拠出額が大きくなっているので、厚生年金の代わりに運用するのも有効です。
通常、金融商品の利益には、20.315%の税金が掛かります。
しかし、iDeCoを利用すれば、利益に税金が掛かりません。
つまり、資産の成長による利益を非課税で得ることができます。
また、iDeCoに毎月の掛け金を支払うと、その金額が全額所得控除として認められます。
会社員や公務員の人は年末調整で自営業者やフリーランスの人は確定申告で税金が軽減されます。



iDeCoは掛け金が全額所得控除になるため、所得税にも住民税にも税金が掛からず、給料の手取りが増えます。また、運用益に税金が掛からないため、利益を全て再投資に回すことによって、複利効果で効率よくお金が増やせます。
iDeCoは、国民年金の任意加入被保険者か厚生年金の被保険者であれば、65歳まで掛けられるので、50歳から始めても、最長15年は積み立てることができます。
iDeCoで運用した資産は、60歳から受け取ることができますが、加入期間が10年以上必要です。
言い方を変えると、60歳になるまでは、基本的にiDeCoの資産は受け取ることはできません。
また、60歳時点で加入期間が10年に満たない場合は、加入期間に応じて受け取る時期が遅くなります。
ですので、加入するなら早ければ早い方が良いということになります。
受け取り方法には一時金と年金の2種類があり、金融機関によっては両方を受け取れる場合もあります。
一時金受け取りは資産を一括で受け取る方法で、退職所得控除が適用されます。
年金受け取りは資産を分割して受け取る方法で、この場合は公的年金控除を受けることができます。
尚、iDeCoには障害給付金、死亡一時金が設けられており、不測の事態にも対応しており安心です。
- 掛け金が全額所得控除
- 運用益が非課税
- 受け取り時も税が優遇



iDeCoは簡単に言うと「私的年金」です。サラリーマンや公務員と比べて年金や退職金の恩恵を受けにくい自営業者の方のために作られました。
新NISA(少額投資非課税制度)
NISAは、金融機関に口座を開設して、そこで購入した金融商品の利益に税金が掛からない制度です。



2024年1月から制度が改正され、より使い勝手が良くなりました。iDeCoに掛ける時間があまりないと感じているシニアの方々には打って付けの節税投資だと言えます。
新NISAは、非課税保有期間が無期限となり、一生涯にわたって非課税の恩恵を受けられるのです。
さらに、生涯の投資上限額も1,800万円にまで増額され、成長投資枠には1,200万円まで投資できます。
上限額いっぱいを使うためには、更に600万円分の「つみたて投資枠」を使う必要があります。
また、NISAはiDeCoと違い、いつでも引き出しが可能です。
いざという時に必要なだけ引き出せるので、安心感もあります。
但し、引き出す時は必要最小限だけを引き出し、一挙に引き出さないように気を付けましょう。



NISAで投資するなら、コアサテライト戦略が最善の投資法です。これは安定性と成長性をバランス良く組み合わせ、ポートフォリオのリスクを分散させる手法です。
コア部分は安全で比較的リスクの小さい投資商品(預貯金・個人向け国債・インデックス型投資信託など)を選び、資産の目減りを極力減らします。
また、サテライト部分の投資(株式・アクティブ型投資信託など)では、相対的に高いリターンを追求します。
この際、コア部分の現金は、ちょうど「年齢分の割合」にしておくのが一般的な投資のルールです。
つまり、60歳なら60%を、70歳なら70%を現金の預貯金として保持しておくということです。



現金と投資商品の比率は、基本的に年齢を基準に考えます。60歳の方の現金と投資商品の比率は「60:40」となります。同様に、70歳であれば「現金70:投資商品30」となります。これは、一般的な現金比率ポートフォリオとされます。
ポートフォリオを構築する際には、比較的リスクの小さい「安定成長資産」を「コア資産」とし、リスクが高く利益を追求しやすい「リスク資産」を「サテライト資産」として分散すると、資産を守りながら利益を狙うことができます。
サテライト部分はリスクが相対的に高いですから、損失を出すこともあります。
しかし、その損失をコア資産から出して補うのは悪手です。
コア部分はあくまでコアのまま保持しておくからこそ、この戦略の意味があるのです。
長期の運用を前提とした安全資産を取り崩すと、本末転倒の結果になりがちです。
戦略のルールに従って、資産を運用しましょう。
- 投資枠拡大
- 非課税期限無期限化
- 投資の自由度が高まる



