悩める人どんな時にどんな税金が…?



いつ払う?どう払う?



こんな疑問・悩みを解決します!
- 不動産に掛かる税金の種類と手続き
- 不動産の購入・取得時に掛かる税金
- 不動産の保有・所有時に掛かる税金
- 不動産を貸し付けた時に掛かる税金
- 不動産の贈与・相続時に掛かる税金
- 不動産を売却した時に掛かる税金
不動産に掛かる税金
税金は複雑で難しそう…。
そんな印象は誰もが抱くことです。
しかし、不動産を所有するだけでも税金が課せられます。
一般的に高額な財産である不動産を取得するというのは、多額なお金や価値が移動することになり、そこには様々な税金が課せられます。
契約書作成時に「印紙税」、登記には「登録免許税」、不動産を買う(建てる)時に消費税、不動産を取得した時には「不動産取得税」が掛かります。
家族などに引き継ぐ際は贈与税、相続税についてもきちんと理解し、税金分を考慮しておくことが不可欠です。



住宅・土地税制は毎年のように変わることもあるので、最新の情報、有利な特例などをチェックしておきましょう。
購入・取得時に掛かる税金
不動産を購入したり取得する時は、様々な税金が掛かります。
事前に何に幾らぐらい掛かるかを知っておくと安心です。
例えば、不動産の取引では、契約時に印紙税が掛かります。
具体的には、購入時に「不動産売買契約書」、新築や増改築工事では「建設請負契約書」、住宅ローンの借り入れで「金銭消費貸借契約書」を交わしますが、これらの契約書の作成時に印紙税を納めます。
税額は契約書に記載された金額によって決まります。
登録免許税は土地・建物の登記に掛かる税金。
また、不動産を売買で取得したり新築したりした時は、土地と建物に対して不動産取得税が課税されます。
不動産の売買では土地部分については非課税ですが、建物部分に消費税が掛かります。



マイホームの購入では、住宅ローンを借りて一定条件を満たすと、13年(10年)にわたり住宅ローン控除が受けられ、所得税が軽減されるメリットがあります。
印紙税
不動産を買ったとき、最初に関わる税金は「印紙税」です。
土地や建物を買う時の「不動産売買契約書」や、建物を建てる時に建築業者と交わす「建築請負契約書」には、収入印紙を貼ります。
その印紙に印鑑を押すか、署名をすると印紙税を納めたことになります。



印紙税とは、契約書や領収書などの課税文書に添付して国に納める税金(国税)のことです。不動産売買、建築請負など「契約の種類」と、その「金額」によって「印紙の金額」は違ってきます。
不動産の譲渡に関する契約書のうち、記載金額が10万円を超えるもので、2014年4月1日から2027年3月31日までの間に作成されるものは租税特別措置法により印紙税の軽減措置が講じられ、税率が引き下げられています。
これらの契約書に該当すれば、土地・建物の売買の当初に作成される契約書のほか、売買金額の変更等の際に作成される変更契約書や補充契約書等についても軽減措置の対象となります。



また、建築の請負についても、記載金額が100万円を超える場合、同様の軽減措置があります。
登録免許税
不動産の登記をする時に掛かる税金が「登録免許税」です。
不動産の所有者をはっきりさせるために「不動産登記簿」があります。
登録免許税は、言わば「不動産登記簿に自分の名前を載せてもらうための代金」のようなもの。
不動産の所有権に関わる無用なトラブルを避けるためにも、所有権の保存登記、移転登記はきちんとしておくべきです。



登録免許税は、土地・建物を取得して法務局で登記する時に個人や法人に課税される国税です。登録免許税を計算する基になる金額は、登記をしようとする土地や家屋の「固定資産税評価額」です。
- 登録免許税=課税標準(固定資産税評価額)×税率
税率はどういう種類の登記をするかで変わります。
- 所有権保存登記 … 課税標準(固定資産税評価額)×0.4% ➡ 建物を新しく建てたとき
- 所有権移転登記 … 課税標準(固定資産税評価額)×2% ➡ 土地や建物を他人から取得したとき
固定資産税評価額は毎年1月1日現在の不動産の価格なので、その年に新築した建物には固定資産税評価額がありません。
このような場合、法務局が定める「新築建物課税標準価格認定基準表」に基づいて算出されます。
この基準表は、構造や床面積に応じて1㎡当たりの価格が定められており、これを用いて計算します。
この基準は、建物が所在する各都道府県の法務局と税務署が協力して決定しています。



