生命保険は節税対策になる?
生命保険でできる相続対策は?
こんな疑問・悩みを解決します!
- 生命保険でできる相続対策
- 争族対策
- 節税対策
- 納税対策
- 生命保険の効果的な活用法
生命保険による相続対策
生命保険は、
- 争族対策
- 節税対策
- 納税対策
の全てに活用でき、資産家でも、財産がそれほど多くない人でも、一定の効果が見込めます。
と言っても、一つの保険で全て、というわけにはいきません。
保険で何がしたいのかを確認し、目的に応じた加入の仕方をすることが大切です。
生命保険には、主に次のようなメリットがあります。
- 遺族の生活保障となる
- 非課税の特典がある
- 相続時に現金が支払われるため、納税資金などに利用できる
- 保険料の支払いにより、相続財産が減少する場合がある
- 遺産分割のトラブル回避に利用できる
- 相続放棄をした人でも保険金は受け取ることができる
生命保険は「節税対策」「納税資金対策」「争族対策」のいずれにも役立つ相続対策の切り札です。
納税資金が準備できる
財産の大部分が不動産で、現金や預貯金は僅か、といったケースは決して珍しくありません。
このような場合、相続時に必ず現金が入る生命保険(終身保険)は、納税資金を確保する手段として非常に有効です。
これは、なるべく相続財産に手を付けないために、財産を残す人が被保険者となって、その死亡保険金を納税資金として準備する方法です。
相続税の納付期限は、相続発生時から10か月と短く、預貯金などの流動資産がない場合には、納税資金の確保に苦労します。
また、流動資産があっても、それが虎の子で手を付けたくない場合や、相続税に足りない時にも有効です。
相続税を軽減する
生前にできる節税対策の一つとして、生命保険を利用する方法があります。
死亡保障のある生命保険に加入すると、被保険者が亡くなった時に受取人が死亡保険金を受け取ることができます。
この死亡保険金は、受取人の財産になり、相続人以外であっても残したい相手に確実に財産を残すことができます。
遺産分割の対象外になり、遺留分減殺請求もできません。
死亡保険金は、相続財産にはなりませんが、相続税を計算する上では「みなし相続財産」として扱われます。
みなし相続財産とは、被相続人の財産ではなくても、課税対象になる財産のことです。
しかし、死亡保険金には非課税となる部分があり、特に「契約者と被保険者が同一」で、「受取人が法定相続人」というごく一般的なケースでは「500万円×法定相続人の数」が非課税となります。
例えば、法定相続人が妻と子供2人の計3人なら、遺族が1,500万円まで非課税の保険金を受け取れるというわけです。相続放棄をした人も非課税枠の計算に入れて良いことになっています。
このような非課税枠が設けられているのは、保険金が遺族の生活保障となるためですが、この非課税枠は相続税の節税対策としても利用価値大です。
と言うのも、生命保険に加入すれば払込保険料以上の死亡保険金を受け取るのですから、財産は増えることになります。
しかし、保険金が非課税の範囲内であれば、相続財産には加算されません。
つまり、実際の財産は増えているにも関わらず、支払った保険料の分だけ課税財産が減少するという効果があるのです。
また、仮に非課税枠を超える保険金を受け取り、結果として相続税が増えることになっても、決して損をするわけではありません。
増えた財産(受取保険金)を納税資金に充てることができるのですから、積極的な相続税対策として優れたものと言えます。
遺産分割をスムーズに行う
生命保険は税金対策だけでなく、遺産分割(争族)対策にも威力を発揮します。
例えば、主な財産は4,000万円の自宅店舗で、相続人は長男と次男の二人、長男が家業を継ぐものとします。
この場合、長男が自宅店舗を相続し、次男に2,000万円の代償金を支払えば丸く収まりますが、長男にその資力がなければ実現できません。
そこで役立つのが生命保険です。長男を受取人とする2,000万円の保険に加入すれば、長男はその保険金を代償金に充てることができます。
この場合は、生前に長男と次男を交えてよく話し合った上、長男に自宅店舗を相続させる旨の遺言を残しておくことが大切です。
死亡保険金と税金の関係
生命保険や共済などから支払われる死亡保険(共済)金は、契約者と被保険者、死亡保険金の受取人が誰かによって、税金の種類と掛かり方が異なります。
「契約者と被保険者が同じ」場合には「相続税」の対象となります。
死亡保険金の全額に課税されますが、相続人が死亡保険金を受け取る場合には、前述のように「500万円×法定相続人の数」まで「非課税」になります。
- 受取保険金額-非課税枠(500万円×法定相続人の数)=課税対象額 (相続税)
「契約者と受取人が同じ」であれば、死亡保険金から、支払った保険料と特別控除額を差し引いた額が一時所得となり、一時所得の2分の1の額に対して「所得税と住民税」が掛かります。
- (受取保険金額-払込保険料-特別控除額50万円)×1/2=課税対象額 (所得税・住民税)
「契約者と被保険者、受取人が全て別」ならば、死亡保険金は「贈与税」の対象。
