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遺産相続の手続きとポイント

悩める人

相続はどのような流れで行われる?

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相続の手続きは自分でできる?

ヤマス

こんな疑問・悩みを解決します!

  • 相続手続きの流れ
  • 相続手続きの内容
  • 相続手続きの期限
  • 手続きは自分でできる?
目次

相続の手続きの流れ

相続の手続きは、家族の誰かが亡くなったとき、又は亡くなったことを知った日からスタートします。

通常、身内が亡くなると、葬儀などの手配に追われ、ゆっくり悲しみに浸る時間もないでしょう。

しかし、それらが一段落したら、すぐに相続関連の手続きに取り掛かることが大切。

なぜなら、手続きの大半は、期限が決まっているからです。

先ず、家族は死亡後7日以内に、役所に死亡届を提出します。

通夜や葬儀が終わったら、年金の受給停止や健康保険の資格喪失届なども必要です。

亡くなった人が世帯主で、家族がそのまま住み続けるなら、家賃や管理費、光熱費などの契約者や引き落とし口座の変更も欠かせません。

運転免許証の返却、クレジットカードの解約なども行います。

さらに、生命保険や医療保険などに加入していたら、保険会社に連絡し、保険金や給付金の請求手続きも忘れずに行いましょう。

そうした手続きを進めつつ、相続のためにやるべきことに取り掛かります。

最初の大きなタイムリミットは、相続開始から僅か3か月後。

この期限までに、相続人は遺産の引き継ぎ方を決定しなければいけません。

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も全て引き継ぐ「単純承認」か、プラスの財産の範囲内で借金などのマイナス財産を承継する「限定承認」か、財産の全てを放棄する「相続放棄」か。

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限定承認や相続放棄を選択する場合は、相続開始から3か月以内に家庭裁判所で手続きを行う必要があるのです。

先ず、遺言書は無いかを調べ、相続人を確定し、亡くなった人(被相続人)の財産を漏れなく調べ出すことが必要です。

3か月は、あっという間です。

相続人が何も手続きをせず単純承認が成立した後、故人の莫大な借金が見つかった場合、その借金の返済義務を負うことになります。

また、法的に有効な遺言書が残されていない場合は、相続人全員で遺産の分け方を話し合い、合意した内容を記した「遺産分割協議書」を作成することになります。

この書類が無いと、相続人は財産を分割したり換金したりすることができません。

さらに、相続開始日の翌日から4か月以内に、その年の1月から死亡日までの被相続人の所得を申告し、税金の清算を行う「準確定申告」も行います。

そして、被相続人の死亡から10か月後には、相続税の申告と納付の期限がやってきます。

この期限までに、相続人は相続税を計算し、相続税が発生する場合は納税のための現金を用意しなければいけません。

ここまでを10か月以内に行い、相続の手続きは完了します。

相続人は誰かを調べる

亡くなった人の財産を実際に引き継ぐ人を「相続人」と言い、相続人は民法で定められていることから「法定相続人」とも言われます。

相続に伴う各種手続きは、この相続人たちが行います。

法定相続人になれるのは、被相続人の配偶者のほか、子供(直系卑属)、父母(直系尊属)、兄弟姉妹(傍系血族)です。

但し、全ての血縁関係者が相続人になれるわけではなく、優先順位もしっかり決められています。

被相続人の配偶者は順位に関係なく、どんな場合でも相続人になります。

但し、正式な婚姻関係にある配偶者だけで、事実婚のパートナーや内縁の妻などは相続人にはなれません。

配偶者以外の相続人は、次のような順位で相続人になります。

  1. 直系卑属 … 子供や孫
  2. 直系尊属 … 父母や祖父母
  3. 傍系血族 … 兄弟姉妹や甥姪

第1順位は子供。

夫が亡くなった場合は、妻と子供が相続人になり、妻がいなければ、子供だけが相続人になります。

また、既に亡くなった子供がいれば、その子供(つまり孫)が代わって相続人になり、この「代襲相続」は下へ下へと何代でも繋がります。

養子も実子と区別なく、相続人になります。

但し、相続税の計算をする際は、実子がいれば、算入できる養子の数は1人まで、実子がいなければ、2人までと決められています。

生前、又は遺言書で認知された子供(非嫡出子)がいれば、その子も相続人になります。

被相続人に子供がいない場合は、相続人は第2順位の直系の父母に移ります。

父母がいなければ祖父母というふうに、上に遡ります。

そして、第1順位も第2順位の人もいない場合に、第3順位の兄弟姉妹が相続人になります。

亡くなった兄弟姉妹がいれば、代わりにその子(被相続人の甥・姪)が相続人になりますが、第3順位で相続人になれるのは甥・姪までです。

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独身で子供がいない人は、父母、又は兄弟姉妹や甥・姪が相続人になる可能性があることを知っておきましょう。