実務上は登記申請をする人が登記機関のルールによって不動産の価格(法務局認定価格)を算定し、それを基に登録免許税を計算することになります。
不動産取得税
不動産取得税は、土地や家屋を取得した際に一度だけ課せられる地方税(都道府県税)です。
売買、贈与、交換、新築、増築、改築など、有償・無償、登記の有無に関わらず「不動産を取得した個人や法人」が対象となります。



不動産を相続で取得した場合、原則として不動産取得税は掛かりません。しかし、相続であっても不動産取得税が課税されるケースがあります。
- 特定遺贈で相続人以外が不動産を取得した場合
- 死因贈与で不動産を取得した場合
- 生前贈与で不動産を取得した場合
- 税率 … 原則として税率は4%ですが、2027年3月31日までに取得した住宅用家屋と土地については、特例として3%に軽減されます
- 税額 … 固定資産税評価額×税率で計算され、土地の場合は評価額の半分が課税標準額となります
- 納付先 … 納税は都道府県に行います。不動産取得後に確定申告を行うことで税額が決定され、自治体から送付される納税通知書で納付します



新築・中古を問わず、住宅用家屋の取得には軽減措置が設けられています。新築住宅の場合、以下の条件を満たすと軽減措置が適用されます。
- 床面積 … 一戸当たりの床面積が50㎡以上240㎡以下であること(戸建以外の貸家住宅は1戸当たり40m²以上240m²以下)
- 控除額 … 建物の固定資産税評価額から1,200万円が控除されます。認定長期優良住宅の場合は1,300万円が控除されます
中古住宅でも、軽減措置が適用される場合があります。
- 床面積 … 新築住宅と同じく、一戸当たりの床面積が50㎡以上240㎡以下であること
- 建築時期 … 1982年1月1日以降に新築された住宅であること、又は新耐震基準に適合していることが証明された住宅であること
- 控除額 … 築年数に応じて控除額が定められており、具体的な金額は取得した住宅の新築時期によって異なります



住宅用土地の取得に対しても軽減措置があります。土地の軽減措置は、建物の軽減措置の要件を満たし、更に土地と建物を定められた期間内に取得することが必要です。
軽減措置の適用を受けるためには、都道府県が定める所定の窓口で申告手続きが必要です。
不動産を取得した日から原則として60日以内(自治体によって異なる場合あり)に、取得した不動産の所在地を管轄する都道府県税事務所に申告します。
消費税



不動産取引は、消費税が掛かるものと掛からないものに分かれます。
建物を建てる時や店舗の貸し付けには消費税が掛かりますが、土地の売買や賃貸住宅の貸し付けには消費税は掛かりません。
土地は「消費されるものではない」という考え方に基づいています。
従って、土地付きの一戸建てやマンションを買った時は、その値段のうち「建物部分」だけに消費税が掛かります。
借主が事業目的で店舗や事務所、倉庫などを借りる場合、そのような建物の貸し付けには消費税が掛かります。
しかし、借主が居住目的で賃貸住宅やマンションなどを借りる場合、そのような建物の貸し付けには消費税が掛かりません。
土地の貸し付けは、原則として消費税の課税対象外です。



土地の売買代金自体は消費税の非課税取引とされています。しかし、不動産会社に土地の仲介を依頼した場合、仲介手数料はサービスへの対価と見なされるため、消費税の課税対象となります。
保有・所有時に掛かる税金
不動産を保有していると、固定資産税と都市計画税が掛かります。
固定資産税は、土地、家屋、償却資産の所有者に課せられる地方税です。
毎年1月1日時点の土地・建物の所有者が納税義務者です。
税収の使い道に特定の制限がなく、市町村の様々な行政サービスに使われます。
都市計画税は、市街化区域内にある土地や家屋の所有者に課せられる税金です。
毎年1月1日時点の所有者が納税義務者となります。
固定資産税とは異なり、都市計画事業や土地区画整理事業など、特定の事業の財源として使われます。