定年後は老後資金を減らしてしまうことがないように慎重に運用する必要があります。ハイリスク・ハイリターンの投資は、リタイアメントプランにおいては適切ではない場合があります。
お金を上手に使う
老後の資産をしっかりと貯めることは、将来の安心に繋がる大切なことです。
しかし、ただ貯めるだけではなく、そのお金をどのように使うかも同じくらい重要です。
お金は、自分の夢や願いを叶えるための大切な道具であり、使い方次第で人生を豊かにすることができます。
多くの人は、老後の資産を使わずに、次の世代に残すことが多いですが、資産の真の価値は、それがどれだけ活用されるかによって決まります。



いくらお金を貯めても、お墓まで持っていくことはできません。使い切ってこその「生きた資産」です。資産形成と資産取り崩しを計画的に考えましょう。
老後の資金の使い方は人それぞれで、定年後でも労働収入を得ることは可能です。
そのため、資産を計画的に取り崩していくことができます。
資産を効果的に使うためには、計画的な引き出し方を考えることが大切です。



例えば、4%ルールとして知られる方法を使用すると、毎年の資産引き出し額を適切に計算できます。4%で資産運用しながら、4%以内のお金を取り崩す方法です。運用益以上に取り崩さなければ、資産は減らないのです。
また、資産を一度に現金化するのではなく、運用を続けながら少しずつ引き出す方法もあり、これにより老後も資産を保持し、増やすことができます。
公的年金などの収入も考慮に入れ、資産の引き出し計画を立てることが重要です。
何歳まで生きるかは分からないため、使うお金については慎重に決める必要があります。
老後の資産の使い方は、個人の価値観や目標に合わせて計画することが大切です。



結局のところ、お金は人生を豊かにするためのツールであり、賢く使うことで、より充実した老後を送ることができるのです。
まとめ
老後の暮らしを豊かなものにするためには、やはり「お金」が必要になります。
老後に備えるためにも、どれだけのお金が必要になるのかを知っておくことが重要です。



定年世代は、自分の家計で必要な老後資金をシミュレーションして予想することが重要です。以下の順に計算してみましょう。
- 現在の生活費1か月分 … 現在かかっている1か月分の生活費を洗い出します (①)
- 老後の生活費 … 今の生活費から、老後に増減しそうな支出を洗い出して予想します (②)
- 老後に不足する金額 … 生活費から年金額を差し引くと、不足する金額が分かります (③)
- 特別支出 … 家のリフォーム費や旅行などのレジャー費、医療費や介護費などを計算します (④)
- 不足する金額 … ③と④の合計が老後に必要なお金です (⑤)
現在の資産と負債を調べる必要も出てきます。
実際に書いてみることで、将来のライフプランニングが具体化できます。



定年後の収支を計算し、現状の資産と負債を書き出すことで老後に備えることができます。いくら必要なのかを把握しましょう。
こうした作業の後、老後資金に余裕があれば問題ありませんが、足りない場合は早めに対処しなければなりません。
現在の支出の中で節約できるものはないか、将来の支出の中で必要ないものはないかを考えます。



資産と負債、年間収支を計算して、老後資金が足りない場合、工夫して足りない分を捻出しなければいけません。
支出の中には「減らせるお金」もあります。
例えば、ライフイベント費を今一度見直してみましょう。
子供や孫のために使い過ぎていませんでしょうか。
リフォーム費用も最低限の修繕に済ませば減らせるかもしれません。
また、保険料の見直しも必須です。
生命保険、医療保険、がん保険、年金保険、各保険に付けた特約など、その保障が本当に必要かどうかを考えましょう。
子供が独立していれば、高額保障の生命保険は必要ありません。
その他、基本生活費となる固定費の節約も一考です。
次に「増やせるお金」を考えてみましょう。
年金以外の収入手段を考えることが重要です。
定年後に仕事をすっぱり辞めるのではなく、できるだけ長く働いて収入源を確保することが大切です。



リタイア後もなるべく長く働き続け、できれば共働きする。これだけで世帯の生涯年収は大きく変わります。
収入が増えるだけでなく、社会との繋がりができることで、老後の寂しさを解消することができます。
定年後は現役時代に比べれば収支は厳しくなります。
大切なのは、老後に備えて今から考え、準備を始めることです。



定年後にどれくらいのお金が必要か、定年前に知っておくことは大切です。老後資金が足りないと分かれば、収支を考えるなど老後に備えてできることをしていきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。