また、子供のいない夫婦も配偶者に加えて、父母又は兄弟姉妹や甥・姪が相続人になる可能性があるわけです。

相続人を確定するには、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本を全て取り寄せることが必要。

前の結婚で儲けた子や、家族に知らせずに認知した子がいないか、確認するためです。

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戸籍謄本には、両親が誰か、兄弟姉妹は何人いるか、誰と結婚したか、子供は何人いるかが記録されています。

これで、相続人の全てを確認することができるのです。

第3順位まで探しても相続人がいなくて、遺言書もない場合、被相続人が残した財産は、原則、国庫に収納されます。

相続財産を全て把握する

相続の対象になる財産は、故人が死亡する時に所有していた全ての財産です。

具体的には、土地や建物などの不動産、預貯金や書画骨董、車や貴金属、商品や営業権などの事業用財産を含む動産、債権、有価証券、ゴルフ会員権やリゾート施設の会員権、工業所有権(特許権・実用新案権・意匠権・商標権など)、及び「債務」です。

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ここで気を付けなければならないのは、相続財産はプラスの財産だけではなく、マイナスの財産もあるということです。

マイナスの財産には、亡くなる前に入院していた病院の費用や、未払いの税金、買掛金、連帯保証債務、慰謝料、クレジットカードの未決済分なども含まれます。

また、通常の通夜・葬儀などに掛かる費用もマイナスの財産になり、この分は相続財産から差し引けます。

尚、墓地や墓石、仏具などの「祭祀財産」は一般の相続財産とは区別され、遺産分割の対象ではなく、相続税も掛かりません。

遺言などで寄付することを指定された財産も非課税財産になります。

但し、寄付先は、国や地方公共団体、特定の公益法人などとなっています。

被相続人の死亡によって遺族が受け取る死亡保険金と、勤務先から支払われる死亡退職金は、受取人固有の財産になり、遺産分割の対象外です。

但し、相続税の計算をする際には、これらは「みなし相続財産」として相続財産に加えることが必要。

さらに、亡くなる前の3年以内に相続人が受け取った財産も相続財産に加え、マイナスの財産や非課税財産を除いた分が、相続税の課税対象になります。

相続人は協力して、全ての財産と関連書類をチェックすることが大切です。

相続財産の調査が終わったら、遺産目録を作成します。

遺産目録は、後の遺産分割協議で使え、相続税がいくらになるかを計算する際にも必要なので、必ず作成しておきましょう。

相続するか否かを決める

残された財産がプラスのものだけなら、そのまま引き継ぐのが一般的ですが、マイナスの財産が多い場合は、どうすれば良いのでしょうか。

単純承認

プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も含め、全て無条件に引き継ぐことを「単純承認」といいます。

単純承認で相続した財産は、相続人全員で話し合い、誰が何を引き継ぐのかを決め、マイナスの財産を引き継いだ人は、返済する義務も負います。

3か月の間に何も手続きをしない場合、自動的に単純承認したものと見なされ、後で借金が発覚した場合でも、それを相続人が引き継いで返済しなければなりません。

相続放棄

一方で、「財産を調べてみたら、預貯金は僅かで、多額の借金やローンが見つかった」ということも。

プラスの財産よりもマイナスの財産が明らかに多い場合、相続したくないと思ったら、全ての財産を放棄する「相続放棄」をすることができます。

相続放棄をする時は、被相続人が最後に居住していた住所地の家庭裁判所へ「相続放棄申述書」を提出します。

相続放棄は相続人全員でしても良いですし、それぞれ一人ずつ行うこともできますが、一度放棄をしたら、取り消すことはできません。

そのため、いったん相続放棄をすると、相続人に戻ることはできなくなるので、相続放棄をする際には慎重に決めましょう。

相続放棄ができるのは相続の開始、つまり亡くなった日から3か月以内。

亡くなったことを知らなかった場合や、先の順位の相続人が相続放棄をした為に、自分が相続人になった場合には、「それを知った時から3か月以内」なら、手続きができます。

限定承認

「調べてみたが、マイナスの財産とプラスの財産のどちらが多いか分からない」といった場合は、「限定承認」という相続方法もあります。

限定承認とは、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産の債務を背負うこと。

プラスの財産を超える借金や債務があったら、その分は返済の義務がありません。

債務の返済後に財産が残れば、残った財産を相続できます。

尚、限定承認を選択する場合は、相続の開始があったことを知った日から3か月以内に、相続人全員で家庭裁判所に申述する必要があります。

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これらの方法を取るか判断するためにも、相続財産はできるだけ早く調べ出し、全体を把握することが不可欠です。