市町村(東京23区内は東京都)が税額を計算し、納税者に通知する「賦課課税方式」が採用されています。
固定資産税と都市計画税の税額のベースとなるのは、「固定資産税評価額」です。
固定資産税評価額は、土地や家屋などの固定資産の価値を、市町村(東京23区内は東京都)が「固定資産評価基準」に基づいて個別に決定するものです。
この評価額は、時価の約70%程度に設定されており、3年に一度見直されます。
これらの税金は、それぞれ以下の計算式で算出されます。
- 固定資産税 … 課税標準額×標準税率1.4%
- 都市計画税 … 課税標準額×制限税率0.3%
※実際は市町村が条例で定めます。



住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税と都市計画税が軽減されます。但し、倒壊の恐れがあるなどの空き家で自治体に「特定空き家等」と判断されると、この特例から除外されることもあるので注意が必要です。
- 住宅用地の特例 -
- 固定資産税の課税標準額が評価額の6分の1に軽減
- 都市計画税の課税標準額が評価額の3分の1に軽減
- 固定資産税の課税標準額が評価額の3分の1に軽減
- 都市計画税の課税標準額が評価額の3分の2に軽減
2017年度の税制改正により、タワーマンション(高さ60mを超える新築の居住用超高層建築物)の固定資産税と都市計画税の計算方法が見直されました。
改正後は、マンション全体の固定資産税額を算出する際に、各住戸の専有床面積に「階層別専有床面積補正率」を乗じて按分する方式になりました。
これにより若干ですが、高層階ほど増税、低層階は減税になります。
この改正は、2018年4月1日以降に新築されたタワーマンションに適用されます。
そのため、2017年1月2日以降に完成した高さ60mを超えるマンションのうち、2017年3月31日以前に売買契約が締結された住戸があるマンションは対象外となります。
固定資産税は、毎年1月1日時点の土地や家屋などの所有者に対し、市町村から納税通知書が送付されます。
支払いは年4回に分けて行うのが一般的で、一括で支払うことも可能です。
固定資産税の支払い方法には、現金納付、口座振替、クレジットカード、電子マネー、スマートフォン決済アプリ、ペイジーなど、様々な方法があります。
農地の固定資産税
農地に対する固定資産税は、その農地がどの区域にあるかによって異なります。
市街化調整区域の農地は、純粋な農地として固定資産税が非常に安いのに対し、三大都市圏の特定市の市街化区域にある農地は「宅地並み課税」とされており、固定資産税が遥かに高いのです。
しかし、それらの区域内でも生産緑地の指定を受けた農地の固定資産税は、純粋な農地と見なされ「農地課税」となります。
償却資産に対する固定資産税
固定資産税は土地や家屋だけでなく、事業のために使われている構築物や器具、備品などの償却資産にも掛かります。
例えば、機械設備、パソコンなどの備品、看板、飛行機、船などが該当します。
- 構築物(広告塔・フェンスなど)
- 機械及び装置(受変電設備・工場設備など)
- 器具及び備品(パソコン・工具など)
- 車両及び運搬具(鉄道・トロッコなど) ※自動車税・軽自動車税の対象物は除く
償却資産の申告は、その資産が所在する市町村の役所へ行います。
東京23区の場合は、都税事務所が申告先となります。
複数の市町村に償却資産を所有している場合は、それぞれの所在地ごとに申告が必要です。
償却資産の申告期限は、毎年1月31日です。
提出期限が土日祝日の場合は、翌開庁日が期限となります。
不動産を貸し付けた時に掛かる税金
賃貸アパートや賃貸マンションを経営していたり、実家を賃貸住宅として貸したりしていると、毎月家賃や管理費が入ってきます。
土地だけを貸している場合も賃料が入ってきますが、それらは「不動産所得」となり、毎年確定申告が必要になります。