他に贈与を受けた金額との合計額から、基礎控除額110万円を差し引いた額に課税されます。
- 受取保険金額-基礎控除額110万円=課税対象額 (贈与税)
被保険者 | 契約者 | 保険金受取人 | 税金の種類 |
被相続人(夫) | 被相続人(夫) | 相続人(子) | 相続税 |
被相続人(夫) | 相続人(子) | 相続人(子) | 所得税・住民税 |
被相続人(夫) | 相続人(妻) | 相続人(子) | 贈与税 |
ところで、ここで「契約者」といっているのは、保険料を実際に負担している人のことです。
契約者以外の人が保険料を負担している場合には、「実質的な保険料負担者」と、被保険者や受取人との関係で、税金の掛かり方が決まります。
生命保険に加入する際のポイント
相続対策を目的として生命保険に入るなら、死んだら必ず保険金を受け取れる「終身保険」を選ぶことが重要です。
定期保険の場合、相続発生時に保険期間が終わっていることもあり、これでは相続対策にはなりません。
終身保険は、死亡保障が一生涯続きます。相続はいつ起こるか予測できませんので、死亡時に必ず保険金が受け取れる「終身保険」が最適というわけです。
注意点としては、配偶者を生命保険金の受取人にしないことです。
相続税は、配偶者の税額軽減の規定により、配偶者には「法定相続分」か「1億6,000万円」のいずれか多い金額までの財産の取得について相続税が課税されません。
また、小規模宅地等の特例の規定でも配偶者を優遇しています。
従って、配偶者を生命保険金の受取人にしても、相続税の節税効果は殆どないのです。
相続財産が多く、相続税の税率が高くなりそうなケースでは、親から子に毎年保険料を贈与し、「契約者と受取人=子・被保険者=親」という形で生命保険に加入する方法もあります。
こうすれば、子が受け取る保険金は子自身の一時所得(所得税・住民税の課税対象)となり、相続財産には組み込まれません。
この場合は非課税枠の適用はありませんが、課税される一時所得の金額はかなり軽減されます。
但し、具体的な遺産額、保険金額、子の所得金額など様々な条件によって変わりますので、それぞれのケースで試算してみる必要があります。
まとめ
相続対策として保険に加入する場合は、相続財産がどれくらいあって、相続税がどの程度掛かるのか把握することから始めましょう。
その上で初めて、どんな目的で、どのぐらいを保険で準備するかを考えることになります。
例えば、相続税を保険で賄うなら、その税額のうちどれだけを保険金で準備するかを考えるわけです。
必ずしもその時点で掛かりそうな相続税の税額分をそのまま保険金額にする必要はありません。これから生前贈与で財産移転するなどの対策も考慮に入れましょう。
生命保険が相続で活用できるのは、次のような特徴があるからです。
- 相続税の非課税枠がある … 節税対策
- 受取人を指定できる … 遺産分割対策
- 相続時に現金を受け取れる … 納税資金対策
非課税枠の控除を利用するには、条件があります。
- 被保険者が被相続人であること
- 保険料の負担者が被相続人であること
- 受取人が相続人であること
の3つです。
これ以外の場合は、保険金が相続財産になったり、贈与税や所得税が掛かったりしてしまいます。
- 加入の際のチェックポイント -
- 一生涯の死亡保障があるか?
- 受け取れる死亡保険金の額は適切か?
- 保険料の払込期間や払込金額は適切か?
- 契約者・被保険者・受取人の設定は適切か?
一般的に、節税対策として加入する場合、保険料を一度にまとめて払う「一時払終身保険」が使われています。相続する財産が基礎控除より多い場合には有効な手段です。
被保険者の死亡によって支払われる保険金は、誰を契約者(保険料負担者)、受取人とするかによって課税される税金の種類が異なります。
- 相続税
父が自分で保険に加入し、相続人である妻や子を受取人とするパターン。
最も一般的な加入の仕方です。
保険金は相続財産と見なされ、相続税の対象となりますが、「500万円×法定相続人数」の非課税枠があります。
非課税枠を超える部分のみ相続財産に加算されます。
- 所得税・住民税
例えば、子が父に保険を掛け、自分で保険金を受け取る形です。
保険金は子の一時所得となり、所得税と住民税が掛かります。
一時所得の税負担は、他の種類の所得に比べて軽くなっています。
- 贈与税
例えば、母が父に保険を掛けて保険料を支払い、子を受取人とする形です。
この場合は贈与税が掛かり、税負担が非常に重くなります。
加入済みの保険がこのような契約形態になっている時は、保険会社に申し出て、受取人を変更しましょう。
被相続人と相続する人の関係性によって、掛かる税金や効果が異なるので「契約形態」に注意しましょう。
尚、生命保険の活用法は、その時々の法律や税制によって効果が変わる可能性も。
数年ごとに確認が必要です。
いずれにしても生命保険は高い買い物ですから、商品の内容を十分に理解した上で契約しましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。