相続財産をどう分けるのか考える

財産を相続することが決まったら、遺産分割へと進みます。

遺産の分け方には、「遺言による分割」と「話し合いによる遺産分割協議」の二つの方法があります。

遺言書がある場合

遺言書は、財産の分け方について、本人の意思を書面で記したもの。

遺言書の有無で、相続の手続きは大きく変わります。

相続財産の配分は、基本的に法定相続分に従って決められますが、正式な遺言書があれば「遺言書が優先」されるからです。

例えば、法定相続分とは違う分け方が遺言書に書かれていれば、原則として「遺言書の文面が優先」されます。

手続きを進めてしまった後に遺言書が出てくると、手続きをやり直さなければならなくなるのです。

遺言書があるのか、ある場合はどこに保管しているかを生前に聞いておくことが大切ですが、分からない場合でも手を尽くして探して下さい。

自筆の遺言書があれば、見つけたままの状態で、家庭裁判所で「検認」を受けることが必要です。

封が閉じてある時は、開封してはいけません。

検認とは、その遺言書が被相続人によって作成されたものであることを確認し、その存在を認定するための手続きです。

偽造や変造などを防ぐため、証拠保全の意味で行います。

書かれた内容が、適正かどうかを判断するものではありません。

検認は、遺言書の保管者か、発見した相続人が必要書類を用意し、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に行って、検認の申立てを行います。

後日、家庭裁判所から期日が通知され、改めて相続人らの立ち合いの下に検認が行われるため、検認済証明書が交付されるまで、ある程度の時間が掛かります。

公正証書遺言は、原本が公証役場に保管されています。

控えの正本が見つからなくても、相続人が最寄りの公証役場に問い合わせれば、コンピュータで検索し、見つけてもらえます。

公正証書遺言の場合、家庭裁判所での検認は必要なく、遺言内容に合わせて、すぐに遺産を分けることができます。

一方で、遺言書の内容にどうしても納得できない時は、相続人全員で話し合い、遺産の分け方を変えることも可能。

遺言書で、遺留分が侵害されている場合は、侵害した人に対して、遺留分減殺請求を行い、自分の遺留分を請求することもできます。

遺言書がない場合

遺産の分け方を指定した遺言書がない場合は、相続人全員で協議し、遺産の分割方法を決めることになります。

相続人が複数いる場合、話し合いで決めるといっても、全員が納得するように分けるのは容易ではありません。

そこで、協議分割の際に目安とされるのが「法定相続割合」です。

これは、民法で定められた各相続人の相続割合で、相続税の計算にも用いられるもの。

相続人の組み合わせによって、次のように決められています。

  • 配偶者のみ … 配偶者が1人で全て相続する
  • 配偶者と子供 … 配偶者は2分の1、子供は全員で2分の1。子供が複数いれば、2分の1を子供の数で等分
  • 配偶者と父母 … 配偶者は3分の2、父母は合計で3分の1。両親共に健在の場合は、3分の1を父母2人で等分
  • 配偶者と兄弟姉妹 … 配偶者は4分の3、兄弟姉妹は全員で4分の1。兄弟姉妹が複数いれば、4分の1を兄弟姉妹の数で等分

相続人が配偶者と子供なら、配偶者が2分の1、子供が2分の1。

子供が複数いる場合は、この2分の1を子供の人数で均等に分けます。

相続人が配偶者と父母の場合は、配偶者か3分の2、父母が合計で3分の1。

相続人が配偶者と被相続人の兄弟姉妹の場合は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹は合計で4分の1です。

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どの場合も、配偶者の法定相続分が多めになっているのは、残された配偶者がその後の生活に困らないように配慮されているため。