不動産賃貸で得た所得(収入-必要経費)は「所得税」・「住民税」の対象になります。更に一定規模以上で行われ、一定額以上の所得がある不動産貸付には事業税(都道府県税)も掛かります。
家賃などの収入が全額不動産所得になるわけではありません。
👇のように必要経費を差し引くことができます。
- 総収入金額-必要経費=不動産所得
- 賃貸料収入 … 土地や建物などの不動産を貸し付けて得る家賃や地代収入です
- 名義書換料や更新料など … 名義書換料、承諾料、更新料、頭金、礼金といった名目で受け取る金銭も含まれます
- 返還不要な敷金・保証金 … 敷金や保証金のうち、契約終了時に返還する義務がないものは収入と見なされます
- 共益費や管理費 … 電気代、水道代、清掃代など、共益費や管理費の名目で受け取るものも総収入金額に含まれます
必要経費には、固定資産税や都市計画税、火災保険料、ローンの利息、広告費・宣伝費など様々なものがあります。
- 減価償却費 … 建物のように時間の経過と共に価値が減少する資産の取得費用を、耐用年数に応じて毎年費用として計上できます
- 修繕費 … 物件の維持管理や原状回復に掛かる費用が該当します。但し、物件の価値を高めたり機能を向上させたりする「資本的支出」は、減価償却の対象となり必要経費とは異なる扱いです
- 租税公課 … 固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税、印紙税などが含まれます。所得税や住民税、罰金などは必要経費にはなりません
- 損害保険料 … 火災保険、地震保険など、不測の損害に備えるための保険料です
- 借入金利子 … 不動産購入のための借入金に掛かる利息を必要経費とすることができます
- 管理費・共益費 … 物件の清掃、補修、警備などの管理費用や、共用部分の電気代、水道代などが含まれます
- 人件費 … 物件の管理に関わる従業員の給与や専従者給与などが該当します。青色申告をしている場合は、家族従業員の給与も必要経費にできる場合があります
- 消耗品費 … 帳簿や文房具、使用可能期間が1年未満又は取得価額が10万円未満の什器備品の購入費などです
- 水道光熱費・交通費など … 賃貸経営のための事務所の賃料や水道光熱費、物件視察のための交通費なども、業務に直接関連する場合は必要経費として認められます
給与収入など、他に所得がある時は、不動産所得と合算し、所得控除を差し引いて、課税所得を出します。
この課税所得に、所得税率を掛けて速算控除額を引くと、所得税額が求められます。
住民税も同様の仕組みで求められます。
- 所得税額=(総合課税所得金額-所得控除額)×所得税率-税額控除額



賃貸経営を始めた当初は必要経費も多く、不動産所得は赤字になることもあります。その場合、他の所得と「損益通算」すると、所得税や住民税は軽くなります。
反対に不動産所得が多い場合は、毎年の所得税と住民税は高くなります。
また、一定の規模以上で賃貸経営をしたり、駐車場経営をしている人に対しては、都道府県の「個人事業税」が掛かることもあることに注意しましょう。
賃貸経営をすると、土地や家屋の相続税評価額が低くなり、小規模宅地等の特例で更に減額になることもあります。



但し、賃貸経営で掛かる毎年の税金も考慮して、初期投資が効率的に回収できるように収支計画を立てることが重要です。
不動産を売却した時に掛かる税金
不動産を売却する際に、所有していた期間に値上がりしていた場合、その利益に対して税金が掛かります。
短期間で得た利益には重い税金を課し、長い時間に積み重ねられた値上がりに対しては税金を軽くするために、他の所得とは区別して譲渡所得用の税率が使われます(分離課税)。
譲渡所得には特例が用意されており、どう適用するかで税金が大きく変わります。



不動産を売却した時の譲渡所得には「所得税」「住民税」が掛かります。👇の式で求めますが、代々引き継いだ土地などで取得費が分からない場合は、譲渡価格(売却価格)の5%と見なして計算します。



譲渡所得の計算は、売却収入から、その資産の原価(取得費)と、売却するために使った費用(譲渡費用)を差し引いて計算します。
課税譲渡所得を求めたら、所得税・住民税のそれぞれの税率を掛けて税額を算出。
売却した不動産の保有期間が5年超と5年以下で税率が異なり、前者の方が税率が低め。



売却した年の1月1日の時点で、5年を超える期間所有していた不動産を売ったことによる所得を「長期譲渡所得」、それ以外のものを「短期譲渡所得」と言います。
- 短期譲渡所得 … 不動産の所有期間が5年以下の場合、「短期譲渡所得」と見なされ、税率は所得税30%、住民税9%、復興特別所得税0.63%の合計39.63%となります
- 長期譲渡所得 … 不動産の所有期間が5年を超える場合、「長期譲渡所得」と見なされ、税率は所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%の合計20.315%となります
さらにマイホームで10年以上保有していた場合は、これより低い税率が適用されます。
マイホームを売却する際には、一定の条件を満たすと3,000万円の特別控除が使え、売却益が3,000万円までなら、譲渡所得税は実質ゼロになります。
相続した空き家を売却する時も条件に合えば3,000万円の控除が利用可能。
マイホームを買い換える場合、条件を満たすと「特定居住用財産の買い換えの特例」が適用できます。



譲渡価格よりも購入価格の方が大きい時は譲渡益には課税されません。次回の売却時に課税が繰り延べられる制度です。
反対に、マイホームの売却で売却損が出た時は、「居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」で、その損失を給与所得などから差し引けます。
さらに、損益通算しても控除しきれなかった損失は、売却した年の翌年以降3年間、繰り越して控除することができます。
また、相続した土地を売却する場合、相続税の申告期限から3年以内に売却すれば、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」が使えて、譲渡所得に掛かる税金を軽くすることができます。
生前贈与で掛かる税金
子供や孫に資産を贈与すると、相続財産が減り、相続税の負担が軽くなります。
但し、贈与された財産は贈与税の対象になります。
贈与税の課税方法には、暦年課税と相続時精算課税制度があります。
暦年課税は、年間に受け取った贈与額から110万円の基礎控除を差し引き、超えた分に課税されます。
年間110万円以内なら課税されないのがポイントです。
まとまった資金や不動産の贈与には、相続時精算課税制度を利用する方法があります。
この制度は累計2,500万円までの贈与は非課税で、超えた分に対して翌年に一律20%の贈与税が掛かります。
また、相続時精算課税制度の特別控除の2,500万円とは別に、年間110万円まで基礎控除が認められるルールも新設されました(2024年1月以降より適用)。
年間110万円までの贈与であれば、贈与税が掛からない上に贈与税の申告が不要であり、生前贈与加算の相続税への持ち戻しの対象からも除外されます。
相続時には贈与された分を相続財産に加え、相続税で精算。
相続税が先に納めた贈与税額より少なければ、差額が還付。
相続税の方が多ければ、不足分を納税します。



不動産の贈与では、相続税は贈与時の評価額が適用されるので、評価額が上がっていれば相続税を軽減できることも。但し、相続時精算課税制度を利用する人には、以下に挙げる一定の要件があります。
先ず、贈与者は60歳以上の親又は祖父母で、受贈者は贈与者の推定相続人である18歳以上の子、又は18歳以上の孫でなければなりません。
同一の贈与者からは、暦年課税か相続時精算課税のいずれかを選択することになり、両方を同時に受けることはできません。
選択は受贈者が行い、兄弟姉妹がいればそれぞれに選択できます。
また、18歳以上の子供や孫がマイホームを新築・取得・リフォームをするなら、「住宅取得等資金の贈与税の特例」を利用する方法も。
婚姻期間が20年以上の配偶者に、持ち家を贈与する場合は、2,000万円まで非課税になる特例を使う手もあります。
金融資産を圧縮する目的であれば、「教育資金の一括贈与の非課税制度」も検討の余地ありです。
相続時に掛かる相続税の仕組み
親などが死亡したとき、その人(被相続人)が残した財産を相続した人に相続税が掛かります。



相続税には「富の再分配」という機能があります。相続によって財産が引き継がれる機会を捉え、その一部を税金として徴収し、社会に分配しようというわけです。
相続税額を計算するには、先ず相続人を確定します。
法定相続人は民法で定められており、配偶者は必ず相続人になり、子供がいれば、その子も相続人です。
子供がいなければ第2順位の父母に、第2順位の人もいなければ、第3順位の人が相続人になります。



財産の多い少ないに関わらず、相続は誰にでも発生します。万一に備え、相続税の仕組みを理解しておきましょう。
相続人が確定したら、相続財産を洗い出し、評価額(課税価格)を出していきます。
👇のように財産の種類によって評価額の出し方は異なります。
土地や家屋は、評価額の出し方に注意が必要です。
土地の評価額の求め方は2つあり、1つは「路線価方式」です。
所有する土地が接する道路に付けられた路線価に、敷地面積を掛けて求めます。
主に市街地で使われます。
もう1つは「倍率方式」で、路線価が定められていない地域で使われ、固定資産税評価額に倍率を掛けて算出。
路線価や倍率は、国税庁ホームページの路線価図のコーナーに掲載されています。
貸家や賃貸アパートなどの建物や土地は借家権や借地権を考慮するため、👇の通り居住用よりも評価額は低くなります。
- 貸家 … 家屋の固定資産税評価額×(1-借家権割合30%×賃貸割合※)
- 貸家建付地 … 自用地の評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合※)
- 貸地 … 自用地の評価額×(1-借地権割合)
※賃貸割合は、賃貸アパート・マンションの全室に対する入居者がいる割合