配偶者がいない場合、同順位の相続人で、均等に分けます。

法定相続割合で分けても、それが必ずしも公平で、全員が納得できる分け方になるとは限りません。

そこで、協議分割では、「寄与分」や「特別受益」を考慮し、その分を加算したり減額したりして、分割割合を調整する方法もあります。

寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加に貢献した相続人に与えられるものです。

例えば、被相続人の仕事や事業に協力し、経済的支援をしていた人などに認められます。

被相続人の介護をするために仕事を辞め、それによって介護費用が大幅に抑えられた場合などに認められるケースもあります。

特別受益は、特定の相続人が他の人に比べて高額の進学、結婚、住宅資金などをもらっていた場合に配慮すべき金額。

生前にもらった分を相続財産に加えて各人の相続割合を計算し、特別受益を受けた人の相続分からもらった分を差し引きます。

これを「特別受益の持ち戻し」といいます。

遺産分割協議書を作成する

相続人全員による話し合いで、遺産の分け方が決まったら、その内容を記した「遺産分割協議書」を作成するのが基本。

この書類は法律で義務付けられてはいませんが、口頭での話し合いだけだと、後で「そんなつもりではなかった」という相続人が出てきて、思わぬトラブルになることもあります。

また、相続した預金や不動産の名義を書き換える際にも、金融機関などから、この書類を求められることがあるため、協議書の作成は必要でしょう。

遺産分割協議書に決められた書式はありません。

手書きでも、パソコンなどを利用して作成しても構いません。

肝心なのは、相続人それぞれが何を相続したのか、分割した遺産全てを具体的に書き記しておくことです。

書面ができて、全員がその内容を確認し承諾したら、必ず、作成した日の年月日を入れて、相続人一人ずつが署名し、実印で押印します。

この遺産分割協議書は、相続人の人数分だけ作成し、全てに署名・押印して、相続人がそれぞれ手元に保管しましょう。

相続財産の名義変更や登記を行う

遺産分割協議が合意に至ったら、取得した財産の名義変更を行います。

相続した預貯金や株式の名義を変更する場合、「いつまでに」という期限はありません。

しかし、金融機関ごとに必要な書類を揃え、足を運ぶとなると、時間が掛かることもあるため、早めに準備を始めましょう。

金融機関での名義変更には、被相続人の残した通帳などのほか、被相続人と相続した人、両方の戸籍謄本も必要です。

さらに、上記で説明したように遺産分割協議書と、そこに押印した相続人全員の印鑑証明書も求められます。

遺言によって分ける場合は、遺言書の提出が求められるのが一般的。

それ以外に必要な書類は、金融機関によって異なることがあるため、電話などで事前に確認してから用意しておくと、二度手間が省けます。

相続した不動産については、その所在地を管轄する法務局に行って、「相続による所有権の移転登記」をすることが必要です。

登記簿で、所有者の名義を自分の名前に書き換えておかないと、自由に売却することはできず、その不動産を担保にローンを組むこともできません。

つまり、名義変更が済むまでは、その不動産を活用することはできないということです。

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2024年4月1日から「相続登記が義務化」されます。

相続した不動産を売却する場合、相続税の申告期限から3年以内なら、その不動産に掛かった相続税の分を取得費に加算できる特例が使えます。

この特例を使えば、譲渡所得税を軽減できるのです。

そのためにも、早めに名義の書き換えを進めましょう。

相続税の申告や納付をする

相続税が掛かる場合は、相続の開始から10か月以内に申告・納付が必要になります。

10か月という期限は、時間があるようで、実はあっという間。

遺産の分け方が決まったら、すぐに申告書の作成と納税資金の準備に入らないと、慌てることになります。

申告・納税を前にして、一番困るのは、相続税が掛かるのに、10か月以内に遺産の分け方が決まらない場合です。

相続人の間で話し合いが拗れ、決着が長引きそうになったら、家庭裁判所による調停や審判を利用することもできますが、その場合にもかなりの時間が掛かります。

相続税の申告期限までに遺産の分割方法が決まらない場合は、いったん法定相続分で相続したものと見なして、相続税を納めることが必要になります。

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但し、その場合は遺産分割が確定した時に利用できる「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」は使えず、納税額が多くなることも。

再度の協議や、調停・審判などで分割方法が3年以内に確定すれば、それらを利用することができ、分割方法の確定後4か月以内に更正の請求をすれば、納め過ぎた相続税額は還付されます。

分割方法が決まってから申告・納税した場合でも、後日、申告税額が少ないと気付いたら修正申告が必要で、多過ぎた時は更正の請求をすることができます。

相続の手続きは自分でできる?