相続人が親と同居していたり、親の賃貸アパートなどを引き継ぐと「小規模宅地等の特例」が使え、更に評価額は減少。誰が相続するかで評価額が変わり、相続税にも影響するので遺産分割では考慮が必要。
相続人それぞれが取得する財産の評価額を出し、課税価格を求めたら、全員の課税価格を合算して「課税価格の合計額」を出します。
- プラスの財産+みなし相続財産+7年以内の贈与など-マイナスの財産=課税価格
- 全ての相続人の課税価格の合計=課税価格の合計額
👆の手順で課税価格の合計額を求めたら、その合計額から基礎控除を差し引いて課税対象額を出し、課税の有無を確認します。



基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で求めます。相続人が妻と子供2人なら4,800万円で、課税対象額がゼロ又はマイナスなら相続税は掛かりません。
- 3,000万円+(600万円×法定相続人の数)=基礎控除額
- 課税価格の合計額-基礎控除額=課税対象額
課税対象額がある場合、法定相続割合を掛けて、各人の取得価格を出します。
- 課税対象額×法定相続割合=各人の取得価格
実際に取得する財産の割合ではなく、👇の表の割合になります。
| 相続人の状況 | 法定相続割合 |
| 配偶者のみ | 配偶者が全部 |
| 配偶者と子 | 配偶者1/2・子1/2 |
| 配偶者と父母 | 配偶者2/3・父母1/3 |
| 配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者3/4・兄弟姉妹1/4 |
各人の課税価格が出たら、それに相続税の税率を掛け、速算控除額を差し引いて、各人の算出税額を出します。
- 各人の取得価格×税率-速算控除額=各人の算出税額
そして、全員の算出税額を合計して、相続税の総額を求めます。
- 各人の算出税額+……+各人の算出税額=相続税の総額
相続税の総額を出したら、実際の取得額の割合に合わせて税額を按分します。
受け取る遺産が多い人ほど、納税額が増える仕組み。
- 相続税の総額×実際に取得する財産の合計額÷課税価格の合計額=各人の税額※
※配偶者、子、父母以外の人は、各人の納税額に2割加算されます
相続人ごとの税額が分かったら、税額控除があれば差し引いて納税額を算出します。
- 各人の税額-税額控除=最終的な納税額
税額控除には、配偶者の税額軽減があり、配偶者は実際に取得した財産が1億6,000万円以下か、法定相続分以下のどちらかなら、税額はゼロです。
また、7年以内の贈与と相続時精算課税制度で支払った贈与税があれば、その分を差し引けます。
未成年の子供や、障害者も税額控除を受けられます。