相続の手続きには、相続税の申告と土地や建物、株などの名義変更があります。

  • 必要書類の手配
  • 相続人の確認
  • 相続財産の調査
  • 相続税の計算
  • 相続税の申告書の作成
  • 不動産の名義変更
  • 年金や保険の手続き

殆どの人が相続税の申告は税理士、登記は司法書士といったように専門家に依頼しますが、これらの手続きは全て自分で行うことができます。

自分で手続きを行うメリットは、税理士や司法書士に支払う費用が掛からないということです。

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但し、手続きに不備が起きにくい、特例や控除を活用して節税に繋げるノウハウがあるなど、専門家に依頼するメリットもたくさんあるので、単純に費用の節約だけで判断するのは間違いです。

「税金の申告なら自分でもできる」「やったことがある」という人もいるでしょうが、相続税の申告は、確定申告のように簡単にできるものではありません。

特に不動産がある場合、その評価額の出し方は独特で、土地については専門家である税理士でも評価額が異なる場合もあるのです。

ある程度の遺産がある場合は、遺産の分け方も含めて相続専門の税理士に相談し、アドバイスを受ける方が良いでしょう。

遺産の分け方によって、相続税の総額や、各相続人の納税額が違ってくることも多いからです。

また、相続税には「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」もあり、条件に合えば結果的に納税額がゼロになったり、軽くなったりすることもあります。

しかし、結果として税額がゼロになる場合でも、これらの制度を利用するには税務署に申告することが必要です。

相続税の申告に必要な書類は多岐にわたります。

申告の際、必要になる書類だけでも、被相続人の改製原戸籍謄本や除籍謄本、住民票の除票、相続人全員の戸籍謄本や住民票、印鑑証明など、10種以上の書類を用意しなければなりません。

基本的に市町村役場で取得できるものばかりですが、戸籍謄本のように本籍地の役場でしか取得できないものもあるため、想像以上に大変です。

特に被相続人が何度も転籍を繰り返しているような場合、転籍前の本籍地の役場で戸籍謄本取得を繰り返すことになり、大変な手間が掛かります。

その他、銀行の預金残高証明書も口座のある銀行の窓口に行って発行してもらわなければならないなど、書類の収集は非常に手間と時間が掛かります。

ヤマス

相続には専門的な知識も必要です。複雑な計算も求められますので、専門家の力を借りることも考えましょう。

まとめ

- 相続の手続きの流れ -

  • 被相続人の死亡 … 相続の発生
  • 死亡届を提出する … 7日以内
  • 遺言書の有無を確認する
  • 法定相続人を特定する
  • 相続財産を特定する
  • 相続するかしないかを決める … 限定承認・相続放棄の申述 / 3か月以内
  • 準確定申告 … 4か月以内
  • 遺産の分け方を決める
  • 遺産分割協議書の作成
  • 相続財産の登記・名義変更を行う
  • 相続税の申告と納付 … 10か月以内

被相続人が死亡したからといって、すぐに相続財産の分割に、というわけにはいきません。

葬儀後には、初七日、四十九日と法要が続きます。

遺族がようやく相続問題に取り掛かれるのは法要の後、2か月くらい経ってから。

本格的な手続きはここからということになります。

となれば、最終目標となる相続税の申告・納付までの期間は、残り約8か月間。

その間に相続財産の調査・評価、遺産分割協議、遺産分割協議書の作成、財産の名義変更…と、複雑な手続きをこなさなければなりません。

ヤマス

これらをたった数か月間で済まさなければならないのは、なかなか至難の業。とてもゆっくり時間を掛けてできる代物ではありません。

とりわけ不動産や預貯金、株などの金融資産があちこちに散らばっている場合は、必要書類や資料を集めるだけでも相当な時間と手間が掛かります。

ちょっとややこしい書類に手間取ってしまえば、2、3か月はあっという間に過ぎてしまいます。

タイムリミットの10か月を過ぎても、相続の手続きが終わらず、ペナルティーを受けなければならないという事態を引き起こさないためにも、綿密にスケジュールを組んで、手順通りに手続きを進められる体制を作る必要があります。

ヤマス

相続問題を上手く乗り切るのに一番効果的なのは、弁護士・税理士・司法書士など、信頼できる「相続のプロ」に依頼することです。

必要書類の探し方や、ややこしい手続きの仕方など、一般の人々には気付かないアドバイスが聞けるので、どんどん活用していきましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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