相続税額の計算や申告書の作成は複雑なので、税理士に依頼するのが一般的ですが、基本の仕組みを理解して、今後の相続対策や不動産活用を考えましょう。
手続き(申告・納付)
不動産に関わる税金の中には、手続きが必要なものとそうでないものがあります。
手続きを忘れてしまったために損をしてしまったり、ペナルティを課せられたりすることのないように、手続きの必要な税金について、いつ、どんな手続きをし、支払いをしなくてはいけないかを確認します。
| 税金の種類 | 申告・納付 | 納付先 |
| 不動産取得税 | 不動産を取得してから60日以内 (東京都 : 30日以内) | 資産所在地の都道府県税事務所 |
| 固定資産税 (土地・家屋・償却資産) | 原則として年4回 (各自治体により異なる) | 資産所在地の市区町村役場 |
| 所得税 | 翌年の2月16日~3月15日 | 本人の住所地の所轄税務署 |
| 住民税 | 原則として年4回 (6月・8月・10月・1月) | 本人の住所地の市区町村役場 |
| 個人事業税 | 8月・11月 | 本人の住所地の都道府県税事務所 |
| 贈与税 | 翌年の2月1日~3月15日 | 贈与を受けた人の所轄税務署 |
| 相続税 | 相続開始の翌日から10か月以内 | 亡くなった人の所轄税務署 |
まとめ
不動産に掛かる税金は、購入、保有、売却、相続・贈与といった不動産取引の各段階に応じて様々な種類があります。
不動産の購入・建築・贈与時などの税金
不動産を購入したり、贈与を受けたりする際には、これらの税金が掛かります。
| 税金の種類 | 課税対象 | 課税主体 |
| 印紙税 | 売買契約書・賃貸借契約書など | 国税 |
| 登録免許税 | 不動産の登記 | 国税 |
| 不動産取得税 | 不動産の取得 | 地方税 |
| 消費税 | 建物部分 | 国税 |
| 贈与税 | 不動産の贈与 | 国税 |
- 印紙税 … 不動産売買契約書や建築請負契約書、住宅ローンに関する金銭消費貸借契約書など、特定の契約書を作成する際に課税されます。税額は契約書に記載された金額によって異なり、収入印紙を貼り付け、消印を押すことで納税します
- 登録免許税 … 不動産の所有権移転登記や抵当権設定登記など、登記手続きの際に課税される税金です。税率は登記の種類によって異なり、軽減措置が適用される場合があります
- 不動産取得税 … 土地や建物を購入したり、新築したり、贈与を受けたりした際に一度だけ課税される地方税です。課税標準額に税率を乗じて算出され、住宅用の土地や建物には軽減特例があります
- 消費税 … 不動産売買では、土地には消費税は掛かりません。建物には消費税が掛かりますが、売主が個人の場合は非課税となります。売主が消費税の課税事業者である法人などの場合に建物に対して課税されます
- 贈与税 … 不動産を贈与された際に課税されます。年間110万円の基礎控除があり、これを上回る部分に課税されます。配偶者控除や住宅取得等資金の非課税制度などの特例があります
不動産の保有・所有時の税金
不動産を所有している間は、以下の税金が毎年掛かります。
| 税金の種類 | 課税対象 | 課税主体 |
| 固定資産税 | 土地や建物などの固定資産 | 地方税 |
| 都市計画税 | 市街化区域内の土地や建物 | 地方税 |
| 所得税・住民税 | 賃貸経営などの不動産収入 | 国税・地方税 |
| 個人事業税 | 一定規模以上の不動産貸付業 | 地方税 |
- 固定資産税 … 毎年1月1日時点の固定資産(土地、家屋、償却資産など)の所有者に対して課税される地方税です。課税標準額(固定資産税評価額)に標準税率1.4%を乗じて算出されます
- 都市計画税 … 原則、1月1日現在の市街化区域内の土地・建物の所有者に課税される地方税で、都市計画事業などの費用に充てられます。税率は上限0.3%で、固定資産税と合わせて納付されます
- 所得税・住民税 … 不動産を賃貸して収益を得ている場合(不動産所得)に課税されます。収入から必要経費を差し引いた所得に対して、他の所得と合算して課税されます
- 個人事業税 … 個人事業主が一定規模以上の不動産貸付業を営んでいると見なされた場合に課税される地方税です
不動産の譲渡・売却時の税金
不動産を売却して利益が出た場合、以下の税金が掛かります。
| 税金の種類 | 課税対象 | 課税主体 |
| 譲渡所得税 | 不動産売却益 | 国税・地方税 |
- 譲渡所得税 … 不動産を売却して得た利益(譲渡所得)に対して課税される所得税と住民税の総称です。不動産の所有期間によって税率が異なり、長期譲渡所得(所有期間5年超)の方が税率が低くなります。居住用財産を売却した際の3,000万円特別控除など、様々な特例が設けられています
不動産の遺贈・相続時の税金
不動産を相続する際には、以下の税金が掛かります。
| 税金の種類 | 課税対象 | 課税客体 |
| 相続税 | 相続財産 | 国税 |
- 相続税 … 亡くなった人(被相続人)からの遺産(相続財産)を相続や遺贈によって受け継いだ際に課税される税金です。相続財産の総額から基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引いた金額に対して課税されます。配偶者の税額軽減特例や小規模宅地等の特例があります
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